2012/10/31

【NNAアンケート】日本企業が備える「たくましさ」


福井県立大学・池部亮准教授(アジア経済)


今回の日系企業に対するアンケートのコメント欄から主要なものを拾うと、「中国市場は依然有望市場」であり、「今回のリスクは中国ビジネス戦略では折り込み済み」であり、買い控えも「周囲の目を気にしたもので日本製品への評価が変化したわけではない」し、「一過性のもの」とする意見が多数を占める。

アンケート結果を通じて感じたのは、中国で事業展開する企業各社のある種の「たくましさ」である。断続的に訪れる中国リスクの顕在化に正面から立ち向かい、克服してきた日本企業にとって、確かに今回の騒動は「想定の範囲内」だったかもしれない。いくつもの苦難を乗り越えてきた企業には物心両面で応分の備えがあったのだろう。

景気に一服感が出始めた中国内需だが、世界有数の有望市場であることに変わりはない。内販を目指して中国に拠点を構える日本企業は中国リスクを承知の上で中国市場に身を置く必要がある。一方、輸出加工型の企業にとっては、今回の騒動が反日リスクの少ない国への「チャイナ・プラス・ワン」を改めて検討する機会になったはずである。

中国リスクと一言で言うが、広大な中国においては地域差も大きい。中央政府が建前論を強硬に主張する一方で、地方政府は日本企業の保護に向け、献身的ともいえる対応を続けたことが一例である。

また、輸出加工業か、自動車産業に代表される内販企業かによっても、中国リスクの受け止め方は異なる。好き嫌いではなく、日本企業の多くが中国と切っても切れない縁で結ばれている実態について痛感させられたアンケート結果と言える。<全国>


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