カンパサール

NNAがこれまで培ってきた現地密着の取材力を生かし、アジアの今を消費市場の観点から追いかける季刊の無料ビジネス媒体

NEXTアジア NEXTマーケットレビュー

本号で登場したNEXTアジアの5カ国・地域。日系企業が進出するに当たっての市場の魅力度は?現地を知る企業の担当者や識者に、3段階(魅力度が高い順にA、B、C)で評価してもらった。

東ティモール

小さいなりにも一つの国家であり、まだ進出が少ない点でチャンスがある。一方、インフラが未整備で直行の船も飛行機もない点は難しい。日本には好意的だ。


国際協力機構 東南アジア・大洋州部
東南アジア第六・大洋州課 課長
若杉聡

事業規模などを他国と比較するとCだと思う。それほどの規模は見込めない。ただ、われわれは新しい国に行って黎明(れいめい)期の頃からビアードパパを食べてもらうという方針がある。その国の人々の文化に根ざしたいという思いがあり、総合的にはAだと思っている。


麦の穂 海外事業本部
グローバルビジネスディベロップメント部 部長
山岡利光

若い人々が多いので市場のポテンシャルも高く、長期的にビジネスが見込めると思う。ヤマハはODAによる船外機の提供に伴い、メンテナンス講習を実施していたこともあり、コマーシャルビジネスへの進出はしやすかった。


ヤマハ発動機 海外市場開拓事業部
エリア開拓部 南アジア・太洋州グループ
グループリーダー 鈴木成則

フェアトレードを一番進めるべき国であり、適した国だと思う。特Aと言いたい。フェアトレードを可能とする良い産品を収穫することができる。その環境を守っていかなければいけない。


ゼンショーホールディングス フェアトレード部
マネジャー 池田俊幸


ニッチであるけれど新しい市場。世界には他にも同様に小さな市場があり、日本企業は入ってきた。中国、韓国、シンガポール、マレーシアなどがどんどん来ている。食い込む余地はまだまだあるのではないか。危険なイメージがあるかもしれないが、国民は平和を何よりも重視している。そういう意味でも非常にチャンスがある。


在東ティモール日本国大使館 特命全権大使
山本栄二


ウラジオストク

ひらがなやカタカナを見て「日本のものだ」と認識できるなど、既に日本への親和性があるのが良い。一方、いろいろな外部要因に影響を受けたり、政府の方針や法律が急に変わったり、経済状況が変わったりするのはリスク。とはいえ、まだまだ伸びるという可能性と、ロシア全体の市場規模としての魅力はある。


アサヒビール 経営企画本部 国際部 部長
深山清志


市場は大きくはなく、カップラーメンのように日系製品間でも競争がある。マーケットを見る目が必要になってきた。ただ、日本製品へのあこがれと信頼はすごく高いので、やはり攻めていくべき場所だ。ウラジオストクを拠点に西に攻めていけば、ノボシビルスクなどにもマーケットがあるので、そこに売っていけばいいのではと常に勧めている。


ロシアNIS貿易会 ロシアNIS経済研究所 次長
齋藤大輔


規模を求めないビジネスなら入りやすい市場で、場合によっては「A」評価も。ネックは行政手続きの煩雑さだ。投資のタイミングは今で、資源やルーブル安、制裁が厳しいがそれが逆にチャンスとなっている。景気も底打ち感が来ており、徐々に回復している感がある。


日本貿易振興機構 欧州ロシアCIS課 課長代理
浅元薫哉


日本に近いこともあり、ロシア極東とのビジネスは様々な分野で進んでいる。今から参入するのであれば、手が付けられていない分野か、日本から遠いシベリア以西の市場を目指すなど工夫が必要。


JSN
濵野剛


スリランカ

輸入の際の税金が高いため、製造拠点としてはいいが日本の商品を売る環境としてはなかなか厳しいのが現実。物販は厳しいだろう。海沿いでホテルの建設が相次ぎ、観光客や富裕層の需要が増えるとみられるため、旅行業や飲食業の進出はお勧めできそうだ。


女性生活アナリスト
山本貴代


ブータン

ブータンは一般的に日本に対するイメージは良好だが、小国かつ経済的に貧困で市場規模は非常に小さい。厳格な仏教国ゆえに仏教の教えに基づき消費意欲が低く、伝統文化の保護を目的として急速な近代化も望まない。各種インフラなどは脆弱で困難が多く、進出しても大幅な事業拡大は期待できない。外資企業が極めて少ないが、その裏にはこれらの困難が存在する。進出するならば事業拡大より支援的な意味合いで考える方が現実的。


フリーランスライター/ブロガー
田村和輝


パキスタン

意外性と潜在性に満ちた国だ。GDP成長率がマイナスとなったのは戦後1回しかないという意外な安定性。そして「日本への片思いが世界一激しい」とも表現されるほどの親日国だ。カラチ市内の犯罪件数も3年前に比べ3分の1に激減している。ぜひ、この意外な有望市場を訪れてほしい。


フリーランスライター/ブロガー
久木治


パキスタンほどのバイクの有望市場は、世界的にみてもインドと一部のアフリカ諸国くらいしか見当たらない。昨年時点で170万〜180万台と推定される市場規模はタイやフィリピンに匹敵する。これらの国より1人当たりGDPがはるかに低いことも伸びしろの大きさの証左で、二輪大国となる可能性を秘めている。課題は女性が二輪車を運転しないこと。女性による二輪の運転がタブー視されている。


自動車調査会社 フォーイン アジア調査部部長
中田徹


世界でも数少ない巨大な市場性を秘める「隠れた宝石」。日本製品の信頼度は群を抜いて高い一方、日系進出は100社以下と先行者優位を享受しやすい。2013年からは犯罪取り締まりを強化し、殺人発生件数が6割以上減少するなど体感治安も劇的に改善。経済的には国際社会の支援で改革が進展し、中国の資金によるインフラ改善も進む。外資は100%出資可で資本金額や利益の本国送金に制限なし(届出は必要)と開放的。外国投資家も歓迎している。


三菱商事 パキスタン総代表
安藤公秀


出版物

各種ログイン