NNAカンパサール

アジア経済を視る May, 2022, No.88

【インフルエンサーinアジア】

第六感を信じカンボジアへ
旅する感動を笑顔でシェア
Junさん

SNSで多数のフォロワーを持ち、強い影響力を持つインフルエンサーが注目を集める昨今。そんな彼・彼女たちの中から、日本とアジアをつなぐインフルエンサーをご紹介。(編集部 古林由香)

1996年、千葉県生まれ。小学校3年生でバスケットボールを始め、高校時代は男子U18日本代表に。専修大学卒業後、実業団の選手生活や山口県移住を経て、2020年からカンボジア在住。映像・コンテンツ制作会社「JUN LIFE GLOBAL」を創業、最高経営責任者(CEO)。(本人提供)

1996年、千葉県生まれ。小学校3年生でバスケットボールを始め、高校時代は男子U18日本代表に。専修大学卒業後、実業団の選手生活や山口県移住を経て、2020年からカンボジア在住。映像・コンテンツ制作会社「JUN LIFE GLOBAL」を創業、最高経営責任者(CEO)。(本人提供)

外務省が今年1月に発表した海外在留邦人数調査統計によると、カンボジア在留の日本人は約4,500人(2021年10月1日時点)。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中ではまだ在留邦人が少ないこの地で、現地のリアルな情報をSNSで伝えているのがJunさんだ。

学生時代はバスケットボールの選手として活躍していた彼が、とある挫折をきっかけに向かったのがカンボジア。「自分が感動したこの国の魅力を、多くの人に知ってもらいたい」と移住後からコンテンツ制作を開始。現地の人の間でも話題となり、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のフォロワーは8万人を超えている。

――学生時代はバスケ中心の生活を送っていたとか。

Jun 兄がバスケをやっていた影響で、小学校3年生の時に始めました。高校は部活動で有名な千葉県船橋市立船橋高校に進み、3年の時にはU18(18歳以下)の日本代表に選ばれました。大学もスポーツ推薦で入り、本当にバスケ漬けの学生生活でした。

――当時、思い描いていた大学卒業後の進路は?

Jun プロの道はすでに諦めていて、どこかの実業団に入り、バスケをしながら会社員生活を送るんだろうな、程度のイメージでした。実際、実業団の選手として企業に就職したのですが、それまでの経験が会社では何も役立たないことや、毎日、満員電車に乗っての繰り返しの生活に将来への不安を抱いてしまい……。いま振り返っても申し訳ない限りなのですが、半年ほどで退職しました。

その時、「価値観を広げるために、新しいことに挑戦しなければ」という思いに駆られて、決めたのが初の海外一人旅。日本とは違う、まだ発展していない国へ、という漠然とした理由でカンボジアとタイに渡りました。

――初めて訪れたカンボジアの印象は?

Jun 1週間の滞在中、シェムリアップとプノンペンを訪れたのですが、前者はのどかな一方、後者はたくさんのビルが建っていて。1つの国で2つの景色を見られることに感動しました。人々も擦れていなくて、笑顔をたくさん見せてくれて。学生時代は海外に興味がなかったこともあり、カンボジアに対し「何もない国」といった偏ったイメージしかなかったのですが、自分の目で見る大切さを痛感しました。

その翌年のベトナム一人旅で、「自分は将来、海外で暮らすんだ」いう確信めいたものを得て、海外移住を決意。カンボジアとタイで悩んだのですが、すでに発展している国より、いままさに発展途上の国の方が何かをする意義を見つけられると思いカンボジアにしました。

移住してからカンボジア生活で驚いたことを、町を歩きながら紹介。「至る所でビルが建設中で、これがまさに発展ということかとワクワクします。この時代のカンボジアにいられることのありがたみを感じます」(Jun Lifeのユーチューブより。以下同)

クメール語動画がヒット
自分を知ってくれうれしい

――カンボジア移住計画はどのように進めましたか?

Jun 旅から帰国後、縁あって山口県光市に移住し、地方創生関連の仕事を2年間しながら渡航準備を進めました。でもその間に新型コロナウイルス感染症が流行し、カンボジアの入国規制が厳しくなってしまい。周囲の大半は「いまは無理でしょ」という反応だったのですが、ずっとカンボジア移住の夢を言い続けていたら、現地で活動するNPO法人の代表者に運よくつながった。時間はかかりましたがビジネスビザを取得し、20年11月に移住。プノンペンの日本食レストランで働きながら、動画コンテンツ制作を始めました。

――ユーチューブ「Jun Life」のターゲット、コンセプトは?

Jun 主にカンボジア国外の人に向けて、カンボジアの生活情報や観光地としての魅力を伝えるコンテンツを日本語、英語、最近はクメール語の字幕を付けて発信しています(音声は基本的に日本語)。登録者のエリア属性は日本、カンボジアがそれぞれ約40%です。

――ティックトックがカンボジア人に人気だとか。

Jun 一切興味がなかったのですが、カンボジア人の友人に「この国でSNSをやるならこれだ」と勧められて始めました。僕がクメール語であいさつした動画がいきなりバズり(人気が出て)、現在フォロワーは8万人超。登録エリアの9割がカンボジアで、自分でも驚きの展開です(笑)。

最近だと、ポイ捨てででき上がったごみ山を取り上げた動画が再生90万回いきました。動画内で「ごみは持ち帰ろうよ」と伝えたところ、「不満があるなら国から出ていけ」といったコメントも一部ありましたが、大半は「ポイ捨てはやめよう」と共感してくれてうれしかったです。これに限らず、応援してくれる方のほうが断然多く、ありがたいですね。

――韓流スターみたいとのコメントも。

Jun 平均的な顔立ちの自分がなぜ、と戸惑いました(笑)。でも、覚えてもらいやすいならそれもありだと思い直し、ドラマ『梨泰院クラス』の俳優パク・ソジュンさんの髪形に一時期は完全に寄せにいきました(笑)。

カンボジアはシャイな人が多く、町で見かけても直接声はかけない代わりにこっそり僕を撮影し、その写真をSNSに送ってくるんです。「これJunですよね?」って(笑)。プノンペンが狭い町で遭遇しやすいというのもありますが、知ってくれていて素直にうれしいですね。

ティックトックに投稿したあいさつ動画が大人気となった件を紹介。「たどたどしいクメール語に高評価をたくさん頂いてしまい、うれしいやら恥ずかしいやら。クメール語は友人から教わりましたが、難しくてまだ全然話せません(笑)」(Junさん)

バスケも人生もタイミング
前向き思考が好機をつかむ

――コンテンツ制作で意識していることは?

Jun 自分が見たまま、フラットに伝えることです。カンボジア関連のユーチューブ動画の中には、再生回数を増やすために貧困や過去の悲しい歴史などに絞ったコンテンツもある。それも1つの方法だとは思いますが、自分は偏りなく伝えることを大事にしています。

あと、制作に限った話ではないですが、カンボジア人と触れ合うときは笑顔でいることを意識しています。いい笑顔をしている方が本当に多いんです。日本人としてそれを見習いたいし、僕から笑いかけてもっといい笑顔になってもらい、それを「カンボジアの良さ」として動画で伝えたいです。

――今後SNSを収益化したい考えは?

Jun ありません。ユーチューブについては現段階でカンボジアでは収益化できず、できたところで僕のチャンネル規模では大金が入ってくるわけではないので。SNSはカンボジアのことや、今年2月に起業した映像制作事業や僕個人を知ってもらうための入り口という意識です。

――事業内容を教えてください。

Jun 起業の際に出資してくれたカンボジア人がいるのですが、その方を通じて投資家などから調査依頼を受けた土地をドローン(小型無人機)で空撮し、編集した映像を納品しています。最近は、僕のユーチューブ映像の雰囲気を気に入ってくれた方などの依頼で写真撮影も行っています。ユーチューブは事業としてはやっていません。

――最近は日本の情報番組に現地リポーターとしてたびたび出演。日本のご家族や知人の反応は?

Jun カンボジア移住に否定的だった人たちの視線が変わったように思います。両親の反対を押し切って移住したため、良いとは言えない関係が続いていましたが、いまは起業したこともあり全面的に応援してくれます。

――将来の夢は?

Jun 旅先の1つにカンボジアを選ぶ人が増えてほしいです。自分が旅した時の感動を共有したいという思いが根底にあって、端的に言うと「みんな、新しい景色を観に出よう」という感じです(笑)。事業としては映像制作の他に、日本人などを対象にした観光ツアーなども手掛けてみたいですね。

海外生活は大変なことも多々ありますが、日本では起こりえなかった出会いやチャンスの連続。その素晴らしさを、過去の自分と同じように迷っている人に伝えたい。この先もカンボジアで新しいことに挑戦し続けたいです。

――カンボジアにほれ込む理由は?

Jun 僕自身も不思議なんです。移住を決めたのもたかだか1週間の旅行で、なぜこんなに愛着が湧くんだろうって。カンボジア人にもよく聞かれるんですが、はっきりとは答えられなくて。あえていうなら「第六感」ですね。

僕の生き方は知人からよく楽観的と評されるんですが、バスケ選手時代に悟ったんです。試合も人生も、チャンスが回ってきて状況が一変するタイミングがあると。準備をしておくことや、ビジョンを持っておくことが大前提ですが、チャンスを逃さないよう常にポジティブでいることを大事にしています。

現在までのところ、カンボジアを選んだ第六感は大正解です!

新型コロナ流行前は観光客でにぎわっていたビーチリゾート、ロンサレム島の現状を紹介。美しい空撮映像は自ら操作したドローン(小型無人機)で撮影。「今後も各地を訪れて、カンボジアの魅力を紹介していきたいです」(Junさん)

JunさんからNNAカンパサール読者へメッセージ

(NNAのユーチューブより)



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