2005年 1月20日(木)

第9回 「フランチャイズ」[経済]


先生:第6回の中国法教室にて商業企業について勉強しましたが、その際、「商業企業とは、コミッション代理、卸売、小売及びフランチャイズ経営を行う企業のことをいいます。2004年6月1日施行の《外商投資商業分野管理弁法》(「商業分野管理弁法」)により、法律上は、ほぼ全面的に外商投資による商業企業の設立が認められるようになりました」と紹介しました。

生徒:覚えています。そのうち、卸売と小売については、商業分野管理弁法に一定の規定があったようですが、フランチャイズ経営については、どのような規定が置かれていたのでしょうか?

先生:「外商投資企業が他人にフランチャイズ経営方式にて店舗を開設させるには、本弁法の規定を遵守すべきほか、国家がフランチャイズ経営活動について別途規定した場合には、更にその規定を遵守するものとする」と規定されていました。

生徒:その「フランチャイズ経営活動について別途規定した」弁法が2004年12月30日に制定され、2月1日に施行される「商業フランチャイズ経営管理弁法」(「フランチャイズ弁法」)ですね。フランチャイズ経営とは、正確には何をさすのでしょうか?

先生:フランチャイズ経営とは、契約を締結することにより、フランチャイザーは商標、商号、経営モデルなどの経営資源をフランチャイジーに使用させ、フランチャイジーは契約の約定に従って統一の経営体系の下で経営活動に従事し、かつ、フランチャイザーに対してフランチャイズ経営費を支払う経営形態をいいます。

生徒:一番の関心事は、フランチャイザーたりうる条件です。高いハードルが敷かれているのでしょうか?

先生:フランチャイズ弁法によれば、(1)法律により設立された企業又はその他の経営組織であること、(2)他人に使用を許諾する権利を有する商標、商号及び経営モデル等の経営資源を有すること、(3)フランチャイジーに対して長期の経営指導及び訓練サービスを提供する能力を備えていること、(4)中国国内に少なくとも2つの1年以上経営している自社直営店又は子会社若しくは株式支配会社が設立した直営店を有すること、(5)フランチャイザーが貨物を提供する必要のあるフランチャイズ経営の場合には、フランチャイザーが安定した、品質を保証することのできる貨物供給システムを有し、かつ関連サービスを提供することができること、(6)良好な信用・名誉を有し、フランチャイズ経営方式にて詐害活動に従事した記録がないこと、の6点がフランチャイザーたりうる条件となっています。

生徒:その中で多くの企業にとって最も問題となりそうなのは、(4)ではないでしょうか?

先生:そうですね。2つの1年以上経営している直営店を有しなければならないということは、即ち、小売企業を設立した上で、店舗を2店設立しなければならないことになり、小売企業自体、未だ多く認可されていない現状においては、直ちにフランチャイズ経営に従事するのは難しいと言わざるを得ません。

生徒:先ほど、フランチャイズ経営は契約を締結することにより行う旨の説明がありましたが、契約とはどのような契約ですか? 先生:簡単に言えば、商標使用許諾契約や技術許諾契約等の内容を含む総合的なサービス提供に関する契約といえるでしょう。具体的には、(1)使用許諾するフランチャイズ経営権の内容、期間、地点、独占性の有無、(2)フランチャイズ経営費の種類、金額、支払方法及び保証金の受領・返却方法、(3)秘密保持、(4)品質コントロール及び責任、(5)訓練及び指導、(6)商号、商標等の使用、(7)消費者クレーム、(8)宣伝及び広告、等を規定します。

生徒:外商投資企業がフランチャイズ経営に従事しようとする場合には、どのような手続が必要ですか?

先生:(1)申請書、董事会決議書、(2)営業許可証、認可証書、(3)契約、定款の修正合意、(4)各種条件に適合することの証明資料、(5)フランチャイザーに開示すべき基本情報資料、(6)フランチャイズ経営契約、(7)フランチャイズ経営操作マニュアルを原審査認可部門に提出して認可を取得しなければなりません。これにより、フランチャイズに関するノウハウについては政府機関に開示せざるを得ないものと思われます。

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