NNAカンパサール

アジア経済を視る February, 2018, No.37

【アジアの穴場】

デジタルメディアシティ(韓国)
韓流コンテンツを「生」で楽しめる新興都市

韓国

放送局周辺で頻繁に行われているアイドルのファン交流イベント。質疑応答や撮影コーナーなどが催される

放送局周辺で頻繁に行われているアイドルのファン交流イベント。質疑応答や撮影コーナーなどが催される

ランドマーク的な放送局・MBC本社前の広場

ソウル中心部から程近い場所にある上岩洞・デジタルメディアシティ。通称DMCとして知られるこの地区は、ソウル市の音頭で情報メディア産業団地として開発された新興都市だ。2002年から開発が始まり、いまやIT企業を中心に数百社が軒を連ねる一大エリアへと発展した。ちなみにソウル日本人学校も、10年にこの地に移転した。

すっきりと区画整備された一帯には、コの字型やドーム型などデザインを凝らしたビルがずらり。近未来的な景観は、映画「アベンジャーズ2」のロケ地として使用されたことでも知られる。しかしパッと見、観光スポット的なものは見当たらず、ガイドブックで紹介されてもおまけ程度。だが、一部外国人の間ではリピーター続出のホットスポットとして人気を集めている。

その火付け役は放送局。民放のMBCやSBS、コングロマリット企業CJグループの主要子会社であるCJ E&Mなど、韓国を代表する放送局が次々とDMCに本社やスタジオを移転。本社の一角で見学コースを設けたり、グッズショップの運営をしたりし、来場者を楽しませている。といっても、その辺りは日本の放送局でもおなじみの光景。DMCが違うのは、旬のスターを生で観覧できる各種イベントが頻繁に行われている点にある。

DMCの各放送局では週3日ほど音楽番組の公開収録が行われているが、参加は基本無料。事前申請が必要だったり、何時間も野外で待機しなければならないなど、いくつかの条件はあるものの、比較的簡単にK-POPスターの生ステージを観覧できる。

また、本番後終了後に周辺の広場で「ミニペンミ」と呼ばれるアイドルとの交流イベントが開催されることもしばしば。広報活動の一環のため、見学は自由。日本では数千人クラスのホールで公演をする人気アイドルに至近距離で会えるとあり、これを目的に渡韓するファンも少なくない。

アイドルに興味なしという人には、2016年にリニュアールオープンした韓国映画博物館をお勧めしたい。韓国における映画産業の発展と歴史を学べる施設で、衣装などの小道具や映像資料など、貴重な展示物が無料で観覧できる。

新興都市ゆえ、地元グルメや名物料理などは特にないもの、飲食店は各ビル内に多数あり食べる場所には困らない。一般人も利用可能な放送局のフードコートでは、腹ごしらえをするスターに遭遇することも。主要産業の一つに成長した韓流コンテンツの勢いを感じつつ、ミーハー心も満たしてくれる、ソウルのとっておきの穴場だ。


CJ E&Mセンター。音楽番組「Mカウントダウン」は先着順で観覧可能。地下フードコートは一般人も利用可能

映画「アベンジャーズ2」のロケ地として使用されたDMC。周辺道路ではドラマの撮影も頻繁に行われている

【アクセス】
地下鉄6号線または空港鉄道デジタルメディアシティ駅下車。9番出口から徒歩約10分。仁川空港からのリムジンバスのほか、明洞、東大門、江南方面からの市内バスも多数運行。京義・中央線の水色駅からもアクセス可能(徒歩約10分)。

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