NNAカンパサール

アジア経済を視る August, 2017, No.31

【プロの眼】インドネシア市場進出のプロ 佐久間朋宏

ホントの進出はこれから
自分の目で見ることが大事

インドネシア

こんにちは、ハラル・ジャパン協会代表理事の佐久間朋宏です。前回まで(5〜6月号)のマレーシアに続き、同じ東南アジアの注目国、インドネシアを紹介いたします。キーワードとして「ムスリム(イスラム教徒)大国」「ミニ中国」と考えると分かりやすいと思います。

カノムチン(発酵米麺)にカレーソースをかける

人気のてんぷら。日系スーパーでムスリムも買い物する

レストランのメニュー。マレーシアとシンガポールのハラル認証を取得していることを表示

インドネシアは2億6,000万人の人口の約8割に当たる2億2,000万人がムスリムです。世界一ムスリム人口が多い国なのです。今後はパキスタンやインドがムスリム人口大国として台頭してくるでしょうが、やはりインドネシアは東南アジアのムスリム大国で、いずれムスリム人口は3億人を超えるでしょう。

1万7,000余りの島々を有する島しょ国で、東西の長さは米国ほどもあります。多様な地域性を持つ民族が多く一概には言い表せない国ですが、比較的寛容な考えのイスラム教徒が多いのも特徴です。

首都ジャカルタは1人当たりの国内総生産(GDP)も高く、一見裕福そうなイメージを持ちそうですが、1人当たりの平均月給は4万円をやっと超えたところです。一方で富裕層も存在し、格差が顕著な国でもあります。食糧自給や輸出拡大のため貿易面で保護主義的な動きが強まっており、輸入規制の強化や不透明な制度運用が見受けられます。しかし各国・地域がこのインドネシア目がけて、今まさに調査を行い、資本を投下しているところです。食品関連企業も進出し現地生産は盛んですが、食品など日本からインドネシアへの輸出は苦戦しているようです。

もうひとつのキーワードは「ミニ中国」です。華僑ネットワークが資本を蓄積し、富裕層が多く存在するのもマレーシアと同様の構図です。華僑が経済を動かし、イスラム社会と華僑社会との間で富の分配がうまくできていないのもインドネシアの現実です。

そこで中国同様、インドネシアを「制約市場」と位置付け、中国的商慣習も取り入れてビジネスを展開できる会社がインドネシアで成功すると考えられます。これがインドネシア=ミニ中国と言われるゆえんです。「制約市場」ですが、人口が増え、所得も増えるインドネシアは魅力的です。

売り込みづらい面も

日本企業はインドネシアへの輸出、進出、日本へのインバウンドにフォーカスすればいいのでしょうか。うまくいきそうですが、実はそう簡単ではありません。インドネシアは「制約市場」ということは、保護貿易主義的政策をとっていることでもあります。自国でできるものは自国で作り消費することを原則とします。

所得はまだ低く、日本へのインバウンド事業を手がける場合、市場調査がとても大切になります。ニーズ調査もありますが、自分の目で見ること、すなわち現状調査が大事です。

商品が売れている=自国で作っている=売り込みづらい、ということはまず覚えておくとよいでしょう。インドネシアにない物で相手が欲しい物を輸出することです。食品、サプリ、化粧品、生活用品などでいえば、一番欲しいのは日本の原料です。代表的な添加物や香料、素材などをハラル対応して輸出することが有効と考えられます。ハラル認証が必要となる場合もあります。インドネシア人は健康や美容のことを考えるようになっており、サプリ、化粧品、生活用品の原料も需要が伸びています。

食品ではハラル和牛が、マレーシアより早い2014年末に輸入解禁されました。ただ今のところ、和牛ブランドはオーストラリア産「WAGYU」が有名ですから、「ハラルJビーフ」などの新しいブランド立ち上げ、推進することも大事になるでしょう。

いまインドネシアに進出する日系企業は約2,000社で、2万人の日本人がいると言われています。トヨタ自動車、ダイハツ工業、三菱自動車、ホンダ、スズキ、パナソニック、シャープ、エプソン、東レ、マンダム、ユニチャーム、ライオン、花王、味の素、ヤクルト、日清食品、旭硝子、公文、ヤマハ、イオンなどが進出しています。

台湾系飲食店は「NO PORK」対応を表示=ジャカルタ

非食品分野の企業の進出は今後も増えると思われますが、食品関連企業はハラル対応が鍵になりそうです。2019年に向け、インドネシアのハラル認証が新しい制度に移行中であることはご存知でしょうか。簡単に言うと、インドネシア国内で搬入、流通、売買する製品に、一部を除き、ハラル認証取得を基本的に義務付ける法律があります。ますますハラル、ハラル認証、イスラム教など学習する必要があるのがインドネシアの特徴でもあります。

次回は輸出、進出、インバウンド分野で、日本企業の具体的事例を紹介いたします。

本稿に関するお問合せは一般社団法人ハラル・ジャパン協会<http://www.halal.or.jp/contact/>までお願いいたします。


佐久間朋宏(さくま・ともひろ)

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一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事。1964年岐阜県下呂市生まれ、岐阜大学工学部工業化学科卒業。マーケティングと地域経済活性化のプロフェッショナルで、イスラム市場20カ国を訪問。この見識などを基に、官民問わず輸出、進出およびインバウンドに合った企業研修、調査、商品開発、コンサルティングなどを行う。

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