NNAカンパサール

アジア経済を視る February, 2018, No.37

[7〜10位]

アジアでは経済成長に伴い鉄道をはじめとする社会インフラ整備の需要が膨らみ、情勢は短期間で大きく動くことも多い。日本勢も売り込みに力を入れる中、最近のNNAのニュースから関連ランキングをまとめた。

住宅の供給過剰に政府が抑止策、在庫は過去最多にNNA POWER ASIA 2018年1月8日付

マレーシア

都心の建設現場。住宅のほか、オフィスや商業施設も供給過剰が続いている=クアラルンプール(NNA撮影)

マレーシア政府は過熱する住宅供給に対し、段階的に抑止策を実施してきたが、住宅在庫数は2017年第1四半期(1〜3月)時点で13万690戸と、過去10年間で最多となった。マレーシアの国家不動産情報センター(NAPIC)は「オフィスや商業施設だけでなく、住宅も供給過剰にある」と指摘。ただ、5%台で堅調推移する実質国内総生産(GDP)成長率が引き続き投資家の買い意欲を下支えするとみている。

NAPICの年次報告書によると、17年上期の在庫13万戸のうち、25万リンギ(約707万円)以上の中価格帯が83%を占めた。また、約6割が高層マンションになるという。

過去5年間(13〜17年)の新規供給数を見ると、14年が6万7,100戸と6万戸の大台を超えた以外は、通年5万2,000〜5万8,000戸で推移しており、17年は上期で2万8,400戸が新たに供給された。新規供給に対して成約に至った物件の割合(契約率、半期ベース)は、13年上期が41.6%と最も高かった。以後、14年下期の30.1%をピークに17年上期は23.9%に低下した。

政府は、過熱する住宅供給を見据え、抑止策として昨年11月、コンドミニアムや高級ショッピングモールなどの商業施設の建設を一時凍結。高級物件の需給バランスの安定化を図っている。また、低中価格の供給促進として住宅購入支援策「ワン・マレーシア住宅計画」(PR1MA)を掲げ、18年までに50万戸の供給を目指すとしている。

17年コンテナ量が6年ぶりプラス、主要港で5位かNNA POWER ASIA 2018年1月17日付

香港

香港の2017年のコンテナ取扱量は6年ぶりのプラス転換となった=青衣(NNA撮影)

香港海運港口局(HKMPB)は1月15日、香港の2017年のコンテナ取扱量が前年比4.8%増の2,075万5,000TEU(20フィートコンテナ換算)だったと発表した。11年以来6年ぶりのプラス転換。14年ぶりに2,000万TEUを割った前年から再び大台を回復した。中国本土をはじめとするアジアの貿易活発化や先進国市場の経済復調による恩恵を受け、世界主要港での順位は5位を維持するとみられる。主力の葵青コンテナターミナルは前年比6.8%増の1,623万6,000TEU。プラスは3年ぶりとなった。

16日付大公報によると、葵青コンテナターミナルの企業経営者から成る香港コンテナ埠頭(ふとう)協会(HKCTOA)の鍾惠賢(ジェシー・チョン)会長は「18年も良い結果を期待している」とコメントした。

香港荷主委員会の林宣武(ウィリー・リン)委員長は、香港が主に中継貿易の貨物を処理していること、深セン市と東莞市の工場が次第に減少していること、電子製品と電子商取引(EC)の貨物が航空便で輸出されていることを踏まえ、「香港の貨物取扱量が減少に向かうのは不思議ではない」との認識を示した。

同委員長はその一方、香港と東南アジア諸国連合(ASEAN)が締結した自由貿易協定(FTA)が19年に発効した後、域内のより多くの製品が香港を経由することで、本土の貨物の落ち込みを相殺すると期待していると述べた。

税制改革で加糖飲料値上がり、製法変更のメーカーもNNA POWER ASIA 2018年1月19日付

フィリピン

首都圏マカティ市のセブン―イレブンでは1月中旬から値上げが始まったという=(NNA撮影)

1月1日に税制改革法(TRAIN)が施行されたフィリピンで、加糖飲料の値上がりが始まった。マニラ首都圏の小売店は先週から、炭酸飲料やジュースの価格を、1本当たり数ペソ(1ペソ=2.2円)引き上げている。米コカ・コーラや米ペプシコは、課税額を低く抑えるため原料の比率を変更する方針だ。

マカティ市のコンビニエンスストア「セブン-イレブン」は先週、一部の飲料を値上げした。コカ・コーラの「コーク・ゼロ」(500ミリリットル入りペットボトル)は32ペソから37ペソ、ペプシコの「ペプシコーラ」(500ミリ)は30ペソから38ペソなど、いずれも数ペソの上昇だ。

各飲料メーカーやセブン-イレブンは値上げの理由を発表していないが、店舗の店員は「TRAINによる加糖飲料への課税に伴う値上げと聞いている」と説明した。

TRAINは、異性化糖(高果糖コーンシロップ、HFCS)を用いた飲料に1リットル当たり12ペソ、HFCS以外の甘味料を使用した飲料に6ペソの税を課す。飲料メーカーの幹部は、「商品への価格転嫁は避けられない」と話す。

課税額を抑えるために製法を変更するメーカーも出てきた。砂糖統制局(SRA)は11日、コカ・コーラ、ペプシコ、ロイヤル・クラウン・コーラ(RCコーラ)の現地法人3社がHFCSとその他甘味料の両方を使用する従来の製法をやめ、その他甘味料に含まれる国産砂糖のみを使う製法に変更すると発表した。

国交樹立60年記念式典を開催、若者の交流強化へNNA POWER ASIA 2018年1月22日付

インドネシア

国交樹立60周年記念事業開始の太鼓を鳴らす二階氏(左端)、カラ副大統領(左から2番目)ら=ジャカルタ(NNA撮影)

日本とインドネシアは1月20日、国交樹立から60周年を迎えた。首都ジャカルタのホテルでは記念式典が開かれ、二階俊博首相特使(自民党幹事長)が日本政府代表、ユスフ・カラ副大統領がインドネシア政府代表としてそれぞれあいさつ。両氏とも、若い世代の交流強化が重要との認識で一致した。

安倍晋三首相の特使として式典に出席した二階氏は、日本とインドネシアが長年にわたる友好関係が類いまれなものとの認識を表明。カラ氏をはじめとするインドネシア側の尽力の大きさを指摘した。

二階氏は続けて、日本・インドネシア国会議員連盟の会長を務めていること、2015年には1,100人の日インドネシア文化経済観光交流団とともにインドネシアを訪問したことを挙げ、自身が両国の交流拡大に深く関わってきたことを説明。両国の交流はあらゆる分野で目覚ましい飛躍を遂げてきたことを強調した。両国の若い世代による交流拡大を図るため、インドネシアの若者60人を日本に招待することも明らかにした。

二階氏は両国の友好関係が10年後、20年後、さらにインドネシアが独立100周年を迎える45年になっても緊密であるようにしなければならないとの認識を表明。ジャカルタに本部を置く東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の協力を得て、独立100周年に向けた両国の協力関係についての提言を取りまとめ、セミナーを開催する予定だと述べた。

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