NNAカンパサール

アジア経済を視る July, 2017, No.30

中国企業の海外投資・進出編[1〜3位]

メキシコでも存在感を示しつつある中国企業。中国政府が掲げる現代版シルクロード構想「一帯一路」もあり世界各地で進出が増えている。NNAが伝えるニュースから中国関連のトップ10をまとめた。

中国吉利がプロトン株49.9%取得
7月に正式契約、域内で商機狙うNNA POWER ASIA 2017年5月25日付

マレーシア

プロトンの株式49.9%を取得する吉利集団の李東輝CFO(右)とDRBハイコムのサイド・ファイサル・アルバル社長(左)=5月24日、行政都市プトラジャヤ(NNA撮影)

マレーシアのコングロマリット(複合企業)DRBハイコムは5月24日、経営再建中であるグループ傘下の国民車メーカー、プロトン・ホールディングスの株式49.9%を、中国の浙江吉利控股集団(吉利集団)に売却すると発表した。7月に正式契約を締結し、吉利の資金力により経営再建を加速する。吉利はプロトンへの経営参画を、日本メーカーが席巻する東南アジア諸国連合(ASEAN)市場での販売拡大の足がかりとしたい考えだ。

DRBハイコムは、プロトン株の49.9%を吉利集団に売却し、残り50.1%は引き続き保有する。株式売却額は7月の正式契約時に市場状況を勘案して決定する予定で、概算も非公表。また、プロトン傘下の英スポーツカーメーカー、グループ・ロータスについては51%を吉利に、残り49%はマレーシアのブミプトラ(マレー系と先住民)の富豪、サイド・モクタル・アルブカリ氏が保有する自動車関連企業エティカ・オート(EASB)に売却。ロータスの株式売却額は総額1億英ポンド(約145億1,800万円)で、プロトンはスポーツカー事業からは完全撤退し、乗用車事業に集中する。

DRBハイコムは約1年前から、プロトンの販売低迷を受けた経営悪化を打開するため、外資メーカーとの戦略的提携を模索していた。24日に行政都市プトラジャヤのホテルで正式契約に向けた覚書(MOU)の調印式を行ったDRBハイコムのサイド・ファイサル・アルバル社長は、最初は日本のスズキなどを含む世界の大手メーカー23社に打診をしたものの、吉利集団からは5年前にも経営参画の提案があったと明かし、今回の国際入札においても戦略、運営・財務、企業文化の3点を中心に方針が一致したと述べた。

BYD、南米エクアドルにEVバス工場建設NNA POWER ASIA 2017年5月15日付

エクアドル

BYDは海外での工場建設を加速している。写真は米カリフォルニア州ランカスター市にある同社のEVバス工場(新華社)

深セン市に拠点を置く中国エコカー最大手の比亜迪(BYD)はこのほど、エクアドル当局と了解覚書(MOU)を交わし、現地に電気バス(EVバス)工場を建設すると明らかにした。投資総額は6,000万米ドル(約68億2,100万円)に上る見通し。同工場はBYDが南米で建設する2カ所目のEVバス工場となる。海外では、米国、ブラジル、ブルガリア、フランスに続く5カ所目。

5月12日付南方日報が伝えた。同工場では、主にEVバスと電気自動車(EV)タイプのトラックを生産する計画で、年間生産台数は300台を予定している。工場稼働後はおよそ300人の新規雇用が見込まれている。

BYDは昨年11月にエクアドル支社を設立。今年4月にはEVタイプのセダン「e5」のタクシー仕様車30台をエクアドル南部の都市ロハに納入した。

海外展開を加速

BYDは海外展開を加速しており、昨年10月には、ブルガリアで2,240万米ドルを投じてEVバス工場を建設すると表明。同工場は中国ブランド初の欧州のエコカー工場となる。今年3月には、フランスで1,000万ユーロ(約12億3,500万円)を投じて欧州第2のEVバス工場を建設すると表明した。2018年前半の稼働を目指す。米国では、カリフォルニア州のランカスター工場2期拡張工事が進んでおり、今年7月に稼働する見通し。完工すれば、EVバスの年産能力は350台から1,500台に引き上がる。

中国スマホの存在感高まる
プロモで攻勢、シェア3割予測NNA POWER ASIA 2017年5月31日付

タイ

携帯電話の見本市に設置された中国メーカーのブース=5月18日、バンコク(NNA撮影)

タイのスマートフォン市場で中国メーカーがプレゼンスを強めている。5月中旬にバンコクで開かれた携帯電話の見本市では、各社が積極的なプロモーションを展開。幅広い価格帯でそれぞれが個性を打ち出し、減速傾向にあるタイのスマホ市場の原動力になりつつある。今年の中国メーカーのシェアは3割に到達するとの予測も出ている。

カシコン銀行傘下の民間総合研究所カシコン・リサーチ・センターのアナリストがNNAに説明したところよると、今年のタイのスマートフォン市場は前年比2〜3%増の1,720万〜1,740万台規模で、前年の8%から伸び率が縮小する見通し。金額ベースでも3〜5%増の965億〜979億5,000万バーツ(約3,130億〜3,200億円)と小幅な伸びにとどまると予測する。

第3世代(3G)通信から4Gへの移行が進んだ昨年までに比べ新たなプラス材料がないことや、消費者の購買力回復が遅れていることが市場減速の背景にある。同アナリストは「中国メーカーは積極的なプロモーションや販路の拡大で攻勢を続けており、今年の市場をけん引するとみられる」と指摘。中国メーカーの市場シェアは約30%と、2年前の15%から倍増すると予測する。

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