NNAカンパサール

アジア経済を視る May&June, 2023, No.100

【アジアに行くならここで読め!】

アジア経済研究所図書館
専門の目がそろえた貴重70万冊

海外業務のベテランや「通」の人には知られた、アジア本が充実した首都圏の図書館と書店を厳選紹介。足を運ぶだけでも楽しく、意外な本に出会えることだろう。アジアに行くなら一度は訪れてほしい。(取材:副編集長 岡下貴寛)

現施設は1999年に東京都内から移転開設した。4階まで吹き抜けの広く明るいホールが印象的。100席の閲覧席を用意している(NNA撮影)

司書を海外赴任で育成

「アジアの事を調べるなら、アジ研の図書館に行ってみたら」。大学の先生や勤務先の上司などから、そう助言された人もいるだろう。

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所(アジ研)は、アジア、中南米、アフリカなど世界の開発途上国に関する研究を行う。併設する図書館は「開かれた途上国専門図書館」を掲げ、各地域の学術文献や統計資料、最新の新聞・雑誌を所蔵。誰でも利用できる。

「政治・経済・社会の分野を中心に70万冊ある蔵書が強みです。現地で出た現地語の資料を多く集め、統計も充実させています」と話すのは、アジ研で図書館を所管する学術情報センターのセンター長を務める柏原千英さん。インターネットでは手に入らない古い統計の印刷物も多く保管する。「各国では役所の移転や災害で消失したけれども、当館には現存するものもあります」と話す。

一般来館者は資料の閲覧と複写が可能。賛助会会員(個人年間1万円)には資料貸し出しの他、複写料金やアジ研講演会の参加費割引も行っている(NNA撮影)

大きな特色が、十数人いる司書の一人一人が担当地域を受け持ち、各地域のエキスパートでもあること。どの本を買うかは地域ごとに担当が選び、各国に足を運んで収集も行う。専門性を高めるため現地への赴任制度を取り入れているという。

「担当地域に2年間赴任します。資料や図書館の調査など現地の業務を通じて見識を深めています」と、同センター図書館情報課長の高橋理枝さん。

「何を所蔵すべきか目利きの力を養い、資料の入手ルートを開拓するなど2年間でやることはいろいろあります」(高橋さん)

利用の裾野はさらに広げたい考えだ。「例えば、企業で海外転勤する方は、ぜひ赴任前にご来館いただければ。事前にウェブやメールで照会があれば、より詳細なご案内もできます」(柏原さん)

1970年から毎年発行する『アジア動向年報』。各国の主要動向や統計を掲載。国別に10年単位で再構成した「バンドル版」もある(アジ研提供)

前方がかすむほど続く資料棚(NNA撮影)


DATA
 千葉県千葉市美浜区若葉3-2-2
 営業 10~18時
 第2・4・5土曜、日曜、祝日、月末、年末年始休館
 1999年開館(現施設移転)

出版物

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