NNAカンパサール

アジア経済を視る April, 2018, No.39

【アジア業界地図】二輪車編

インド、中国、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、パキスタン

アジア業界地図・二輪車編

主要市場 鈍化やマイナス成長も

世界の二輪車市場の約8割を占めるアジア。最大市場のインドは堅調な伸びが続くが、中国やインドネシアなどの他の主要市場は成熟し、伸びの鈍化やマイナス成長もみられる。アジア主要国の二輪市場の今をみてみよう。

[ポイント]
  • 世界最大市場のインドは堅調な伸びが続く
  • 2番目の中国は四輪車シフトで伸び悩み
  • フィリピンやパキスタンなど新興市場が急成長
  • 【インド】

    ※2016/17年度は16年4月~17年3月

    ■17年販売台数

    1,917万6,908台(前年比8.4%増)


    ■主なプレーヤーと16/17年度の販売台数

    ヒーロー・モトコープ(648万3,655台)

    ホンダ(472万5,067台)

    バジャジ・オート(200万1,391台)


    出所:インド自動車工業会(SIAM)

    動向
    二輪車の16/17年度の販売台数は前年度比6.9%増の1,758万9,511台。17年は、前半に高額紙幣の廃止や環境規制などの要因があったが、後半はこうした混乱はなく経済が安定した。18年の販売も前年を上回るとみられる。SIAMによると、17/18年度は前年度比12%増となる見通し。最近は特に女性の社会進出などを背景に、需要が拡大しているスクーターの新製品発表が目立つ。

    【中国】

    ■17年販売台数

    1,508万7,000台(前年比2.4%増)


    ■主なプレーヤーと16/17年度の販売台数

    大長江、隆キン(キン=金が3つ)、力帆、宗申、銀翔、広州大運、
    五羊─本田(ホンダ)


    出所:中国自動車工業協会

    動向
    17年の二輪車販売台数は6年ぶりのプラス成長となった。四輪車シフトに伴い二輪車市場は飽和状態となり、11年の約2,690万台をピークに縮小傾向にある。ただ、「メーカーの環境規制への対応次第で、二輪車のシェアが拡大する可能性はまだある」(ホンダ広報担当者)との見方も。

    【インドネシア】

    ■17年販売台数

    588万6,103台(前年比0.8%減)


    ■主なプレーヤーと16/17年度の販売台数

    ホンダ(438万5,888台)

    ヤマハ(134万8,211台)

    カワサキ(7万8,637台)

    スズキ(7万2,191台)

    TVS(1,176台)


    出所:インドネシア二輪車製造業者協会(AISI)など

    動向
    販売台数は3年連続で前年割れ。石炭やパーム原油などの資源価格の下落のほか、電気料金や車両登録証などの登録料の引き上げが購買意欲低下につながった。最大手のアストラ・ホンダ・モーターは「資源価格の上昇で消費者の購買力も回復傾向にある」とみて、18年通年の目標販売台数を前年比約5%増の450万〜460万台に設定している。

    【ベトナム】

    ■17年販売台数

    327万2,373台(前年比4.8%増)

    ※ベトナム二輪車協会(VAMM)加盟5社

    ■主なプレーヤーと16/17年度の販売台数

    業界団体のVAMMにホンダ、イタリア系ピアジオ、スズキ、台湾系SYM、ヤマハの5社が加盟。ホンダとヤマハはそれぞれ2桁の市場シェアを占める


    出所:VAMM、ホンダ

    動向
    二輪車の販売台数は12年から3年連続で減少したが、15年からは増加が続く。バイク保有世帯が人口の9割近くに達し、都市部での市場の飽和や自動車利用への移行も指摘されているが、年間300万台水準のバイク新車需要は底堅く推移するとの見方は根強い。特に南部のメコンデルタ地方では地域経済の発展に伴い、一層の伸びが期待される。

    【タイ】

    ■17年販売台数

    181万771台(+4.2%)


    ■主なプレーヤーと16/17年度の販売台数

    ホンダの17年販売台数は145万5,000台で、約80%のシェアを占める

    ヤマハの17年販売台数は26万8,747台で、シェアは前年の14.1%から14.8%に上昇


    動向
    17年は経済の回復に伴い、16年に続いて前年比プラスで推移した。ただ市場はすでに成熟化しているため、18年以降も総需要の大幅増は見込めなさそうだ。ホンダは17年、110ccクラスの実用車が販売をけん引したほか、150ccの本格スポーツモデルの投入で市場を活性化。ヤマハは中高価格帯スクーターやスポーツモデルを中心に販売を伸ばした。

    急成長!

    フィリピンとパキスタンの二輪車市場が急成長している。所得水準の向上や治安の改善、新モデルの投入が背景。フィリピンは業界団体に加盟するメーカーの17年販売台数が前年比で15.7%増加。パキスタンは16/17年度(16年7月~17年6月)の販売台数が20.5%増の約163万台だが、パキスタン市場の過半を占める地場系など統計に反映されていないメーカーも多い。実際の市場は200万台を超え、タイを上回っているとされる。

    パキスタンから現地リポート

    さらなる市場拡大 女性が鍵に

    パキスタン・オートショーで出展された「ベスパ」=3月2日、パキスタン・ラホール(NNA撮影)

    治安が改善したパキスタンの二輪車市場に変化が出始めている。パキスタンでは女性が二輪車を運転している光景はほとんどみられない。しかし、イタリアの二輪ピアジオ・グループは高級スクーター「ベスパ」の販売を、地場二輪製造のラビ・グループを通じて開始。イタリアから輸入する。価格は30万パキスタンルピー(約30万円)と高いが、ピアジオの動きは女性が近い将来、二輪車を運転することを見越したものとして注目される。

    人口が2億人であるにも関わらず、市場規模は約200万台と少ない。女性の運転が本格化すれば市場はさらに拡大する。日系ではホンダが約100万台を販売しているが、ヤマハ、スズキは数万台レベルにとどまっており、市場の半分は地場系が占める。

    最大の人口を抱えるパンジャブ州も女性の社会進出促進という観点から、二輪車乗車を促している。女性購入者へのローンを今年、一時的に実施した。しかし、パキスタン・オートショーで二輪車と一緒に写真を撮影していた女性は「パキスタンで女性は二輪車を運転できない」と述べ、現実にはまだ難しいことを示唆した。

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