ミャンマー農業ビジネスの基本情報

2018年3月7日

グローバルリサーチグループ

シニアリサーチャー 八幡 茜

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5,100万を超える人口と、日本の1.8倍の国土を有するミャンマー。中国やインド、バングラデシュなどの巨大市場とも国境を接し、地理的に優位性を持つ。2011年の民政移管以降、急速に市場開放を進め、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも高い経済成長を続けている。

2016年には米国による経済制裁が解除され、民主化の進展とともに、日本企業をはじめ欧米企業やアジア周辺国からの注目が高まっている。外資規制を緩和する新投資法の運用も2017年から始まり、農業や輸出促進産業、インフラ整備などの分野において投資を促進している。

なかでも農林水産業は、国内総生産(GDP)の約3割を占めるミャンマーにおいて重要な産業のひとつである。農村部労働者人口のおよそ7割が農林水産業に従事しており、輸出額全体の約23%は農業製品となっている。

国概況
GDP比率

主な農作物と栽培分布

約68万平方キロ(日本の約1.8倍)の国土のうち19%の1,265万ヘクタールが農用地。

ASEAN諸国と農用地面積を比較すると、タイには及ばないものの、同じく農業国であるベトナムよりも広い農用地を有している。

国土を横断するエヤワディ川の流域には肥沃な平原が広がっており、河口となる南部はデルタ地帯が形成され、コメの一大産地となっている。特にエヤワディは全国で最も収穫量の多い稲作地域。

農用地の各国比較

生産されている主な農作物は、コメ、豆類、サトウキビ、メイズ(トウモロコシ)など。主要農作物のうちコメの生産量が多く、国民一人当たりの消費量も非常に多い。

ミャンマー政府は輸出向けとして、コメや豆類、ゴマなどの搾油用種子の生産を奨励している。

輸出農産品の中では豆類が量・額ともに最も多く、ASEANでも有数のマメ輸出国となっている。

主要作物の輸出量

農業の近代化が喫緊の課題

近年は農業労働従事者が減少している問題を抱える。農業労働者人口が低減する傾向が国内の各地域でみられるといい、農機への省力ニーズは今後も高くなってゆくと予想される。

生産性向上にむけて農業の近代化が喫緊の課題とされており、トラクターやコンバインハーベスター(コンバイン)などの農業機械を導入し、農作業の請負ビジネスを行う現地企業も出現している。

輸出力を高めるために、農産品の品質そのものの改良と、精米や選別などの技術向上、農産品の「出口」となる加工食品産業の振興が必要となる。

ミャンマーの農業ビジネスでは、農産物の生産過程および収穫後それぞれにおいて農業近代化に向けた課題を抱える。

しかし翻って捉えると、中長期的な展望に基づく事業にチャンスは多いといえる。

▼ 詳細データは、NNA発行「ミャンマーにおける農業ビジネスの現状と展望」に収録されています。

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