NNAカンパサール

アジア経済を視る July, 2017, No.30

メキシコはいま - 自動車産業が集積するバヒオ地域から

メキシコはいま

自動車産業が集積するバヒオ地域から

2016年の自動車生産台数が世界7位の約360万台に達したメキシコ。日米欧の完成車メーカーが生産拠点を設け、北米自由貿易協定(NAFTA)を活用した対米輸出が多い。世界46カ国と自由貿易協定(FTA)を結ぶFTA大国でもある。また中国などと比較して低賃金であることも魅力に挙げられる。現在、完成車やティア1(一次下請け)メーカーの進出は一服。産業の裾野を広げるためティア2(二次下請け)、ティア3(三次下請け)の進出が求められており、アジアの製造業分野の駐在員が多い本紙読者の間でも注目度は高い。

トランプ米大統領が保護主義的通商政策を打ち出して以降、日本ではメキシコビジネス環境の先行き不透明感が一時高まったが、日系を中心に自動車産業が集積する中央高原(バヒオ地域)一帯を回ると、各社は粛々と事業を進めていた。欧米系、アジア系は米国の政策に振り回されず積極的に投資を続けているようだ。メキシコはいまどうなのか。現地リポートをお送りする。

  • 作業するシナノケンシ・メキシコのワーカー

    メキシコ事業
    ホントのところ(前)

    ヨロズ、工場を2倍に拡張/
    シナノケンシ、精密モーター増産へ

    メキシコ

    メキシコはこれからも長期的に伸びていく――。自動車部品大手ヨロズ(横浜市港北区)の現地法人ヨロズオートモーティブグアナファト デ メヒコ(YAGM、2012年設立、グアナフアト州)の菅原義信社長の言葉には、メキシコ市場の成長性に対する自信が満ちている。

  • 作業するメキシコMSモールドの技術者

    メキシコ事業
    ホントのところ(後)

    エムエス製作所/稲畑産業/タイガースポリマー

    メキシコ

    自動車のドア周りに使うウェザーストリップ用のゴム金型の設計・製造を主に手掛けるエムエス製作所(愛知県清須市)は、2016年6月にメキシコに現地法人のメキシコMSモールドを設立。グアナフアト州の空港から近いレンタル工場(シラオ市)で今年、実質的な業務を開始した。

  • メキシコ工業団地&インフラMAP

    メキシコ工業団地&インフラMAP

    メキシコ

    資源国から工業国への発展を遂げ、日本の約5倍の面積を擁するメキシコ。進出する主要な企業や工業団地、交通インフラを、全ての州・連邦区ごとにまとめた

  • 欧米や日本の自動車関連メーカーが集積する中央高原(バヒオ地域)。高速道路の料金所などには英語とドイツ語、日本語で歓迎のメッセージが書かれている

    メキシコに吹いた
    トランプ旋風

    メキシコ

    メキシコに進出する日系企業は、円高傾向が続いた2011年以降に増え始めた。マツダとホンダの2社は新工場の建設を相次ぎ発表し、14年にそろって新工場を稼働。部品メーカーなどもこれに続いた。しかしこうした動きに水を差したのが、米国大統領に就任したトランプ氏だ。

  • 「目標 無断欠勤0%‼ やればできる‼」

    人材育成に悩む

    メキシコ

    メキシコ日本商工会議所バヒオ支局の藤山仁子支局長によると、NAFTAをめぐる問題を除き、現地の日系企業の間で最も関心の高いのは、人材に関する課題だ。

  • 「目標 無断欠勤0%‼ やればできる‼」

    ようこそ、わが州へ!

    グアナフアト州/ハリスコ州

    メキシコ

    日系の自動車関連企業約90社が進出するグアナフアト州はメキシコ自動車産業の中心地ともいえる。ティア1(一次下請け)までの進出が一服し、裾野を広げるためティア2(二次下請け)、ティア3(三次下請け)メーカーが必要とされる今、州経済開発局日本代表のロドルフォ・ゴンザレス氏は「中小企業にこそ進出してほしい」と呼びかける。

  • 事業革新パートナーズ(BIPC)メキシコグループの石崎奈保子氏

    メキシコ進出、具体的ステップは?

    メキシコ

    メキシコに進出するには実際にどんなステップを踏めばいいのか分からない─。進出を検討する企業はそう考えることもあるだろう。2014年からグアナフアト州で日系唯一のレンタル工場を運営し、会計税務や人材紹介、顧客マッチングなどのサービスも行う事業革新パートナーズ(BIPC)メキシコグループの石崎奈保子氏に聞いた。

  • このトピック、こう読みます

    このトピック、こう読みます

    メキシコ

    NNAが日々伝えるニュースからメキシコ関連のトピックをピックアップ。メキシコ歴数十年のベテランやメキシコ経済の専門家らがスッキリ説明する。

  • NNA NEWS TOP10 1位〜3位

    中国企業の海外投資・進出編[1〜3位]

    [1位]中国吉利がプロトン株49.9%取得 7月に正式契約、域内で商機狙う

    マレーシア

    マレーシアのコングロマリット(複合企業)DRBハイコムは5月24日、経営再建中であるグループ傘下の国民車メーカー、プロトン・ホールディングスの株式49.9%を、中国の浙江吉利控股集団(吉利集団)に売却すると発表した。

  • NNA NEWS TOP10 4位〜7位

    [4〜6位]

    [4位]中国五菱、国産LMPVコンフェロSを披露

    マレーシア

    米ゼネラル・モーターズ(GM)系の中国小型車最大手、上汽通用五菱汽車(SGMW)は5月22日、今年7〜9月に発売するインドネシア製造の小型多目的車(LMPV)「コンフェロS」を発表した。

  • NNA NEWS TOP10 8位〜番外編

    [7〜10位]

    [7位]自動車金型の天汽模、米同業の買収を計画

    米国

    中国国務院(中央政府)国有資産監督管理委員会(国資委)の肖亜慶主任は5月8日に開いた会見で、中央政府が直轄する国有企業(中央企業)がこれまでに参画した「一帯一路」関連のプロジェクトが1,676件に上ることを明らかにした。

  • 工業団地&インフラマップ 二輪車編

    ASEAN一覧 工業団地&インフラMAP

    二輪車

    ASEAN

    東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)の発足により、6億人を超える巨大な経済圏が動き出した。製造拠点と消費地を結ぶ幹線道路や物流施設などのネットワークも次々に整備され、その活用はすでに始まっている。域内の製造拠点である主要な工業団地や経済特区、交通インフラを一つの地図にまとめた。

  • 『交渉のすごい国 カナダ・メキシコ・NZに学ぶ』

    『交渉のすごい国 カナダ・メキシコ・NZに学ぶ』

    NAFTAはメキシコの政治的主権を侵害しないだろうという「読み」も、メキシコ側政策決定者は抱いていた。(本書より)

  • タブレットの活用とベトナム語対応で

    タブレットの活用とベトナム語対応で

    新工場の早期立ち上げを実現

    海外拠点における適正かつ効率的な生産・販売、会計管理をサポートしている東洋ビジネスエンジニアリング(以下B-EN-G)。同社が開発した生産管理システム「mcframe」は、日本と海外、特に東南アジアを中心に500社2,000サイト以上の導入実績を誇る。

  • UnionPay International

    日常生活も、出張や旅行もUnionPayでもっとお得に!

    ポイントを貯めると空港で受けられる優待・サービスも

    グローバルカードブランドの中で、UnionPay(銀聯・ぎんれん)の存在感が高まっている。UnionPay(銀聯)は、今や162の国と地域で使用可能となっている。40以上の国と地域で発行されており、発行枚数は65億枚を超える。

  • 注目国基本マニュアル・ベトナム編

    【注目国基本マニュアル】

    ベトナム編

    ベトナム

    ここ数年、6%台の経済成長を続けてきたベトナム。人口の規模は9,200万人と、低廉で豊富な労働力が魅力となり、日本公庫の調査では「中小企業の有望投資先」として3年連続1位を維持している。同国に拠点を置く日系企業の7割が「今後に事業を拡大する」としており、事業環境は良好のようだ。

  • 注目国基本マニュアル・ベトナム編

    カンボジア・プノンペンで実現する

    「日本品質」の暮らし

    カンボジア

    レオパレス21が海外で初めて自社開発したサービスアパートメント「グランフェルテ プノンペン」がこの秋、富裕層が多く住む閑静な住宅地トゥールコックにオープンする。ハード・ソフト両面で日本の賃貸管理ノウハウを取り入れた『日本品質』の住まいで日本人だけでなく外国人駐在員とその家族もターゲットにしていく。

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