カンパサール
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コメを食べるアジア
カフェやファストフード業態でアジアに進出し、現地に根付いている日本のブランドは意外なほど少ない。成功事例である老舗「モスバーガー」と新興の「トウキョウ・ライトミール・カフェ」は、コメを使った商品が受けている点が共通している。
モスバーガー:現地消費者の好みを取り入れたライスバーガーを開発
ご飯にはいろいろな具材が使える
アジア圏はコメ文化なので、パンよりもコメの方が入りやすい─。各国・地域でモスバーガーを展開するモスフードサービスの福光昭夫氏(国際本部国際営業部長)はそう話す。
各地域で独自の商品を開発する際、「ご飯にはいろいろな具材が使えるため、ローカライズしやすい」という。
東南アジアにはチキンライスのようなご飯ものがそれぞれの地元にいろいろあり、コメを食べるのは日常的だ。その面から見ても、ライスバーガーは受けがいいようだ。
もちろん、各地で独自のアレンジもある。台湾の定番商品で最も売れている「ライスバーガー海鮮かき揚げ」の場合、ベースは日本の商品と同じ。
だが、台湾の消費者はしょっぱい物がどちらかというと苦手で、バーガーのソースは日本よりも塩味(しおみ)を3割ほど減らした半面、中華圏向けにゴマ油の風味を日本よりも強くしている。
各地で開発して、その他の国・地域に広がった商品もある。ライスバーガー鰻(うなぎ)はシンガポール発祥で台湾~中国へと広がった。
ほか親子丼バーガーもシンガポール発祥、帆立(ホタテ)バーガーは台湾発祥だ。タイで開発されたタコカツバーガーは日本でも販売されたことがある。
トウキョウ・ライトミール・カフェ:おにぎらずでカンボジアに進出
おにぎらずの具材はメンチカツ、照り焼きチキン、ハムエッグ、ツナの4種類。最人気はメンチカツ。1.6ドル(約130円)をプラスすれば、みそ汁などが付いたセットメニューにできる。
※写真はセント・リングス提供
おしゃれなイメージで浸透へ
さまざまな飲食ブランドをフランチャイズ展開するセント・リングス(静岡県沼津市)が直営で力を入れるのが、プノンペンのイオンモールに出店した「トウキョウ・ライトミール・カフェ」だ。
扱うのは日本でも広く認知され始めたおにぎらず。
広げたのりにご飯と具材をのせて包む、いわば握らないおにぎりだが、カンボジアではブランド名が示すようにおしゃれなイメージで売り出している。
しかも日本と違い、ここではのりの代わりに薄く焼いた卵焼きで包むタイプの人気が高い。のりも普通に食べられており、おにぎらずは受け入れられている。
食材の多くは現地調達。日本ではコメは白米を使うが、こちらでは炊き込んで味を付けてある。