NNAカンパサール

アジア経済を視る June, 2020, No.65

【NNAコラム】各国記者がつづるアジアの“今”

テイクオフ ─コロナ下のスポーツ編─

現在無観客で試合を実施している台湾プロ野球=5月3日、桃園国際棒球場(NNA撮影)

無観客で開幕した台湾プロ野球=5月3日、桃園国際棒球場(NNA撮影)

台湾

台湾プロ野球の公式戦が開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界のスポーツリーグ、大会が延期、中止される中で開幕し、海外でも報じられた。ただ感染防止策として、無観客試合となった。

普段は台湾の試合をあまり見ないが、蔡英文総統がツイッターで、猫と共にテレビ越しに観戦している後ろ姿の写真を投稿しており、気になったので見ることにした。分かってはいたが、野球観戦にはつきものの観客の声援が無いので、熱気が感じられず静かな印象だ。

楽天が経営する新球団「楽天モンキーズ(楽天桃猿)」は、少しでも盛り上げようと「ロボット応援団」として手作り感あふれるマネキンやパネルを応援席に置いた。ニュースで見た際、思わぬ演出に頬がゆるんだ。だが選手や解説者らは真剣だ。今年は自宅でテレビ前の観客、ロボット応援団と一緒に観戦しよう。(晶)


タイ

新型コロナウイルスの流行が続く中、タイ人が待ちわびていることに海外のスポーツ中継の再開がある。米プロバスケットボール(NBA)やテニス、そしてとりわけ人気が高く、私も愛してやまないサッカーのイングランド・プレミアリーグだ。

英国のジョンソン首相は制限緩和に向けた「出口戦略」を発表し、現地報道ではプレミアリーグも6月中に無観客で再開するとみられている。英国の新型コロナの感染者は22万人以上、死者は3万2,000人を超えている。無観客でも再開すればリスクがあることは分かる。

人気クラブのリバプールのユルゲン・クロップ監督は、3月にリーグが中断した時にこう言った。「サッカーは優先順位が低いことの中では最も重要だ。サッカーか社会の利益を選択するなら、比べものにならない」。ただこれ以上はこの発言に同意できそうもない自分もいる。(ワ)


フィリピン

「やっぱりフィットネスクラブはお預けか」。マニラ首都圏で5月16日以降に外出・移動制限が一部緩和されるとの発表に色めき立った知人が、残念そうに語った。約2カ月間の制限措置でたまった脂肪の解消に向けた運動は見送られた。

ところが、朗報も。外での運動はジョギングなどであれば認められることになった。世界最悪水準ともいわれる慢性的な交通渋滞が頭をよぎり、普段なら街中で運動する気にはならない。だが、今は制限措置により車通りが少なく、大気汚染も少しは改善していることだろう。マスクを着用する必要はあるが、外出の幅が広がったことは悪くない。

自宅にこもっているとストレスがたまり、食事にはけ口を求めがちに。食費はかさむが、「少しはぜいたくしてもいいだろう」と判断が甘くなり、体重計が跳ね上がる。悪循環を絶つ上でも、少しの制限措置の緩和にありがたみが増す。(内)


オーストラリア

新型コロナによる外出制限が始まって以来、地元ではサイクリストの数が急激に増えた。外出自粛中でも外での運動は可能なため、これを機に自転車に乗ろうと思ってか、近所のバイクショップには行列ができている。

ただ心配なのは、この流れに便乗して自転車に乗り始めたとみられる女性サイクリストの存在だ。よたよたと左右に大きく揺れながら坂を上る人や、高速で車が走る幹線道路を突然、横断してくる人もいる。自転車走行にはルールがあり、体力的にも容易ではない。

心配していた矢先、国立公園内の道路で女性サイクリストの事故現場に遭遇した。急な下り坂でコントロールを失って事故に遭ったのか、頭から血を流し、救急車を待っていた。コロナ騒動をきっかけに新しいことに挑戦するのはいいが、大けがをして本末転倒にならないようにしたい。(桜月)


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