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概要

NNA_kanpasar_vol.26

KANPASAR 5前時代の秘境か、次世代の市場か2010年にアスタナで開業したショッピングモール「ハーン・シャティール」(王様のテントの意味)。世界最大の張力構造物で600人以上の登山家が建設に参加。透過性ある天幕から内部にも自然光が降り注ぐアルマティ最大のモール「メガ」内にあったウサギと触れ合えるミニ動物園。モール内を走り回る機関車や2階建てバス、屋外の遊具庭園など、子どもを意識した施設が充実している2013年にコンビニ大手、ミニストップの進出が話題となった。最大7店まで増やしたが、翌年に撤退。同年のカザフ政府による通貨の大幅切り下げが引き金になったという見方の識者もいた。写真はアルマティの地下鉄アバイ駅付近にあった店舗の跡地トルコ系スーパー「ラムストック」(アルマティ)。1階が丸ごとスケートリンクになっており、子どもがレッスンを受けていた圧巻スケールのモール天国「日系=高級」のイメージで勝負カザフスタンで消費市場の勢いを感じるには、ショッピングモールに行くといい。アスタナと1997年まで首都だった最大都市アルマティでは、広大な土地を生かした集客の仕掛けをたくさん目にすることができる。冒頭でも触れた買い物客たちの頭上を落下する絶叫マシン、フロアの空中を行き来する小型モノレール、動く恐竜、本物の動物を集めたミニパークなど珍しいアトラクションに驚くだろう。カザフのモールは、いずれも圧巻のスケールだ。日本製品は、大型スーパーや薬局などに入れば家電、紙おむつ、離乳食、衛生用品などをよく売っている。食品についてはトルコ系を筆頭に中国系、韓国系の方がリードしているが、高級スーパーに行けばしょうゆなど調味料や日本酒の取り扱いもある。街を走る自動車は日本製が多く、特に大型車を頻繁に目にする。日系企業は自動車を除けばヤマハ発動機、資生堂、理想科学注目ポイント日系企業の進出BバーガーキングK の牙城に挑むマック街には米系ファストフードのバーガーキング、ケンタッキーフライドチキン、ハーディーズ、英系大手カフェのコスタカフェ、日本にも展開するイタリアンカフェのセガフレード・ザネッティなど外資系チェーン店があふれ、外食産業での参入が進んでいる。中でも店舗が多く最も目にするのはバーガーキングだが、その牙城に昨年3月、マクドナルドが中央アジア初の店舗を開業。アスタナ店のオープン式典には大統領も駆けつけた。最先端の自動オーダーパネルを3台導入し、ドライブスルーも24時間利用可能など、ハイスペックな店舗で消費者にアピールする。外資の動きマックが欧米で導入を進めるオーダーパネルは3台設置。カウンターの混雑時はパネル注文がスムーズマックのキッズスペースにあったデジタルコンテンツ。床の映像を踏むとはじける仕掛け。子どもが夢中になっていた展開する主な日系企業名称進出年概要資生堂2002年現地の代理店を通じ、高級化粧品を販売。旧ソ連諸国は1998年のロシアを皮切りにウクライナ、カザフスタン(2002年)、アゼルバイジャン(09年)、ジョージア、モルドバ(10年)、アルメニア、ベラルーシ(11年)と展開先を拡大中カネボウ11年2009年にロシアで設立した合同会社を通じ、進出。欧州向けの高級ブランド「SENSAI」を主力に展開ニチバン14年ばんそうこう、軟こうなど医薬品、医薬部外品の製造販売。「ケアリーブ」ブランドが有名。現地では、ばんそうこうなど止血製品を販売マキタ15年電動工具の大手。100%出資の販売子会社を設立。周辺国を含め、製品・部品の販売やアフターサービスを提供。設立以前はドバイの子会社から営業活動を行っていたNNA調べカネボウは欧州で展開する富裕層向けの高級ブランド「SENSAI」を導入。「メードインジャパンを打ち出し、アンチエイジングの基礎化粧品を中心に売れている」と同社。製品は現地の提携企業がアスタナ、アルマティに展開する化粧品店「テリ」で販売工業(印刷機)、カネボウ化粧品、ニチバン(医療・衛生用品)、マキタ(電動工具)などが進出している。旧ソ連圏諸国の経済に詳しいロシアNIS貿易会の中馬瑞貴研究員は「市場性はあり、日系企業の関心が高まっているのも間違いない。富裕層狙いの消費財は有利だろう。製造業の基盤のない国だから進出分野は限られるが、ロシアでの販売経験があれば有利に進められるのでは」と話す。カザフスタンの進出魅力度市場性は極めて高い。一人当たりGDPが高く、消費市場をけん引する富裕層、上位中間層の購買力は魅力的だ。たとえ不況下でも資源国ならではの経済的な底堅さもある。一方、日本から最も遠いアジアの内陸国であり、進出や輸出は決して簡単ではない。製造業の基盤がないのもネック。ロシアかトルコなど周辺地に拠点・経験のある企業が「次の市場」として検討するなら魅力的なターゲットとなるだろう。(NNA カンパサール編集部 岡下貴寛) B理由評価はじめは「雪男探索記」のような本書。友人からの依頼で「生物資源探査員」としてブータンへ飛んだ著者は、個人的な興味から雪男を探し求める取材も同時に進めていく。そして調査と取材の先で見たのは、「私たちがそうなったかもしれない未来」だった。高野秀行(たかの・ひでゆき):ノンフィクション作家。1966年、東京都八王子市生まれ。早稲田大学第一文学部文学科フランス文学専修卒。88年、同大探検部の活動を記した『幻の怪獣ムベンベを追え』を執筆。著書に『謎の独立国家ソマリランド』『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』などがある。高野秀行 著 集英社2016年6月発行 640円+税『未来国家ブータン』【著者】NEXTアジア書評ブータン