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概要

NNA_kanpasar_vol.26

8 KANPASAR人口650万人の小国ラオス。タイとベトナムに挟まれた内陸国で日本企業の注目度は高くなかったが、近年はメコン地域を一体的に捉えようという企業にとって無視できない国になってきた。タイなど近隣国からの生産分業先としての魅力に加え、首都ビエンチャンを中心とする市場としての魅力も高まる。一人当たり国内総生産(GDP)は全国平均1,857米ドルだが、人口約90万人のビエンチャンに限ると4,390米ドルにまで跳ね上がる。物に乏しいため、その資金は不動産や自動車に向かうほか、特にビエンチャンはタイに近いこともあって、タイ東北部のノンカイやウドンタニといった街での消費に向けられてきた。川沿いに静かな田舎の風情が残るビエンチャン市街。古くからの商業施設「タラート・サオ」などでは雑貨や衣類を売る昔ながらの店が軒を連ねていたが、今は中国資本による近代的な大型商業施設「ビエンチャン・センター」や経済特区の開発も相次いでいる。市内交通はバイクが主流。自動車も着実に増え、小さな街でも通勤時間帯の渋滞が慢性化しつつある。自動車は以前、トヨタをはじめ日本の中古車が多かったが、中古車の輸入規制もあって新車が増え、韓国メーカーも販売攻勢をかけている。南下する中国の影響力ビエンチャンはタイの影響が目立つが、ラオスは歴史的にベトナムとのつながりも深く、ベトナム語を話す越僑も多い。中国の影響力も強まっている。国交40周年だった2015年にはラオス―中国鉄道が起工し、ラオス初の人工衛星も中国の支援で打ち上げた。副首相として親中政策を率いたソムサワート氏は今春の指導部刷新で一線を退いたが、中国の影響力は衰えていない。ラオス人の国民感情として、中国に対する警戒心もある。共同通信 ヤンゴン支局 記者 八木悠佑消費高まる「ミニタイ」変わるメコンの中心郷ラオスNEXTアジア PART2 現地ルポ③タイミャンマー中国ベトナムビエンチャンノンカイ県サラワン方面1キープ=0.014円(2016年12月8日時点)タイ北部チェンマイ発祥の高級スーパー「リンピン・スーパーマーケット」は、ビエンチャンに海外初店舗を出店。チーズ、ワイン、牛肉、オーガニック野菜、果物など高級食材や日本食材も並び、富裕層や外国人駐在員から支持を集めるラオスを見る上で欠かせないのが、タイとのつながりだ。ラオスはタイと長い国境を接し、タイの物資も大量に流通する。多くの地域でタイのテレビ放送を見ることができ、言語や文化が近いこともあって影響力が大きい。ビエンチャンは市内に近代的な商業施設が建ち始めたとはいえ、旧来の市場や露店がなお主流だ。流行のファッションや電気製品など物の豊富さではタイ側に及ばない。ラオス人はタイに買い出しに行くこと自体を娯楽と捉えて楽しんでおり、ビエンチャンっ子は週末になると国境を越えてタイへ行く。メコン川沿いのビエンチャンから国際バスに乗ると、川を隔てたタイ北東部のノンカイまで約2時間で着く。週末ともなればビエンチャンからピックアップトラックでタイ側に買い出しに行き、荷台を一杯にして戻ってくる。タイの中でもラオス人の来客が多いノンカイやウドンタニの大型商業施設は、売上高では群を抜くといわれる。タイへ正規・非正規に出稼ぎに出る人が多いことも拍車をかけている。ラオス国内の根強い「タイ需要」を背景に、タイの北部チェンマイからビエンチャン郊外に進出した「リンピン・スーパーマーケット」は、食品・日用品を中心とした商品の充実ぶりで富裕層から人気だ。「タイまで行く必要性が薄れた」(現地の日本人駐在員)という声も出ている。ラオス政府は陸路国境からの輸入品に対する付加価値税(VAT)課税を強化しようとしており、このような国内での消費がさらに拡大する兆しも出ている。絶大なタイの影響力消費トレンドタイの投資家サクチャイ・ウォンマラシット氏設立の不動産開発会社ラオワールドが開発した商業施設「ITECCモール」