NNAカンパサール

アジア経済を視る May, 2022, No.88

電力不足と料金高騰
「産業の血液」に打撃

ウクライナ侵攻したロシアによる輸出引き締めや各国による経済制裁により、国際的なエネルギー需給が悪化している。化石燃料の不足で「産業の血液」である電力の料金が高騰。自国石炭の増産、原子力発電の政策転換、他国との融通の強化など、各国政府や企業は対策に追われる。NNA POWER ASIA配信記事から紹介する。

石炭や天然ガスなどの価格高騰に加え、「脱炭素エネルギー」に向けた追加投資が今後の電気料金の押し上げ要因になる(写真はホーチミン市直属トゥードック市の火力発電所)"

石炭や天然ガスなどの価格高騰に加え、「脱炭素エネルギー」に向けた追加投資が今後の電気料金の押し上げ要因になる(写真はホーチミン市直属トゥードック市の火力発電所)

中国

エネ生産拡大へ
石炭増産を指示=常務会議4月22日付

中国の李克強首相が主宰する国務院(中央政府)常務会議は20日、国内のエネルギーの生産能力を高める方針を決めた。石炭の生産能力を2022年に3億トン増やす計画で、石炭生産を抑制してきた近年の方針を転換した形。国際情勢の悪化で、海外からのエネルギー調達に懸念が生じていることに対応する。


香港

中華電力
中小飲食店の電気代猶予3月8日付

香港地場電力大手の中華電力(CLPパワー・ホンコン)は4日、外食業と小売業を営む中小企業に対し、電気料金の支払いを2カ月猶予すると発表した。中小企業を対象とした電気料金の猶予は2019年、20年に続き3回目。新型コロナウイルス感染拡大の第5波による影響で経営環境が悪化する中小企業を支援する。


台湾

電力インフラの強靭性向上を
蔡総統が表明、大規模停電受け3月7日付

台湾の蔡英文総統は、台湾の広い範囲で全体のおよそ3分の1に当たる549万戸が停電したことを受け「電力インフラの強靭(きょうじん)性を高めなければならない」と述べ、電力供給の安定に全力を尽くす考えを強調した。一方、産業界の重鎮である鴻海精密工業の創業者、郭台銘氏はエネルギー政策に関する指揮官の設置などを台湾政府に提言した。野党の中国国民党は大規模停電を受け、蔡政権に対する攻勢を強めている。


韓国

尹政権「原発最強国」に本腰
急転回の原発政策(上)4月11日付

5月に控える尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権の発足を機に、韓国の原発政策が180度方向転換する見通しだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権の「脱原発」路線から一転、尹氏は「原発最強国の建設」を公約に掲げるとともに、事業が中断している新たな原発の建設推進など、脱炭素化に向けて原子力をより積極的に活用する方針だ。ただ、使用済み核燃料の処分問題など越えるべき課題も多い。

〈関連記事〉

「原子力回帰」に政治の壁 急転回の原発政策(下)


タイ

メコン川でダム開発が加速
タイ企業関与、水環境への懸念も4月1日付

タイ企業がメコン川の水力発電所(ダム)開発に積極的に関与している。タイ政府が2050年までに達成を目指している温暖化ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(炭素中立)を後押しする。ただメコン川の乱開発は、下流域の水環境のさらなる悪化につながり、人々の生計が脅かされるとの懸念が強まっている。


ベトナム

石炭高騰、複数の火発が停止
300万kW超、EVNが節電要請4月1日付

国営ベトナム電力グループ(EVN)によると、ベトナム全国で5カ所の火力発電所が3月末までに運転の一部を停止した。石炭など資源価格の高騰を受けて輸入を減らす国営企業からの燃料炭供給が滞っているのが原因だ。停止している発電機の合計容量は300万キロワット以上に上る。同社は3月30日に発表した声明で、気温の上昇が予想される4月以降、電力不足による停電の恐れがあるとして節電を呼び掛けた。


インドネシア

補助金対象外の電気料金
5年ぶり値上げへ4月18日付

インドネシアのアリフィン・エネルギー・鉱物資源相は13日、補助金対象外の電気料金を引き上げると明らかにした。原油価格の高騰に応じて、5年ぶりに電気料金を調整する。


シンガポール

大口顧客の電力契約支援制度
6月まで延長4月1日付

シンガポールのエネルギー市場監督庁(EMA)は3月31日、電力の大口需要家向けの「一時的な電力契約支援制度(TRECS)」を6月末まで延長すると発表した。世界的なエネルギー危機とロシアのウクライナ侵攻の影響を考慮した。電力会社・市場に対するエネルギー市場監督庁の一時的な介入措置も延長する。


マレーシア

国営電力、不動産開発大手と
再エネで戦略提携4月14日付

マレーシアの国営電力テナガ・ナショナル(TNB)は12日、不動産開発大手SPセティアと再生可能エネルギー分野での戦略提携に関する覚書を結んだ。SPセティアが開発する住宅や商業施設に屋根置き型太陽光発電設備を設置する。対象となる物件は、希望に応じて電気自動車(EV)用の充電設備を設置できるよう設計される。


フィリピン

風力発電、全体の20%に
エネ省と世銀、40年達成へ行程表4月21日付

フィリピンのエネルギー省と世界銀行は20日、2040年までに電源構成に占める風力発電の割合を現在の1%から20%に引き上げるためのロードマップ(行程表)を発表した。目標達成に約500億米ドル(約6兆4,000億円)の設備投資が必要だと試算した。経済成長や人口増加に伴って国内の電力需要は拡大傾向にあり、ロシアのウクライナ侵攻をはじめ将来のエネルギー供給リスクもくすぶる。電源構成を多様化して安定供給を目指す。


カンボジア

太陽光発電、40年までに
7百万KWに拡大へ4月8日付

カンボジア政府は2040年までに、太陽光発電による発電量を700万キロワット超に拡大する計画だ。電力需要の増加が見込まれる中、クリーンエネルギー開発を強化していく。


ラオス

中国、ラオスから
電力を追加購入3月17日付

ラオス電力公社(EDL)は先ごろ、中国への電力供給について中国南方電網(CSG)と契約を締結した。契約には、中国が2022年、ラオスから115キロボルトの送電網を通じて電力を追加購入することを盛り込んだ。


インド

酷暑と経済活動再開で電力不足
各地で停電4月12日付

インド国内の複数の州でここ数日、一時的にではあるものの、停電が発生している。原因は、暑期の到来と産業活動の回復による電力需要の拡大だ。一方、海外から輸入する石炭と天然ガスの価格高騰などで、発電所の燃料備蓄が低下している事情もある。

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