NNAカンパサール

アジア経済を視る April, 2018, No.39

[1〜3位]

日系企業が活発な動きを見せているアジアの医療業界。NNAが報じたニュースの中から関連の記事をピックアップ。

国内未実施の臨床検査も受託 日イ合弁が北ジャカルタに検査センターNNA POWER ASIA 2018年1月19日付

インドネシア

臨床検査サービス事業を開始した、合弁会社イノラボ・サインス・インターナショナルの関係者=1月18日、ジャカルタ(NNA撮影)

豊田通商と、日本で臨床検査業務を手掛ける保健科学研究所(横浜市)は1月18日、インドネシアで受託臨床検査サービスを開始したと発表した。地場の製薬最大手カルベ・ファルマと合弁で、北ジャカルタに臨床検査センターを設立。病院やクリニックなどの医療機関で採取した検体の検査を行う。海外の検査機関に回されることも多かった特殊検査も行い、5年後には国内の医療機関の約半数から検査を請け負う目標を掲げている。

合弁会社はイノラボ・サインス・インターナショナル(ISI)。カルベ・ファルマの検査事業部門を分社化し、政府当局から外資企業による出資認可を得た後、豊田通商と保健科学研究所が増資を引き受ける形で参画した。資本金は316億6,800万ルピア(約3億円)。出資比率はカルベ・ファルマの完全子会社が6割、豊田通商と保健科学研究所が各2割。

北ジャカルタの「アルティラ・ビジネス・パーク」に、臨床検査センター「カルゲン・イノラボ・クリニカルラボラトリー」を開設、昨年12月から業務を開始した。病院やクリニックで採取した血液や尿、細胞などの臨床検査を行う。

カルベ・ファルマはこれまで、臓器や組織の病理検査を中心に行ってきた。ISIは、保健科学研究所が日本で長年培った検査ノウハウを生かし、がん検査を含む、インドネシアでまだ行われていない検査項目も導入する。

保健科学研究所から日本人検査技師1人を常駐させ、出張者を含めて常時3〜4人が検査に当たることで、日本水準の検査体制を維持する。インドネシア人検査技師も十数人おり、うち2人を日本に派遣、約1年間の予定で研修を実施するなど人材育成も行っている。

ラカイン北部に血液銀行 日本の官民支援で設置NNA POWER ASIA 2018年1月22日付

ミャンマー

支援機材目録をミャンマー政府側に手渡す樋口建史・駐ミャンマー大使(左)=1月19日、ヤンゴン(NNA撮影)

ミャンマー西部ラカイン州北部マウンドーに、日本の官民の支援で血液銀行が設置される。マウンドーは情勢不安定で献血システムの立ち上げは困難なことから、血液製剤を最大都市ヤンゴンから運び込む。血液用冷蔵庫など保存設備は日本企業が支援する。

日本は国際協力機構(JICA)の主要感染症対策プロジェクトなどを通じ、同国の輸血の安全性を改善、血液供給側の強化を進めた。一方、臨床現場では血液製剤の安全使用など新たな課題も浮上。心臓外科手術など高度医療も行われるようになり、成分輸血や白血球除去血など補助療法としての輸血に対する期待も高まった。

厚生労働省は医療技術等国際展開推進事業として、15年から「血液事業(輸血)ならびに造血幹細胞移植医療強化事業」を実施。同事業に参加する大同工業と久保田商事が、血液用冷蔵庫と運搬用保冷ケース、血液型検査用の遠心分離機など機材の寄贈に合意。太陽光発電システムや、恒温槽やオートクレーブなど資機材は、JICA専門家の在外事業強化費で支援することになった。

ラカイン州北部はイスラム教徒少数民族ロヒンギャが多い地域。昨年8月のロヒンギャの武装集団と治安当局との衝突で、ロヒンギャ60万人以上が隣国バングラデシュに難民となって逃れたとされる。

HOYAが新R&D 施設開所 世界2カ所目NNA POWER ASIA 2018年1月17日付

シンガポール

開所式には(左から)HOYAの鈴木CEO、経済開発庁のチュン氏、HOYAサージカルオプティクスのラッセンCEOらが参列=1月16日、シンガポール中部(NNA撮影)

HOYA傘下で眼科医療向け製品を手掛けるHOYAサージカルオプティクスは1月16日、シンガポールでグローバル研究開発(R&D)施設を開所した。R&D施設は日本に続き2カ所目。眼科医療に関する最先端の治療や研究を行う病院や研究機関があり、豊富な人材を抱える同国で、外部機関との連携を通じてイノベーション(技術革新)を促進したい考えだ。新施設は、中部ブオナビスタのバイオ研究集積地バイオポリスに入居する本社に隣接して設置した。総床面積は約1,200平方フィート(約111.5平方メートル)。





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