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概要

NNA_kanpasar_vol.23

10 KANPASARスポーツブランドとして永続的に力を入れるアジアは言語や法律、経済圏などが一つではなく、事業をやり始めると難しい面もありますが、今は好調です。東南アジア諸国連合(ASEAN)での売り上げは2013年度末で10億円弱でしたが、今は40億円を超える規模になりました。中国は14年、15年にそれぞれ前年より倍増。16年(1 ~ 12月)は前年比で約6割増加し、200億円を超えるとみています。中国政府は「国民皆健康」の方針を打ち出しています。習近平指導部になってからそれは顕著になり、「運動しましょう」と盛んに言われています。ランニングする人も増えてきました。世界的に見てもアシックスはもともとランニング分野で強いこともあり、中国でのブームにうまく乗ったという面はありますね。世界最大規模のスポーツ業界団体、世界スポーツ用品工業連盟(WFSGI、本部:スイス)の会長だった13年(14年から副会長)に、中国で開かれたスポーツ関連の展覧会でWFSGIの活動について講演したことがあります。私の後の講演で、中国の大学教授が「中国人は、劉翔(04年アテネ五輪男子110メートルハードル金メダリスト)のような個人のスターを出して喜ぶだけではなく、国民みんながフィジカルなアクティビティーをすべきだ」と訴えたのを聞いて驚きました。というのも、教授の直前にWFSGIの活動を紹介した時に「子供の頃から運動をしていると健康的なライフスタイルになる」という趣旨のプレゼンテーションをしていたんです。その教授に事前に情報が伝わっていたのかと思うほど、両者の話が似ていたんですね。つまり、それぐらい健康意識が高まっているということです。この巨大市場には競合も多くいますが、われわれはランニング分野が強みですし、ライフスタイルカテゴリーのオニツカタイガー※も受けています。中国での売り上げの5割がランニング・アスレチックの「アシックス」、5割がレトロ・カジュアルのオニツカタイガーです。中華圏やタイでも、オニツカタイガーはファッションアイテムと捉えられています。中国とタイでは売り上げの半分がオニツカタイガーによるもので、これは他の国・地域にはない特徴です。ブランドイメージを高く保つ「先人たちが創業から築き上げてきた企業の個性であり、顧客との情緒的なつながりを深める最も重要なもの、それがブランドである」と尾山社長は言う。3つの基幹ブランドのコンセプトやメッセージを正確に伝えていきたいというブランドとは個々人の頭の中にあるイメージだと思います。好きか嫌いかでそのブランドとつながりますから、同じアシックスでも捉えられ方はいろいろあります。アジア全域でまずやりたいのは、われわれのブランドイメージを良くしたいということです。日欧米ではすでに信頼できる、クール、ファッショナブルなど、「ハイパフォーマンススポーツブランド」のイメージがあります。そこで販売してアシックス代表取締役社長CEO尾山 基おやま・もとい1951年石川県生まれ。大阪市立大卒、日商岩井(現・双日)を経て82 年にアシックス。マーケティング統括部長や欧州法人社長などを歴任、2008年から現職。「照天一隅」が座右の銘。Photo by Tsutomu YAMADA日本を代表するスポーツブランドのアシックス。近年はレトロ・カジュアルのオニツカタイガーも人気だが、本分はやはりスポーツという。アスリートのために最高品質の商品の開発を続ける尾山基代表取締役社長・最高経営責任者(CEO)のブランド観とは。※アシックス社はスポーツの機能性を追求しながらスタイリッシュなデザインの「アシックス」、スポーツライフスタイル市場向けの「オニツカタイガー」、「アシックスタイガー」の3 ブランドを展開。トップは語るTop Interview