NNAカンパサール

アジア経済を視る December, 2021, No.83

【アジア・ユニークビジネス列伝】

「柔軟剤詰め替え自販機で」
「家具の受け取り給油所で」

それを売るのか、そんなサービスがあってもいいのか。アジアは日本では思いもよらない商品やサービスに出会う。斬新で、ニッチで、予想外。「その手があったか!」と思わずうなってしまう、現地ならではのユニークなビジネスを紹介する。


【タイ】
柔軟剤のごみ削減
自販機で詰め替え

詰め替え時は正面ディスプレー内のタッチパネルで操作。柔軟剤の種類や量を指定する=タイ・サムットプラカン県(同社提供)

詰め替え時は正面ディスプレー内のタッチパネルで操作。柔軟剤の種類や量を指定する=タイ・サムットプラカン県(同社提供)

タイの消費財メーカーI.P.ワンは10月、同社が製造する洗濯柔軟剤「ハイジーン」の詰め替え用自動販売機を初めて設置した。容器の再利用を促すとともに、家庭から出るプラスチックごみの削減を目指す。

自販機の設置にあたり、大型小売店のビッグCスーパーセンターと提携。バンコク東郊サムットプラカン県の大型商業施設「メガバンナー」で営業する同店内に1号機を設置した。利用者は容器を持参することで、柔軟剤を詰め替えることができる。

I.P.ワンは昨年、自販機の開発に着手。試験運用で消費者から好評を得て、改良を重ねた。同社がタイの消費者に実施した調査では、回答者の半数以上がプラスチックごみの増加を含むごみ問題に関心を持っていたという。

同社は1972年創業。バンコクに本社を構え、サムットプラカン県のバンプー工業団地で工場を操業する。ハイジーンのほか、「ビソル」や「ウィズ」ブランドの掃除用洗剤、「アイビー」ブランドのヨーグルト飲料などの製造・販売を手掛けている。タイの他、ミャンマーとベトナムにも拠点を構える。

バンコクでは近年、個人経営の店舗や環境に優しい製品を専門的に取り扱うセレクトショップなどで洗剤やパーソナルケア製品の詰め替え所を見掛けるようになったが、企業が率先して詰め替え自販機を設置するのは新しい動きだ。I.P.ワンによる自販機の設置は、業界や消費者の生活に新風を吹き込む試みといえる。

【動画リンク】I.P.ワンが設置した自動詰め替え機の宣伝動画(公式フェイスブックより)

【動画リンク】I.P.ワンが設置した自動詰め替え機の宣伝動画(公式フェイスブックより)


【韓国】
家具受け取り給油所で
石油GSとイケア提携

ソウル市内にあるGSカルテックスのガソリンスタンド。中央奥がイケア商品用のピックアップ場所(イケア韓国のプレスリリースより)

ソウル市内にあるGSカルテックスのガソリンスタンド。中央奥がイケア商品用のピックアップ場所(イケア韓国のプレスリリースより)

韓国石油元売り大手のGSカルテックスは10月、スウェーデンの家具大手イケアと提携し、ソウル市江南区の給油所で家具のピックアップサービスを開始した。同社によると、ガソリンスタンドを利用したピックアップサービスは国内初。

新型コロナウイルス感染症の拡大で急増した、家具のネット通販需要に応えた。オンラインでイケアの家具を注文すると、GSカルテックス運営のガソリンスタンドに商品が配送され、最寄りのガソリンスタンドで受け取ることができる。

送料は約1万9,000ウォン(約1,800円)と、一般配送(5万9,000ウォン)の3分の1ほど。購入者にとっては送料を抑えられる点はもちろん、GSカルテックスは利用者を拡大し、イケアも物流による負担を軽減できるなど、それぞれにメリットがある。

年内に、◇京畿道平沢市◇忠清南道天安市◇大田市◇大邱市◇慶尚南道昌原市――でも実施。利用者の反応を見て、来年以降もさらにサービスを拡大していく計画だ。

イケア商品の保管スペース(イケア韓国のプレスリリースより)

イケア商品の保管スペース(イケア韓国のプレスリリースより)

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