2005年 1月 6日(木)

第8回 「投資体制改革」[経済]


先生:2004年7月16日に発布された《投資体制の改革に関する国務院の決定》(「投資体制改革決定」)及び2004年10月9日に施行された《外商投資プロジェクト審査認可暫定施行管理弁法》(「審査認可弁法」)により、外商投資プロジェクトの審査認可手続に変更がありました。これらの規定のみではわかりにくい部分もありましたが、2004年11月29日に発布された国家発展改革委員会関係責任者の記者会見録や弊所の調査結果等を集約しますと、今後の外商投資プロジェクトの審査認可手続が概ね見えてきました。そこで、今日は、2004年に実施された投資体制改革について勉強しましょう。

生徒:私が知っているのは、地方政府の権限が拡大されて、審査が簡略化したということだけですが、まず、地方政府の権限はどのように拡大されたのでしょうか?

先生:従来、3000万米ドル以上の外商投資プロジェクト一切を中央の政府機関である国家発展改革委員会の審査認可に係らしめる体制をとってきました。これに対し、投資体制改革決定は、1億米ドル以上の奨励類及び許可類プロジェクト並びに5000万米ドル以上の制限類プロジェクトについては国家発展改革委員会が審査認可をし、それ以外の外商投資プロジェクトについては地方政府が関係規定に従って審査認可を処理する旨を定めました。但し、審査認可弁法によれば、5億米ドル以上の奨励類及び許可類プロジェクト並びに1億米ドル以上の制限類プロジェクト(即ち、超大型プロジェクト)については、国家発展改革委員会の審査の後、国務院による審査認可を受ける必要があります。

生徒:地方政府の権限について言えば、3000万米ドル未満のプロジェクトを審査認可する権限から、1億米ドル(奨励類及び許可類)又は5000万米ドル(制限類)未満のプロジェクトを審査認可する権限へ拡大したということですね。大幅な権限拡大ですね。ところで、実際に審査認可する地方政府の機関はどこでしょうか?

先生:1億米ドル未満の奨励類及び許可類プロジェクトについては、省級以下の発展改革部門が審査認可をすることになっており、その具体的な権限分配は省級の人民政府が確定します。これに対して、5000万米ドル未満の制限類プロジェクトについては、省級の発展改革部門が審査認可をすることになっており、省級より下の発展改革部門に権限委譲することはできません。

生徒:それであれば、1億米ドル未満の奨励類及び許可類プロジェクトについては、地方毎に取扱いが異なりそうですので、個別の問い合わせが必要だと考えた方が無難ですね。地方政府の権限拡大については分かりました。では、審査の簡略化については?

先生:投資体制改革決定においては、審査認可について「核准」という用語が使われており、従来の「審批」という用語が使われていません。この差は、従来のプロジェクト建議書及びF/S報告書の審査認可から「プロジェクト申請報告」一本の審査認可に変更されたことを意味します。審査認可弁法には「プロジェクト申請報告」の必要的記載事項について規定があり、F/S報告書の内容よりも簡易化されていることが分かります。例えば、「プロジェクト申請報告」には製品の市場予測や経済効果・利益分析などを記載する必要がありません。

生徒:プロジェクトの審査認可にはどれくらいの時間がかかるのですか?

先生:国家発展改革委員会が「プロジェクト申請報告」を受理した後20営業日内に審査認可を完了することを原則とし、更に10営業日までは延長することができると定められています。

生徒:プロジェクトの審査認可が簡略化したといっても、外商投資プロジェクトに関わる合弁契約や定款については、別途審査認可が必要なのでしょうか?

先生:はい。その審査認可機関について商務部に確認しましたところ、プロジェクトの審査認可と同様、1億米ドル以上の奨励類及び許可類プロジェクト並びに5000万米ドル以上の制限類プロジェクトについては中央の政府機関である商務部が審査認可をし、それ以外の外商投資プロジェクトについては省級以下の商務部門が審査認可を処理するとのことです。ここでも地方政府の権限が拡大されたといえます。

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン