中国はこれ以上の減速なし
12年は景気減速が懸念された中国。だが駐在員の今年の景況感を見ると、「悪化する」は14%弱にすぎず、「これ以上の落ち込みはなく、上向く可能性もある」という見方が中心だ。
「良くなる」「変わらない」と考えられる理由は、「都市化に向けインフラ投資が活発化」「開発余地のある地域はまだ多い」など、成長の伸び代があること。新指導部が発足したことで「景気テコ入れのため、積極財政を打ち出す」ことも期待されるという。
もちろん「好景気の時代から調整の時代に入った」ことは駐在員も認識しているし、「実質の経済は足踏みだが、名目の国内総生産(GDP)は現状を維持」というさめた見方もある。「売れるもの売れないものの差が激しくなる」との予測もある。また景況感に関係なく、中国が抱える課題として「格差の拡大」を挙げる声は多く、今後も中国のボトルネックとはなりそうだ。
台湾は「良くなる」が半数以上。理由としては「欧州危機などの解決にめどが立ってきた」「食料、シェールガスの輸出戦略で米国経済が回復基調にある」「日台連携による中国市場開拓」など、外部環境に期待する声が比較的目立った。基幹産業の半導体についても「ようやく在庫調整が進み、今が底とみる。13年半ばから景況は戻るのではないか」との予測があった。
ベトナムは「良くなる」「変わらない」が8割を占めるものの、「12年が悪かったので相対的に上昇」「中国リスクによるシフトが期待できる」など積極的な理由には乏しかった。
また実際の進出に当たっては「物流、通信インフラが整っておらず、中国の代役はできない」、政府については「長期的な展望を持っているのかは疑問。国民もあまり信頼していない」と、手厳しい意見も少なくなかった。
東南アジア唯一の先進国であるシンガポール、また中進国のマレーシアは「変わらない」が半数以上。シンガポールは「外国人の流入抑制で人口増が見込めず高成長は難しいが、周辺国の成長に引っ張られる」、マレーシアは「内需振興を期待するが絶対的な人口が少なく、結局は輸出需要が景気を左右する」などの指摘があった。