NNAカンパサール

アジア経済を視る April, 2019, No.51

エチオピアで存在感増す中国

東方工業園、入居率100%

エチオピアで初めての工業団地として、2008年に開所した中国資本の東方工業園。当初は入居企業の誘致に苦労したが、過去数年で進出企業が一気に増え、第1期分は入居率100%を達成した。現在は第2期の開発に向けて、エチオピア政府に土地取得を申請中だ。(取材・写真=NNAインド編集部 天野友紀子)

東方工業園管理委員会の焦永順・副主任

東方工業園管理委員会の焦永順・副主任

第1期の面積は2.33平方キロメートル。累計投資額は3億米ドル(約334億円)を超えている。運営と管理を担う東方工業園管理委員会の焦永順副主任によると、1期の入居企業数は96社で、レンタル工場のほか、土地を賃貸または取得して入居企業が自ら工場を建てたケースもある。業種別では、縫製、靴、建材、食品、製薬、自動車などの企業が入居。中国以外では食品・家庭用品大手ユニリーバのほか、オランダ、インド、エチオピアなどの企業が入居している。

当初は企業誘致に苦労したが、ここ数年で進出企業が一気に増えた。エチオピアの投資事情に詳しい中国人コンサルタントによると、東方工業園が中国商務省によって国が認める工業団地となってから、中国国内のメディアで盛んに報じられるようになったのが入居企業増加のきっかけだ。中国国内でODM(相手先ブランドによる設計・生産)、OEM(相手先ブランドによる生産)企業が飽和状態となり、労務コストが上昇したことで、海外に活路を見出す企業が増加したのも追い風となった。

「投資回収期間は長く、1期の費用回収には15~20年を要する見通し。ただし、16年に損益分岐点に達し、近年の経営は順調だ」と焦永順副主任はいう。

1期では、エチオピア政府から入居企業に関する指定や制限はほとんど受けなかったが、同国政府の当時の政策と要望をくみ取って、労働集約型産業を優先的に誘致。雇用創出を最大化することに努めたという。次いで、輸出型の企業、技術レベルが高くエチオピアの輸入品の国産化を促す企業を優先。さらに、農産物の付加価値を上げるための加工企業や建設ラッシュに対応するための建材メーカーの誘致に力を入れた。

1期の入居企業には、製品を100%輸出している企業もある。靴の受託製造大手、華堅集団(広東省東莞市)は、米国向けを中心に全て海外に輸出している。同社は、12年に東方工業園のレンタル工場で生産を始めた。13年には2棟目を借りて生産を拡張。3棟目も希望したが、東方工業園で貸し出せる建屋がなくなり、自社で「華堅国際軽工業城」という工業団地を開発することにした。

東方工業園は2期として、1.67平方キロメートルを開発すべく、エチオピア政府に土地取得を申請している。2期では自社プロジェクトを立ち上げ、ジーンズと電力設備に分野を絞り、産業チェーンの構築を目指す方針だ。

ジーンズは紡績から機織り(生地作り)、染色、仕立てまでを工業団地内でできるようにする。

電力設備については、エチオピアが輸入に依存している変圧器やワイヤー、ケーブル、分電盤、電力計、送電鉄塔の材料などを作る。これら一大生産拠点の整備はエチオピア政府からの要望ではなく、東方工業園が独自で掲げる戦略だ。

ジーンズと電力設備以外の部分は、個別に企業を誘致する方針だが、エチオピア政府からは、製品を100%輸出する企業に限定するよう求められている。焦副主任は、「100%輸出企業という条件はかなり難しく、時間をかけて探すしかない」と話した。

政府との折衝が最大の課題

エチオピアで工業団地を運営する上で最大の課題は、エチオピア政府との折衝だという。工業団地の歴史が浅いエチオピアで開発側の意図を理解してもらうためには、同じことを繰り返し説明する必要がある。また、土地の取得については、中央政府だけでなく、地方政府の同意も得なければならない。

2期では、中小企業は受け入れず、大企業のみとする方針だ。焦副主任は「日本とドイツは製造業のトップランナーだ。両国からの入居は特に歓迎する」とアピールした。

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