NNAカンパサール

アジア経済を視る September, 2022, No.92

【アジア・ユニークビジネス列伝】

幽霊大集合の美術展(台湾) 
AIでヨガと瞑想めいそう(インド)

それを売るのか、そんなサービスがあるのか。アジアでは思いもよらない商品やサービスに出会う。現地ならではのユニークなビジネスから今回は、台湾で話題を集めている幽霊をテーマにしたアート展と、インドからヨガや瞑想に役立つ最新アイテムを紹介する。


【台湾】
怖過ぎて見たくなる
台南の幽霊展が人気

会場入口に展示される台湾のアーティスト、顔忠賢の作品『地獄変相』(台南市美術館提供)

台南市美術館で開催中の特別展「亜洲的地獄・幽魂(アジアの地獄と幽霊)」が人気を呼んでいる。同展示はフランス・パリのケ・ブランリ美術館との合同開催で、台湾のほか中国やタイ、日本などのアジアの幽霊や妖怪にまつわる作品を展示している。

6月25日の開催前から話題になったのが、中華版ゾンビ「キョンシー」を模した実物大の人形。宣伝として、同美術館が公式フェイスブックにキョンシーの写真を投稿すると、リアルなグロテスクさが評判となり、10万件近い「いいね」がつけられた。

コメント欄には「見に行きたい」といった肯定的な意見がある一方、「子どもへの影響が心配。悪夢を見そう」という否定的な意見も寄せられた。

評判になったキョンシーの展示物(台南市美術館の公式フェイスブックより)

その話題性も手伝ってか客足は開始早々から好調で、同美術館の広報担当によると8月14日までに約15万人が来場した。

「キョンシーはあくまでも展示物の1つ。ほかにも素晴らしい作品がたくさんあり、怖いという前評判を聞きやってきた人々も、楽しみながら観覧していた」と同担当者。

「人は未知のことにおびえ、ひとたび知ると怖くなくなる。異国間の文化の理解も同じ。それが本展覧会を企画したケ・ブランリ美術館が伝えたいとする趣旨」と話した。会期は10月16日まで。なお、12歳以下の子どもは保護者同伴で入場するよう呼びかけられている。


【インド】
AIマットに瞑想ギア
ヨガの日に新商品続々

「国際ヨガの日」に開催された大規模ヨガイベントに、インドのモディ首相(写真中央)も参加した=6月21日、カルナタカ州マイソール(NNA撮影)

ヨガの発祥地といわれるインドでは、国連が定めた6月21日の「国際ヨガの日」に合わせて毎年関連イベントや製品の発表が行われる。最近はIT系スタートアップが開発した、ヨガや瞑想の関連商品がトレンドだ。

AI対応のヨガマット「ヨギファイ・ジェン2」(ウェルネシス提供)

南部ベンガルール(バンガロール)に研究開発施設を持つ米ウェルネシスは、人工知能(AI)に対応したヨガマット「ヨギファイ・ジェン2」をインドで発売した。

同社のフラッグシップ製品の第2世代。マットにはセンサーが搭載されており、ユーザーのヨガのポーズを解析。アプリと連動すると、ヨガトレーナーとのセッションが可能で、没入感のあるトレーニングを実現できるという。1台1万4,999ルピー(約2万5,600円)で販売する。

ニューフォニーは、「インド初の脳用ウエアラブル端末」を開発したと発表。ヘッドギア状の端末を頭に装着することで脳波のパターンを測定し、脳の活動状態を分析。記憶力や睡眠の質の向上、ストレス軽減など、脳全体の健康を改善することが可能という。1台4万9,000ルピーで販売する。

ニューフォニーが開発した「脳用ウエアラブル端末」(同社提供)

アリーノは、ヨガのポーズが正しく行われているかどうかをAIで測定するスマートフォン用アプリを開発。トレーニングをするとアプリで報酬が受け取れる仕組みも取り入れ、一石二鳥をユーザーに訴える。

市場調査会社リサーチ・アンド・マーケッツによると、ヨガ関連のサービスを含めたインドのヘルスケアアプリ市場は、2020年の434億1,000万ルピーから年平均成長率(CAGR)39%で推移し、26年までに3,378億9,000万ルピーに達すると試算されている。同社は報告書で「ヘルスケアアプリ市場は中小規模のスタートアップが支配している」と分析。ヨガとIT、両方の先進国インドならではのユニークな商品が今後も期待できそうだ。

(Atul Ranjan)

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