NNAカンパサール

アジア経済を視る December, 2017, No.35

[1〜3位]

NNAが日々伝えるアジアの経済ニュース。最近の記事から注目トピックをピックアップした。

日タイ新幹線計画が大詰めへ
19年着工予定、東南アにくさびをNNA POWER ASIA 2017年11月20日付

タイ

新幹線計画の説明を受けるタイのアーコム運輸相(左)=11月17日、バンコク(NNA撮影)

日本とタイが共同で進める新幹線の建設計画が大詰めを迎える。国際協力機構(JICA)が2年前から進めてきた事業性調査が年内に提出される予定で、タイ当局は2019年に着工したい考え。事業総額は4,000億バーツ(約1兆4,000億円)を超える見込みだ。日本は交通インフラシステムの海外展開で東南アジアを「絶対に失えない主戦場」と位置付けており、域内初の新幹線導入が実現するかに注目が集まる。

11月17日には、日タイの鉄道協力に関するセミナーが首都バンコクで催された。日本側は佐渡島志郎駐タイ日本大使をはじめとする運輸関係者、タイ側からはアーコム運輸相らが出席。新幹線方式の導入を前提に進められてきたバンコク―北部チェンマイ間の高速鉄道計画の調査が実行フェーズに移れるかどうかの正念場に、タイの政府関係者にアピールした。

タイ運輸省の運輸・交通政策計画局(OTP)のチャイワット局長は「年内にも閣議の承認を受け、19年に着工したい」との考えを示した。まずは第1期としてバンコク―北部ピサヌローク間(全長380キロメートル)を建設し、25年にも同区間を開通させる方針だ。

米抜きTPPが大筋合意
投資環境の改善や関税撤廃に期待NNA POWER ASIA 2017年11月13日付

ベトナム

米国抜きのTPPは日本とベトナムが共同議長を務め、11カ国の関係閣僚によって協議された。写真はベトナムのチャン・トゥアン・アイン商工相=11月9日、ダナン市(VNA=NNA)

日本とベトナムは11月11日、米国抜きの環太平洋連携協定(TPP11)の内容について、参加11カ国が大筋合意したと発表した。今回は閣僚級の合意で首脳間合意までには至らず、早期発効に向けては依然として不透明感が残る。一方、ベトナムにとっては投資環境の透明性が増すことや産業の集積が進むことなど、米国抜きでもTPPの利点は多い。

共同通信によると、TPPで米国が抜けたことによる凍結対象は著作権の保護期間など20項目。また、カナダが求めた独自の文化政策に関する措置や、マレーシアが主張した国営石油企業に対する優遇禁止ルールの緩和など4項目については参加国の間で意見が一致しなかった。

新協定の名称は「包括的および先進的な環太平洋連携協定(CPTPP)」で、署名後、6カ国の国内承認手続きが完了してから60日後の発効となる。

米国が抜けたことで、TPP全体の規模は大幅に縮小し、魅力が低下したことは否定できない。特にベトナムにとっては最大の恩恵の一つとみられていた、繊維・アパレルの米国向け輸出でTPP11は利用できない。三井住友銀行アジア・大洋州トレジャリー部(シンガポール)のエコノミスト、鈴木浩史氏は「世界最大の消費市場である米国が抜けたことで、タイなど潜在的な参加国とみられていた国にとって、TPP参加のインセンティブが低減した」と予想する。

日本産牛肉、7年ぶり輸入再開
ハラル対応で徳島・熊本の2社からNNA POWER ASIA 2017年11月8日付

マレーシア

輸入解禁を控えた7月、イベント会場で提供されたハラル認証の日本産和牛を試食するムスリムの女性(右)=クアラルンプール(NNA撮影)

日本の農林水産省は11月7日、マレーシアのイスラム開発局(JAKIM)のハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証を取得した牛肉輸出施設(2施設)で処理された日本産牛肉のマレーシアへの輸出が可能になったと発表した。マレーシアに日本産牛肉が輸入されるのは7年ぶり。年内に第1弾が届く見通しだ。これまでマレーシアでは食べられなかった日本産牛肉がムスリム(イスラム教徒)も安心できるお墨付きで国内市場に流通することになり、外食事業者や小売り事業者が積極的な販促に動くとみられている。 マレーシアは2010年に日本で牛、豚などの口蹄疫感染が確認されたことを受け、日本産牛肉の輸入を禁止。前年の09年には通年で6,392キログラム(約4,119万円相当)に達していた牛肉輸入は途絶えていた。その後、日本国内での口蹄疫が終息を宣言してからは、マレーシア政府が政策として進めていたハラル認証が輸入再開の要件となった経緯がある。

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