NNAカンパサール

アジア経済を視る October, 2017, No.33

【出張前に押さえたい、注目国基本マニュアル】

ミャンマー編

ミャンマー

注目国基本マニュアル・ミャンマー編

2011年に民政移管し、急速に対外開放を進めるミャンマー。5,000万を超える人口と日本の1.8倍の国土を抱え潜在性は大きい。日本企業の進出も加速し、今年7月現在でミャンマー日本商工会議所の加盟企業は約360社と、民政移管直後の約50社から約7倍に増えた。

半世紀に及んだ軍事政権下で経済が停滞し遅れた電力インフラや道路の整備は待ったなし。日本は官民を挙げてティラワ経済特区の工業団地開発や、証券取引所の開設、税関近代化など幅広い支援を行っている。

民主化指導者だったアウン・サン・スー・チー氏が率いる文民政権が16年に発足し、米国は経済制裁を解除。17年4月からは外資規制を緩和する新投資法の運用が始まった。ヤンゴンなど都市部では消費力も高まり、海外ブランドの進出も相次ぐ。

少数民族武装勢力との和平や、イスラム教徒ロヒンギャの扱いなど積年の難題も残る中、国を安定させ、経済成長を軌道に乗せられるか、スー・チー氏の手腕が問われている。

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注目トピック

NNAミャンマー版編集長が解説!

「2つの大国の狭間」

ミャンマーは、東西に接する中国とインドという2つの大国抜きには語れない。国境近くや都市部には中国系、インド系の住民が多く、政財界の要人も少なくない。ロヒンギャ問題で欧米がミャンマー政府を声高に批判しても、同様の問題を抱える国として理解を示す。

図2

図1

内陸の中国の雲南省とインド北東部にとって、ミャンマーは外洋に抜ける要衝で、両国は覇権を争う。中国は今年5月、ミャンマー西部ラカイン州と雲南省を結ぶ原油パイプラインを稼働、マラッカ海峡を通らず中東などの原油を本土へ運べるようになった(図1)。ラカイン州では中国国営企業が経済特区の開発権も得ている。インドも対抗するように、同国北東部からラカイン州の州都シットウェまでを道路と河川でつなぐ輸送路や、タイまで3カ国をつなぐ高速道の整備を目指している(図1)。

日本の企業進出や政府開発援助はヤンゴンが大半を占めるが、日本企業が集積しているタイからヤンゴンに至る高速道や、東部カイン州の国境通関の整備も支援。地歩を築こうとしている(図2)。

農業の現状とビジネスチャンス

ミャンマー投資委員会(MIC)による投資優先分野が今年6月に発表された。農業や輸出促進産業、インフラ整備などへの投資が奨励されている。なかでも農林水産業は、国内総生産(GDP)の約3割を占めるミャンマーにおいて重要な産業のひとつだ。また、輸出額全体の約23%が農業製品であり、農村部労働者人口のおよそ7割が農林水産業に従事している。

ミャンマーで生産されている主な農作物には、コメ、メイズ(トウモロコシ)、豆類などがある。主要農作物のうちコメの生産量が最も多く、インドネシアやシンガポールなどへも輸出されている。

他方、近年は農業労働従事者が減少している問題を抱える。生産性向上にむけて農業の近代化が喫緊の課題となっており、トラクターやコンバインなどの農業機械を導入し、農作業の請負ビジネスを行う現地企業も出現しつつある。農機販売大手の地場グッド・ブラザーズは、クボタや中国メーカーなどの代理販売業を行う一方、自社で大型農業機械を所有し、オペレーター付きのレンタル事業を行っている。

農業労働者人口が低減する傾向は各地域でみられるといい、農業機械への省力ニーズは、今後も高くなってゆくと予想されている。ミャンマーにおける農業関連ビジネス、特に農業機械分野は、日本企業にとって有望なマーケットのひとつといえよう。

※本調査の詳細データは、NNA発行「ミャンマーにおける農業ビジネスの現状と展望」に収録されています。お気軽にお問い合わせください。

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