NNAカンパサール

アジア経済を視る July, 2018, No.42

【アジア業界地図】コンビニ編

中国、台湾、韓国、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア

アジア業界地図・二輪車編

中国では無人コンビニが急増中。写真は先駆け的な存在の「ビンゴボックス(繽果盒子)」。商品はセルフレジでスマートフォンを使い決済

経済成長とともに消費者の購買力も高まり、店舗が増え続けるアジアのコンビニ市場。店舗数のランキングでは、日系大手4社が各地でランクイン。日本で培ったサービスと、商品開発力で競合との差別化を図っている。

【中国】

中国

10万店舗の大台突破 モバイル決済が3割

業界全体の2017年売上高は1,900億元(約3兆2,500億円)を超え、店舗数は全国に10万店舗以上。上位2社はグループ企業のガソリンスタンドに併設する形で店舗を展開。モバイル決済が普及し支払い全体の3割を占めるとの調査結果もある。一方で人件費などの運営コストが急上昇しており、こうした課題を解決できる無人コンビニが注目されている。



【台湾】

台湾

初の無人店舗が登場 異業種コラボ店も続々

セブン-イレブンは今年1月、台湾初の無人店舗「Xストア」の実証実験を開始。ハイテク技術で従業員の労働負担の軽減を目指す。ファミリーマートは、薬局チェーン、有機野菜スーパーに加え、牛丼チェーン「吉野家」や韓国のフライドチキンチェーン「BBQチキン」とコラボした“複合店”で差別化を図る。



【韓国】

韓国

新規出店が増加 賃金引き上げで閉店も

17年7月に人口比の店舗数で日本の1.6倍の規模に成長。トップ3のCUらがけん引する中、各社が店舗網拡大を続ける。出店コストが比較的安いこともあり、若い開業希望者や定年退職者による新規出店が目立つ。ただ、従業員の最低賃金の大幅な引き上げで、今年に入り閉店する店舗も増えつつある。



【タイ】

タイ

セブン-イレブンが一強 ライバルは中食で勝負

「セブン-イレブン」を展開する大手財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下のCPオールは、資金力を武器に過去5年間で年600〜700店ペースで出店。21年に1万3,000店を目指す。「一強」に対しファミリーマートやローソンは弁当などの中食や店内調理した食品で差別化を図っている。



【ベトナム】

ベトナム

購買力上昇で競争過熱 異業種からの参入も多数

経済成長が続き、消費者の購買力が上昇する中、コンビニ市場は最大都市ホーチミン市を中心に競争が激しくなりつつある。異業種からの参入も多く、家電やデジタル機器の販売が主力だったテーゾイ・ジードン(モバイル・ワールド)は、小型スーパーを年内に500店出す目標を掲げる。ホーチミン市で競争が過熱する一方、首都ハノイでは外資系小売りの存在感が依然としてほとんどなく、ベトナムで全国展開する難しさを物語る。



【マレーシア】

マレーシア

セブン-イレブンが独走 ファミマも16年に参入

コンビニ業界は16~22年に年間平均成長率6.0%で伸びると予想されている。15年の市場規模は33億リンギ(902億5,000万円)で、コンビニの浸透率は100万世帯当たり504件(17年時点)。セブン-イレブンがほぼ一人勝ち状態となっている。新設、既存店舗の刷新をそれぞれ年200店規模で実施する経営体力が、そのまま集客力につながっていると考えられる。





【インドネシア】

インドネシア

コンビニは「飲食店」扱い
地場2社が圧倒的シェア

インドネシアでは雑貨店など既存の小売店(伝統小売り)を保護するため、コンビニは「飲食店」扱いとなり、店の内外で飲食ができる「軽喫茶」スタイルをとっている。日系コンビニでは、ローソンが首都ジャカルタなど都市中心部のオフィスビルなどで出店を増やしている。一方、ファミリーマートは昨年撤退したセブン-イレブンの旧店舗を取得している。


Close up

出店数で比較!日系コンビニ4社のアジア進出

比較表

アジア全域で店舗網を広げる日本のコンビニ大手4社。インドネシアのように市場に適合できず撤退を余儀なくされるケースもあるが、各社、店舗数は増加傾向をみせている。ファミリーマートは、「サークルKとサンクスからファミリーマートへのブランド転換が最優先課題で、海外より日本国内の展開に注力している」と同社の広報。「ただ、海外店舗数は18年2月末の6,849店舗から、19年2月末には7,004店舗へ純増を予定。引き続きニーズが見込める地域・エリアには出店していく」と語った。

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