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概要

NNA_kanpasar_vol.23

ローカル社員主導で生産管理システムを刷新バタム発、日本流の改善に挑む日系製造業の海外拠点における生産管理システムは、導入コストの安さから地場のパッケージソフトや自社開発ソフトなど拠点ごとの独自の対応に流れやすい。しかし、近年アジアでは中華系企業や地場企業の成長も著しく、日系企業はよりグローバルに情報を一元化し、生産効率を高めることが求められている。そんな世界で闘う日系企業のために、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)が開発した生産管理パッケージが「MCFrame」だ。導入した日系企業にその経緯や効果を聞いた。多品種少量生産に対応し、SCM を強化せよパトカーの散光式警光灯などの製造で日本国内で高いシェアを持つパトライト(大阪市)が1990年にインドネシアに設立したのがパトライト・インドネシアだ。シンガポールからわずか20キロほどのバタム島の工業団地にあり、日本のほかに欧米、シンガポール、中国、韓国などへ製品を出荷する重要拠点となっている。扱う製品は回転灯や表示灯、LED照明まで約2万2,000種類に及ぶ。多品種少量生産を行う同社にとっての課題は、受注・生産・在庫・原価管理などの業務を効率良く管理することだった。また、当時使っていた生産管理システムは15年前の導入から更新が停滞しており、万が一不具合が発生した場合、データ消失やオペレーション停止が起こりかねないリスクを抱えていた。こうした背景から生産管理システムの刷新を進めることになる。ローカル社員で立ち上げ、運用同社はこれまでローカル社員主体で日本流の改善を取り入れてきた。今回の生産管理システム導入も立ち上げから運用までローカル社員だけで行うことになる。導入時の支援はもちろん、導入後のサポートやメンテナンスが求められる中、MCFrame を採用した。決め手は何と言ってもB-EN-Gの手厚いサポート体制とアジア地域における豊富な実績だ。導入を担当したIT部門のアンドレアス・シボロ氏は、「システム刷新は苦労したが、B-EN-Gの担当者と相談しながら解決策を探すことで、みんなが使いやすいシステムを構築できた」と振り返る。また、MCFrameの運用の自由度の高さを生かし、旧システムを補完するために、アンドレアス氏らが構築した独自のサブシステムとの連携も実現した。MCFrameで生産管理全般、サブシステムで帳票発行などを行うことにより、業務効率化を推進している。「見える化」により改善を後押しさらにシステムの刷新は現場の改善も促進した。「在庫の状況について、検査済みなのか、不良なのか、倉庫にあるのかといった詳細な情報を取得できるようになり、探す無駄がなくなった」(製造部門)という声や「入荷検査、製造中検査、出荷検査においてリアルタイムでのデータ入力が可能になり、MCFrame上ですべての部門のデータがつながった。品質管理状況が見える化し、トレーサビリティが向上した」(品質管理部門)など、現場の担当者も導入による効果を実感している。もともと同社には現場発の改善が根付いていただけに、MCFrameによって収集できる情報の量・質ともに向上したことで、的確な改善課題を抽出できるようになったのだ。一製品につき一個の受注や特急注文、受注の変更にも迅速な生産指示と柔軟な計画変更で対応が可能になり、同社の強みである多品種少量生産にも磨きがかかる。パトライト・インドネシアに続きパトライト本社もMCFrameの稼働を始めており、本社との情報の一元管理を通じて、一層のサプライチェーンマネジメントの強化が期待されている。MCFrameで検査状況を確認する、パトライト・インドネシアのスタッフ会社名 :PT. PATLITE INDONESIA所在地 :インドネシア バタム島   (バタミンド工業団地)従業員 :270人事業内容:表示灯・信号灯・回転灯、音・音声合成機器、LED照明などの製造?会社概要導入企業紹介http://www.mcframe.com海外進出企業のためのグローバルソリューション生産・販売・原価管理パッケージ「MCFrame」は、海外現地法人でも利用できるよう多言語での利用や多通貨処理が可能。自社開発の海外拠点向けの会計パッケージ「A.S.I.A.」との組み合わせで、海外現地法人向けの統合基幹業務システムを提供。東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は、上海、バンコク、シンガポール、ジャカルタの自社拠点に加え、現地IT企業とのアライアンスにより、各国でシステム導入やサポートなどのグローバルサービス体制を構築している。PT. Toyo Business Engineering IndonesiaPresident Director内田 雅也氏(写真右)Question1 5年、10年と長く使用することを想定して、長く使えるシステムおよび長期的なお付き合いができるベンダーを選定することをお奨めします。特にインドネシアは中国やタイと比較して、いわゆるSIer(システムインテグレータ)業界が成熟しておらず、導入に失敗するケースも散見されます。予算の都合もあるかと思いますが、安いものには必ず理由があります。まずは値段だけで決めないことも大切です。海外でのシステム選びのポイントは?コンサルタントが語る海外導入のポイント長期的な視点で現地に合った「仕組みづくり」をTel:03-3510-1596/Fax:03-3510-1627/Email:sales-asia@to-be.co.jp / Web:http://www.to-be.co.jp/東洋ビジネスエンジニアリング株式会社海外現地法人中国(上海)、タイ(バンコク)、シンガポール、インドネシア(ジャカルタ)今回のケースでは、要件定義から設計・開発レビューなど導入時の一連の作業を現地でサポートし、パトライト本社の海外管掌部門への報告も適宜行いました。システム習熟度の高いスタッフがパトライト・インドネシアに多かったこともあり、導入は順調に進みました。導入から半年後に日本人工場長が帰任されることになり、需給調整業務を現地生産管理マネージャーが引き継ぎました。本社からの納期調整・特急注文への対応を今まで以上にスムーズにすべく、生産計画画面のカスタマイズや資材所要量計画(MRP)を使った在庫バランスのシミュレーション機能を追加しました。現場と本社、双方のサポート体制とシステムの自由度の高さという当社の強みを生かすことができました。システムトラブル対応はもちろん、業務改善につながるアフターフォローも引き続き行う予定です。導入時のサポートとアフターフォローについてQuestion2海外では文化や環境、言語の違いから、日々の業務を回すだけで精一杯になりがちです。日本で当たり前になっている小さな業務の大切さに気付く良い機会と捉え、現地のニーズにマッチした「仕組みづくり」が必要です。当社はITシステムと豊富なコンサルティング実績でそのお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にご相談ください。Question 海外に生産拠点を設ける企業へアドバイス3グローバル企業のための生産管理パッケージ「MCFrame」導入事例紹介(日刊工業新聞社発行『工場管理』2015年3月号を要約)14 KANPASAR