2004年12月 2日(木)

第6回 「商業企業」[経済]


先生:11月から上海に赴任しましたが、現地では圧倒的に商業企業に関連する相談が多いことを実感しましたので、今回は外商投資による商業企業について勉強することにします。

生徒:基本的なことですが、商業企業とは、具体的に何をする企業なのでしょうか?

先生:コミッション代理、卸売、小売及びフランチャイズ経営を行う企業のことをいいます。2004年6月1日施行の《外商投資商業分野管理弁法》(「商業分野管理弁法」)により、法律上は、ほぼ全面的に外商投資による商業企業の設立が認められるようになりました。 生徒:それ以前は、認められていなかったのでしょうか?

先生:従来も、1999年6月25日施行の《外商投資商業企業試行弁法》によって、外商投資による商業企業の設立は認められていましたが、投資家の資格制限、登録資本の制限、出資比率の制限、地理的制限などが存在し、商業企業の設立を実現することは必ずしも容易ではありませんでした。商業分野管理弁法によってそれらの制限がほぼ撤廃されるに至りましたが、独資による商業企業の設立は未だ許可されておらず、2004年12月11日から許可されることになっています。

生徒:もうすぐ独資による商業企業の設立も認められるようになるのですね。それは、やはりWTO加盟との関係でしょうか?

先生:そのとおりです。中国はWTO加盟から3年以内に流通業を全面的に開放することを約束しており、2004年12月11日でWTO加盟から3年が経過しますので、それまでに流通業を全面的に開放する必要があります。

生徒:ところで、投資性公司は、現段階において卸売及び小売を展開することができるのでしょうか?

先生:2004年3月14日施行の《外商投資による投資性公司の設立・運営に関する規定》によれば、投資性公司は、その設立後において、法により経営され、違法記録がなく、登録資本が定款の規定に従い期限どおりに払い込まれ、投資家が実際に払い込んだ登録資本額が3000万米ドルを下回らず、かつ、少なくとも3000万米ドルは投資の用途に用いられていることを条件として、商務部の認可を取得した場合に限り、投資先企業の生産した製品を仕入販売の方式で販売することができ、また、投資先企業の生産した製品を購入した後、システムセット附属製品を仕入れて組み立て、システムセット製品として販売することができます。また、親会社の製品を輸入して中国国内において試験販売することもできますが、それはあくまで投資先企業が製品を生産する前の試験販売に過ぎません。更に、資本金1億以上、研究所設置などの条件を備えた「地区本部」に認定されれば、自由に親会社の製品の輸入販売を行うことができます。

生徒:投資性公司は、自由に卸売や小売をすることはできないのですね。でも、WTO加盟から3年以内に流通業を全面的に開放するのであれば、投資性公司も自由に卸売や小売ができるようになるのでしょうか?

先生:投資性公司については、その独自の経営範囲が規定されていることから、商業分野管理弁法の施行後においても自由に卸売や小売に従事することはできないものと解されてきました。しかしながら、2004年11月23日に商務部のホームページに掲載されました《外商投資による投資性公司の設立・運営に関する規定》は、投資性公司がコミッション代理、卸売、小売及びフランチャイズ経営活動に従事する場合には、商業分野管理弁法の関連規定に適合しなければならず、かつ、法により相応の経営範囲を変更しなければならない旨を規定しています。つまり、投資性公司も商業分野管理弁法の関連規定に従って経営範囲を拡大することにより、卸売や小売に従事することができるという建前が規定されたことになります。

生徒:それは、未だ正式に発布されていないのですか?

先生:正式な発布日はいつになるのか分かりませんが、近々に発布されるものと思われます。また、施行日は正式な発布日から30日後になっています。

NNAからのご案内

出版物

SNSアカウント

各種ログイン