2019年2月1日
アジアで内部リスク対策を、現地法人の「見える化」がカギ 超高速アジャイル開発を実現する「Web Performer」とは

直感的な開発ですぐに形に。業務を変えたその他「成功事例」

マスタプロダクションスケジュール(MPS)は、「何を、いつまでに、いくつ作るのか」を求めるために必要となる、製造業にとっては極めて重要な生産計画のひとつである。そんな MPS を、超高速開発プラットフォーム「Web Performer」によりシステム化を成功させた日系企業の工場がタイにある。

課題 1:MPSが属人的で、メンテナンスに手間がかかる

MC Metal Service Asia (Thailand) = MSATは、1997年に三菱商事によって東部チョンブリ県アマタナコン工業団地(現、アマタシティーチョンブリ工業団地)に設立され、現在は三菱商事と双日が出資する鉄鋼総合商社、メタルワンの製販一体拠点として海外事業の一角を支えている。2012年には第2工場を稼働し、順調に生産を拡大する一方で、Excelのマクロを活用した MPS の作成に課題を感じていた。

MPS は、生産設備の稼働状況や作業員数、製品在庫、受注見込み、確定したオーダー情報など、製造と販売に関わる様々な数字を考慮して算出される。MSATでは、Excelの標準機能で、Excel上の一連の動作記録「マクロ」を記憶して自動的に実行させる「マクロレコーダ」を活用していた。各部門の担当者が必要な数字をExcelファイルに入力し、熟練の担当者がそれらのExcelファイルを集計してMPSを作成するという流れだ。

しかし、Excel は作業するPCの環境に依存するため、ExcelのバージョンアップがあるとPC毎にマクロの修正や細かいメンテナンスが必要となる。あるPCでは正常に機能するマクロが、ある PC では動かないこともあった。50を超えるマクロを各担当者のPCで利用していたMSATでは、メンテナンス作業を担うシステム部門の負担が問題になっていた。

課題 2:転職の多いタイでの 属人性の排除

Excelマクロの修正・メンテナンス業務の負担が増える一方で、MPS作成作業のブラックボックス化も進んでいた。複数部門から集まるExcelファイルを、繰り返しコピーして貼り付けるという繁雑な集計作業は、熟練の担当者が一人で担っていた。システム部門の負担と、MPS作成の属人化という二つの課題を解決するため、MPSのシステム化を本格的に検討することになった。

システム化は、自社で一から構築する方法もあったが、属人性を排除したかったMSATは、企業向けの情報技術(IT)ソリューションサービス事業を手掛けるキヤノンITソリューションズが開発、販売を手掛ける超高速開発プラットフォーム「Web Performer」による開発を選択した。Web Performerのタイでの総販売代理店であるMaterial Automation (Thailand) = MATが紹介し、導入を支援した。Web Performer は、開発者の技術にバラつきがあっても、ツールに設定をしていくことで標準化された開発を行えることが導入の決め手となった。

工夫:内製+MATのサポートにより素早いシステム化を実現

MPSのシステム化は、MSATシステム部のタイ人 3 名がプロジェクトの中心となり、4つある製造ラインのうちブランクラインという鋼板の打ち抜き加工を行うラインから始めた。17年4月にWeb Performerのライセンスを購入し2週間のトレーニングを受講すると、すぐに開発を開始。不明な点や不具合があれば、MATの担当者から電話やメール、遠隔操作によるサポートを受け、わずか 3ヵ月でドラフト版を完成させた。主な開発担当者であるMSATシステム部のスダラット氏は「最初に基本的な使い方さえ理解してしまえば、プログラミングやデータベース構築の知識がある人間にとっては使いやすく、エンジニアのことを良く考えられたツールだと思いました」とWeb Performerの使いやすさを振り返る。MATのサポート対応も早かったという。その後、テストや修正を重ね、18年4月から本番環境での正式な利用を開始した。

成果:業務の汎用化、煩雑な業務も大幅改善

ズダラット氏(左)とナタニット氏

スダラット氏(左)とナタニット氏

プロジェクトメンバーによると、一から自社で開発した場合と比較すると、開発時間は従来の7割程度に短縮された印象だという。「引き継ぎが簡単に行えるものが欲しかった。転職が多いタイでは、誰もが使いやすいということも、新しいシステムを導入する際の大事なポイントです」とシステム部のナタニット氏。スダラット氏は「機能追加や、デザインの改善がプログラミングなしで簡単にできる点が使っていて楽しい」という。「“あの人がいないと生産計画ができない”という状況は良くない。多くのタイ工場が同じ課題を抱えています。Web Performerの導入により、そこが大きく改善されました」システム部の加藤セクションマネージャーは、管理職の立場でツールを活用したシステム化の意義を語る。属人的な作業が問題視されていたMPSの算出も大幅に改善された。各部門の担当者が必要なデータを抽出する作業も、MPS担当者がExcelで繰り返しコピーして貼り付ける煩雑な作業も不要となった。

将来:更なるシステム化。若手エンジニア育成としても活用

Web Performerを使うMSATのプロジェクトメンバー

Web Performerを使うMSATのプロジェクトメンバー

システム化したMPSのMSAT社内での評価は良い。他のラインも同様にシステム化したいとの要望も出ており、Web Performerでの開発の拡大を検討している。さらに、若手エンジニアの育成のためにWeb Performerを活用する案も出ている。例えば、MSATでは業務の見える化の一環として、社内の電話回線の請求書から電話の利用状況をExcelに入力しグラフ化している。それをWeb Performerでシステム化する研修を考えているという。

「アイデア次第でWeb Performer活用の可能性がどんどん広がる。MATには、Web Performerをタイで広め様々な事例を紹介してほしい」と加藤氏。MATの担当者は、「タイ企業の多くの開発現場でWeb Performerを活用してもらい、MSAT様のように “楽しい開発”を実感しながら課題解決に取り組んでもらいたい」と話した。

*Microsoft Excel は、米国 Microsoft Corporationの、米国、日本およびその他の国における登録商標または商標です。

超高速アジャイル開発を実現する「Web Performer」とは

直感的な開発ですぐに形に。業務を変えたその他「成功事例」
お客様プロファイル

MC Metal Service Asia (Thailand) Co., Ltd.

所在地 :タイ国チョンブリ県アマタシティ・チョンブリ工業団地
代表者 :代表取締役社長 石浜 卓
設立  :1997年
従業員数:約400名(2018年11月現在)
主な事業内容:鋼板の加工・販売

東京 〒108-0073 東京都港区三田3-11-28 TEL(03)6741-9181
大阪 〒550-0001 大阪市西区土佐堀2-2-4 TEL(06)7635-3047
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