NNAカンパサール

アジア経済を視る October, 2018, No.45

SIMフリースマホ市場

ファーウェイ、ASUSでシェア約7割!
日本でも攻勢 中華スマホNOW

ビックカメラ新宿東口店(ビックロ)の格安スマホコーナーに並ぶSIMフリー機種。ファーウェイ、ASUS以外にも、OPPO、ZTEの中国メーカーのスマホが並ぶ

ビックカメラ新宿東口店(ビックロ)の格安スマホコーナーに並ぶSIMフリー機種。ファーウェイ、ASUS以外にも、OPPO、ZTEの中国メーカーのスマホが並ぶ

SIMフリースマホの販売台数シェア(18年1〜6月)

全国の主要家電量販店・ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」が発表。ファーウェイは複数機種の売り上げが好調で、約4割のシェアを達成。2015年、16年と首位だったASUSは今年3月、東京に複合型店舗を開きサービス面を強化させている

日本でのスマートフォン全体のシェアでは、まだ上位に食い込めていない中国や台湾のメーカー。しかし、SIMフリーモデルに限れば一転、ファーウェイとASUSで約7割という圧倒的シェアを達成している。「ビックカメラ全店のSIMフリースマホ販売シェアも、その2社で8割を占めます」と語るのは、ビックカメラ新宿東口店の携帯電話コーナー主任、立川裕一郎さん。シャープ、富士通といった日本メーカーもSIMフリーモデルを販売しているが、「ファーウェイ、ASUSはラインアップが非常に豊富。安さ重視なのか、写真にこだわりたいのか、サクサク動かしたいのかなど、ニーズと予算に合ったモデルが見つかる」と強みを説明する。「売れ筋は手ごろな価格とスペックのバランスが良い2~4万円前後の機種。ハイエンドモデルは、一概には言えませんが、サムスン、アップルなどの同スペック機種より3〜4万円程度はお安く購入できます」とコスパの良さも魅力だ。

携帯コーナー担当9年目のベテラン。「最近の中国、台湾のスマホはデザイン性がアップし、高級感があります!」

格安SIMと呼ばれる仮想移動体通信事業者(MVNO)のサービスに加入する際、同時購入する人が多いそうで、「サポートを心配されるお客様もいらっしゃいますが、ファーウェイ、ASUSはサポート体制を充実させてきています。社名を何となく知っている程度というお客様にも、性能の高さや世界的に実績のあるメーカーだと説明すれば、納得して購入されます」と立川さん。5~6年前は、中国・台湾のメーカーだというと検討すらしてもらえないこともあったそうだが、格安SIM市場の拡大とともに市民権を得た感があると言う。「機種のラインアップも年々豊富になってきていますし、今後ますます利用者が増えると思います」。

※集計期間:18年7月18〜31日。価格はいずれも8月15日時点での店頭販売価格、全て税別

※集計期間:18年7月18〜31日。価格はいずれも8月15日時点での店頭販売価格、全て税別


世界シェア5位OPPO(オッポ)

独自機能+ローカル化+お手ごろ価格で
日本市場ガチンコ参戦

スマートフォン世界シェア5位(前頁参照)のOPPOが、今年2月に日本のSIMフリースマホ市場に新規参入してから約半年。8月22日に都内で会見を開き、日本市場向けの第2弾モデルを発表した。

登壇した日本法人OPPO Japanの鄧宇辰(トウ・ウシン)代表取締役は「新商品の2種のうち、ハイエンドモデルの『R15 Pro』には最新のAI(人工知能)を導入。誰もがプロ並みの写真が撮れる」と自信を見せた。参入後の日本市場での手ごたえについて、「厳しさを感じている」と謙虚に語りつつも、今回の新機種にはおサイフケータイ対応のFeliCaと防水機能を搭載したことに触れ、「(参入後、半年で投入する)このスピード感は、現地化をいち早く進める決意の表れ。我々の誠意を感じていただければ」と日本市場にかける熱意をアピールした。

鄧代表取締役(写真中央)は、シンガポールの名門、南洋理工大学卒。18年下半期もさらなる新機種を投入すると宣言した

R15 Neo(写真)のメモリ3GBモデルの市場想定価格(税別)は2万5,880円、R15 Proは 6万9,880円

アップルのiPhone8(上)は“そのまま”に近い写真。一方、OPPOのR15 Pro(下)はトーンが全体的に明るく、肌は健康的で輝くような質感に仕上がる

会見後、中国本社からやって来たという商品開発担当者に「ぜひセルフィー(自撮り)を試してみて」と勧められ、R15 Proを初体験した。同社のスマホは「カメラフォン」という名称で売り出しているだけあり、高性能カメラ+AI技術で、自動的にツルツルの美肌に補正。シワもシミも消え去っている。「5歳、いや10歳若返った気分!」と驚きを伝えると「それが本当のアナタです」と開発担当者はニヤリ。OPPOのスマホ、日本でもシェア上位獲得の可能性は十分にありそうだ。

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一番乗りはどこ!? 折り畳みスマホ中韓で競争が本格化

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2019年にも登場する見込みの「折り畳み(フォルダブル)スマートフォン」を巡り、韓国と中国のメーカーによる本格的な競争が始まった。韓国最大手のサムスン電子がプレミアム製品として開発を進める。中国ではファーウェイが世界初の発売を目指しているほか、OPPOとシャオミも競争に加わった。

ソウル経済新聞によると、サムスン電子は7月31日の4〜6月期業績発表のカンファレンスコールで、フォルダブルスマートフォンの開発と関連し、「新しいフォームファクター(ハードウエアの形状や大きさを決定するもの)に最適化されたソフトウエアサービスを開発する段階にある」と説明した。

サムスン電子のフォルダブルフォンは、画面を内側に折り畳むタイプで開いた状態では7.2インチのタブレット端末になるとみられている。専用アプリケーションやコンテンツの開発も同時に進められている。フォルダブルフォンで重要になる「曲がるディスプレー」は、グループ系列会社のサムスンディスプレーが11月ごろから量産を開始する計画とされる。

19年1月の米家電見本市「CES2019」か、2月にスペイン・バルセロナで開かれる「MWC2019」での発表が期待されている。

一方、IT専門メディアのGSMアリーナによると、ファーウェイは年内にもフォルダブルフォンを発表する可能性があるという。ディスプレーは中国の液晶パネル最大手、京東方科技集団(京東方、BOE)から調達し、初期生産台数は2〜3万台にとどまる見込み。さらに、OPPOとシャオミもフォルダブルフォンの発売競争に加わる見通しだ。(文=NNA韓国編集部 清水岳志)

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