NNAカンパサール

アジア経済を視る June, 2021, No.77

【インフルエンサーinアジア】

ベトナム各地で体当たり生活
情報&お笑い満載で人気上昇
ちかさん(日本)

SNSで多数のフォロワーを持ち、強い影響力を持つインフルエンサーが注目を集める昨今。そんな彼・彼女たちの中から、日本とアジアをつなぐインフルエンサーをご紹介。(取材=NNA東京編集部 古林由香)

早稲田大学卒。学生時代から友人と共にウェブ系デザイン会社の経営に参加し、卒業後はフリーでデザインのディレクション業務などに携わる。「先入観なく楽しんでもらう意味も込めて、年齢は非公表にしています」(写真はちかさん提供)

早稲田大学卒。学生時代から友人と共にウェブ系デザイン会社の経営に参加し、卒業後はフリーでデザインのディレクション業務などに携わる。「先入観なく楽しんでもらう意味も込めて、年齢は非公表にしています」(写真はちかさん提供)

YouTube:Chika VietVlog ベトナム探検隊 2万3,100人(登録者数。以下同)
Instagram : chika_vietnam 2,448人
Twitter : ChikaVietnam 1,024人
※登録者(フォロワー)数は21年5月24日現在

“ベトナム探検隊隊長”を自ら名乗り、ユーチューブの概要欄には「女子力を20年前に失った、破天荒な無職貧乏女のベトナム物語。子どもの頃からの憧れは川口浩探検隊」というパンチの効いた自己紹介文。プチ移住をテーマに、ベトナム各地で自らが実践する節約生活の様子やローカルグルメを自身のユーチューブチャンネルでリポートし、人気となっているのが今回紹介するちかさん。きれいなお姉さん系の容姿からは想像がつかないお笑い要素溢れる演出も好評で、チャンネル登録者数を順調に伸ばしている。

――ベトナムとの関わりはどのように?

ちか 初めて訪れたのは2008年。学生時代から海外旅行が好きで、いろんな国・地域に行っていたんですが、ベトナムには“東南アジアのそのもの”という印象を持ちました。バイクがいっぱい走っていて、カオスで、失礼だけど発展途上という感じで。でも、逆に言うとまだ物が無かったりサービスが整っていなかったりするところにビジネスチャンスがあるなと思いました。

――プチ移住生活をテーマにしたユーチューブを始めたきっかけは?

ちか 直近でベトナムに入ったのは昨年の1月なんですが、当初の目的は起業でした。大学時代から親しいベトナム人の友人がおりまして、その子と一緒にビジネスをやろうと就労ビザで入国したものの、その直後に世界で新型コロナウイルスがまん延。事業をスタートさせるにはタイミングがあまりに悪く、計画を変更せざるを得ませんでした。

以前からやっていたデザインのディレクション業務で生計を立てつつ、起業の準備と、加えてユーチューバー的な活動をしようと昨年3月に自分のチャンネルを開設しました。

始めた理由は三つ。一つは日本人向けのユーチューブで、ベトナムの有益な情報が得られる登録者が10万人を超える大きなチャンネルがなかったこと。二つ目は、ベトナムはコロナ前、旅行会社のPR活動が東南アジアではタイに次ぐ規模だったので、「ベトナム×観光情報」をユーチューブで発信するのは面白いなと思ったこと。三つ目は今後展開しようと思っているビジネスで、マーケティングツールとしてユーチューブチャンネルを持っていることがプラスになると思ったからです。

――動画を作る際に心掛けていることは?

ちか 真面目な解説動画にならないようにしています。楽しんで見ていただきたいので、時に“駐在妻”といったキャラクターを演じたり、探検ドキュメンタリーのような演出にしたり、エンターテインメント性を盛り込むように心掛けています。

市場巡りが大好きというちかさん。こちらの動画ではホーチミンのホアフン市場のローカルグルメを紹介。「ベトナム語は一切勉強したことがなく、市場でおじさんやおばさんとしゃべって覚えました(笑)。ベトナム人はいい意味でおせっかい。1人でいる私をかわいそうに思うのか、よく気に掛けてくれますね」。ちなみに動画に登場するイラストはちかさんが描いたもの

新作を週3回の定期配信
ストイックに続け登録者増

――チャンネル登録者の属性は?

ちか 男性7割、女性3割で、国籍別では日本人が8割以上。アクセスでいうと日本からが8割、ベトナムが1割、その他の地域が1割です。年齢層は高めで45歳以上が全体の65%を占めるので、その世代に通じやすい内容やギャグなどを入れるようにしています。

――ちかさんのイメージとのギャップが面白いと視聴者にも好評ですね。

ちか ありがとうございます(笑)。実は、もともとは表に出て目立つことは好きではないタイプで、最初は自分の動画に抵抗がありましたし、カメラに向かって話すことも初めてで恥ずかしかったですね。こういったことも、海外だから思い切ってできたのかもしれません。

――ちなみに日本にいるご家族やお友達の反応は?

ちか ユーチューバー活動のことは家族には一切伝えていません。反応が怖くて(笑)。友人にも話していないんですが、登録者が1万人を超えたあたりから2~3人から「びっくりした」と連絡がきました。他の人には言わないでと念押ししました(笑)。

新型コロナの影響で日本とベトナムを行き来するのは難しく、1年以上、日本には帰れていません。でも、こればかりは仕方がないですね。

――現在、動画は週3回の定期更新ですが大変では?

ちか 定期更新のほうが視聴者が付きやすいという分析から、曜日を固定しました。撮影も週3回で1回あたり2~3時間。iPhone(アイフォーン)12プロ、動画に特化した小型カメラの「オズモアクション」、「オズモポケット2」という三つの機材を使い分けて1人で撮影しています。撮影以外の時間は全て編集作業に充てているんですが、私の完成動画は比較的長めというのもあり、かなりの労力が必要ですね。

――ユーチューブでの収入は?

ちか グーグルの規約で収入を具体的に公開することはできないのですが、ベトナムで節約生活をするには困らない程度の額になってきました。

――現在、チャンネル登録者は2万人を超え順調に伸びています。

ちか 定期配信したり、ストイックに続けたことが理由かなと思いますが、でも正直なところ“やっと”という感じです。 自分がユーチューブを始める前は、10万人、20万人はすぐいくものかと思っていましたが、最初は100人ですら大変でした。

今の目標は10万人です。登録者の数だけでなく、再生回数も並行して伸ばしていけるように飽きられないチャンネルにしていきたいです。

ちかさんのチャンネル内で最多の視聴回数を記録しているのが、中部高原ラムドン省ダラットでの1カ月の生活費を公開した動画。「ユーチューブの難しさを感じてモチベーションが低下していた時にバズり(はやり)、本当にうれしかったです。これをきっかけに、それまでの1年分くらいの登録者数を一気に獲得できました」

ベトナム全省を回るのが夢
ユーチューブは一生続けたい

――ご自身がユーチューバーに向いていると思うところは?

ちか 根が真面目なところですかね。ユーチューバーって芸能人のように表に出る人と思われがちですが、実際には編集作業の他、分析、研究、企画といった地道で地味な作業があり、思っているより何十倍も大変。誰に管理されているわけでもないので、根が真面目でないと続かない気がします。

――やりがいを感じる時は?

ちか 再生回数と収入が上がった時です(笑)。今はデザイン業務の仕事を辞めて、ユーチューブに時間も労力もお金も掛けて本気でやっているので、努力が数値に出た時が一番うれしい。逆に苦しさを感じるのは、登録者数や視聴数が伸びない時ももちろんですが、それ以上に寝ても覚めても動画のことで頭がいっぱいで、どこに行っても気が休まらないこと。オンとオフの切り替えをうまくできるようになりたいです。

――これまでホーチミン、ニャチャン、ダラット、フエと4都市でプチ移住生活を体験し、一番良かった町は?

ちか 確実にフエですね。食事がおいしく、何でも安い。何より感動したのが、人が正直で優しいことです。ベトナム人は出身地で気質が違うと言われているんですが、移住生活をしていると本当にそうだなと実感します。フエには王宮のイメージしかなく、あまり期待せずに来たんですが本当にいい所です。このように、私がまだ知らないすてきな町がたくさんあると思うので、今後も移住生活を続けていきたいです。

――今後の夢は?

ちか これまでに滞在したのは主要観光都市なので、今後はもっと各地を回りベトナム全58省の動画を作りたいです。また、ユーチューブ以外の新しいことにもチャレンジしていきたいです。 「ベトナムといえばベトナム探検隊のちか」と言われるように努力したいですね。

フエで巡り合った当たり物件を紹介した動画。「ベトナムプチ移住のメリットは、安い生活費で良い暮らしができる点。特に家賃が安く、東京の5~6畳のアパートの家賃でプール付き高層コンドミニアムに住める都市もあります」

ちかさんからNNAカンパサール読者へメッセージ


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