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概要

NNA_kanpasar_vol.26

4 KANPASARカザフスタンNEXTアジア PART2 現地ルポ①アジア西の果て市場沸く未来国家「ギャーっ!」ゆっくり登っていた座席ががくん、と急降下すると乗客たちは悲鳴を上げる。4層のホール状の建物は巨大なショッピングモール。これほど大規模な空間で絶叫マシンを稼働させるモールは、日本やわれわれが良く知るアジアでもそうは見られない。ダイナミックな光景だ。中央アジアの大国、カザフスタン。フロンティア市場の「台風の目」として今年注目される国の筆頭ではないだろうか。世界第9位(日本の約7倍)という広大な国土に「メンデレーエフの周期表の元素で採れないものはない」と 言われるほどの豊富な鉱物資源を有し、中央アジアで最も発展を遂げている。一人当たり国内総生産(GDP)は2013年に1万3,000米ドルに到達。15年には資源価格の下落などで1万500米ドルに減退したが、消費購買力は地域で随一の水準にある。カザフスタン市場はちょうど「旬」を迎えている。今年6月、首都アスタナ市で万国博覧会を開催する。中央アジアで初の万博だ。「未来のエネルギー」をテーマに100カ国以上の参加を見込み、日本もパビリオンを開設する。国の威信をかけた事業とあって力を入れて準備中だ。カザフスタンでは国を世界に開いていこうという機運が高い。15年11月にはWTO(世界貿易機関)に正式加盟を果たした。日本人旅行者に対して17年末まで短期ビザを免除し、旅行や視察などの来訪を歓迎している。経済の開放的な取り組みを進め、海外からさらなる投資を呼び込む思惑だ。イスラム色は薄いカザフスタンはアジアで最も西にある国の一つ。欧州、中東、ロシアとの境界に位置し、それぞれの文化や習慣が混在する。実際に現地を訪れると、欧州あるいはロシアのような雰囲気を強く感じるだろう。国民の7割ほどがイスラム教徒とされるが、イスラム色は薄い。「旧ソ連時代に宗教を禁止されていたためか、宗教意識は強くない。戒律に厳しくはなく、ハラルや禁酒、1日5回のお祈りも徹底している人はあまり見かけない。男女の区別もそれほどない。日本における緩い宗教の雰囲気に近い」(日本貿易振興機構海外調査部の芝元英一氏)。欧州的であり、ロシア的であり、それでいてアジアの一員でもある。われわれの良く知るアジアとはまた違う、異世界のごときアジア市場。攻略のしがいはありそうだ。首都アスタナ市のショッピングモール「ハーン・シャティール」の内部。テント型施設の内部をおびただしい数の買い物客が埋め尽くし、その頭上を絶叫マシンが急降下するロシアウズベキスタンキルギストルクメニスタン タジキスタンアフガニスタン中国カスピ海アスタナ1テンゲ=0.34円(2016年12月8日時点)日本の建築家、故・黒川紀章氏がアスタナの設計を手がけた。曲線による未来的なデザインの建物が目立つ。左の丸いデザインの塔はアスタナ新市街のランドマークタワー「バイテレク」。休日は相当な人出で賑わう文・写真 NNAカンパサール編集部 岡下貴寛NEXTアジア書評その先のアジアに行くにはこれを読め! ※当欄の写真は全てNNA撮影アジア新興国・地域の消費市場の可能性を探る「NEXTアジア」特集。カンパサール編集部は特集に登場する国・地域について書かれた書籍を厳選。小説から漫画、ビジネス書まで5点を、当欄で紹介していく。NEXTアジアのイメージをさらに膨らませよう。