ミャンマー農業ビジネス② コメのサプライチェーン

2018年3月7日

グローバルリサーチグループ

シニアリサーチャー 八幡 茜

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ミャンマーでは日本と異なり、精米は農家ではなくほとんどが精米業者によって行われる。全国各地に仲買人(ブローカー)が存在し、農家から籾を集荷し精米業者へ販売している。

精米工程における損失の割合が非常に高く、精米業者によっては、精米後のコメの半分程度が破砕米になってしまうという。また、現状は有効的な副産物の活用がなされていない。

一方で、籾殻を活用するため、精米所にバイオマスガス化発電所を併設する動きがあり、ミャンマー農業ビジネス公社(MAPCO)が稼動を開始している。

主な原料仕入先

コメの集荷の実態

精米を行うのは大多数が精米業者。

農家は各地域に存在するブローカーか、または精米業者にコメ(籾)を売ることになるが、多くの農家はブローカーへ販売している。

トラックなどの輸送手段を持つ農家が少ないことから、ブローカーが農家の軒先に出向いて取引を行うケースがほとんど。

ブローカーはロットの少ない中小規模の農家からも仕入れており、集約して一定の規模の量を精米業者へ販売する役割を持つ。

形状としては、天日乾燥後の籾であったり、農家によっては刈り取ってすぐに現金化したりする。

倉を持つ大規模農家は、市場価格次第で脱穀した籾を保存している場合もある。

ヤンゴンにおけるコメの買い取り価格とマージン

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破砕米の流通

精米業者への聞き取りによれば、精米後のコメの半分程度が白米となり、残りは破砕米となるという。

破砕米は、国内の麺や菓子などの食品加工工場や醸造所の原料として取引され、粒の大きいものは輸出される。

破砕米の商品例

大手精米業者アディパティ(AAPT)の事業実態

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副産物の活用の現状と今後

籾殻は、燃料としての用途がほとんどであり、固形燃料の原料として建設企業へ販売されることもある。

他方、籾殻を活用するため、精米所にバイオマスガス化発電所を併設する動きもあり、ミャンマー農業ビジネス公社(MAPCO)が稼動を開始している。

ぬかは、飼料や養殖用の魚のエサのつなぎとして利用されることが多い。

現状は副産物の有効な活用がなされていないため、今後はコメ油など、付加価値商品の生産が必要になる。

▼ 詳細データは、NNA発行「ミャンマーにおける農業ビジネスの現状と展望」に収録されています。

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