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概要

NNA_kanpasar_vol.22

KANPASAR 11講演2“Industrial BigData”日本のこれからを考えるグローバルな視点電通国際情報サービス 戦略ビジネス推進本部アシスタントマネージャー荻野博裕樹氏NNA講演AEC取材で見えた「ASEAN市場統合」の実態~日系企業の現状認識と活用度、問題点~NNA編集局編集部高田英俊記者ブース出展 3 社日系企業の海外進出をサポートイツのシーメンスに代表されるインダストリー4.0、米国ゼネラルエレクトリック(GE)に代表されるインダストリアル・インターネット。グローバル市場におけるインダストリアルビッグデータといえば、真っ先にそれらの名前が挙がる。このような先行事例に対して日本は何ができるか、ビジネスを伸長できるのか。システムインテグレーション、コンサルティング、アウトソーシングなどIT全般のサービスを提供する電通国際情報サービスの荻野博裕樹氏は「日本はトヨタやキヤノン、コマツなどが先進的な取り組みをしているが、まだまだ。これからビジネスをやっていく上では、グローバルな成長力が問われる」と問題を提起する。講演のさなかに、知的保全分野の世界的リーダーである米シンシナティ大学のジェイ・リー教授のビデオメッセージを紹介しながら、「製造業の革新」をテーマに日本の製造業の価値創造、競争力の戦略、変革の方向性を解説した。ECとは何か、と問われても即座に答えることは意外に難しい。 アジアでの取材経験が豊富なエヌ・エヌ・エーの高田英俊記者は「AECとはこうだ、と一言で表現できるものではないが」と前置きした上で「人、モノ、金の動きをできるだけ自由化し、1つの国だけでは呼び込めないような投資を地域一体となって呼び込み、経済成長につなげていこうという試み」と説明する。 高田記者は、ASEANは成功していると評価する。前出の木村氏も述べたように、域内関税の削減・撤廃が前倒しに進ドAスト削減にもつながる。ある3,000人の工場で導入したところ、9カ月後には生産性が13%向上していたという。「経済発展が加速するAECでは域内格差も徐々に縮まり、ヒト、モノ、カネの流動性が高まる。現地サプライヤーを活用し、人の流動化も激しくなる中で生産性を維持する必要に迫られる。そのためには、システマティックに対応できる仕組みが必要で、ここにスマートファクトリーの優位性がある」(清氏)んだことを大きな理由に挙げた。ASEANの成長には日本が大きな役割を果たしてきた。日本企業が海外投資の中でASEANの統合を活用してきたことで、利益の上がる地域に変わってきたと高田記者は言う。代表例が自動車産業で、その他の製造業でもASEANはいまや日本の生命線と呼ぶべき存在となっている。経済自由化の取り組みは、国によって当然スタンスが違う。「AECをチャンスとみるのはタイ。タイ企業が小売り、外食、金融などの分野でインドシナ周辺国に進出している。インドネシアは全く逆。ヒト、モノ、カネが自由化されると国内産業が打撃を受け、雇用を脅かされるととらえている。ASEANは多様なのでAECとひとくくりにしないで、それぞれの国情を丹念に調べながら事業を進めるのが大切」(高田記者)AECには課題も当然ある。賄賂、税関近代化の遅れ、保護主義的な措置などは主な問題だ。製品の貿易自由化の次の大きな変化として期待されているのはサービス貿易の自由化だが、ASEANサービス枠組み協定(AFAS)の合意形成は遅れているという。例えば、12年に署名が完了したAFAS8の公約では、ベトナムは小売り分野で外資100%を認めると約束するが、2店目以降は許認可が必要としている。これでは外資にとっては多店舗展開の足かせも同然だ。また、タイが開発を進めている国境付近の経済特区は、タイプラスワンの諸国への投資の妨げともなりかねないとの指摘もある。このように域内自由化に逆行するような動きも少なくなく、しっかり足並みがそろうにはまだ時間がかかりそうだ。高田記者は、ASEAN加盟諸国は全会一致・内政不干渉が原則であり、統合の作業が遅れても明確な罰則はないと指摘する。その上で「統合の作業は長い時間をかけて進んできた。これからも緩やかな動きで進むのではないか」と、今後もゆっくりとではあるが自由化が進むという見通しを語り、話を締めくくった。東洋ビジネスエンジニアリング、IIJグローバルソリューションズ、大和ハウス工業の3社がブースを出展。多くの人が集まったセミナー後には、講師と参加者による懇親会が行われた。参加者は自らの事業と結び付きのある人と名刺交換をし、懇談した。また、会場の一画に海外ビジネスをサポートする企業のブース出展があり、関心を持つ人が多く訪れた。業務用パッケージソフトウエア開発の東洋ビジネスエンジニアリングは、海外拠点向けコンパクトERPの「A.S.I.A.」、生産・原価管理を中心とした業務パッケージ「MCFrame」を中心に製品を紹介した。IIJグローバルソリューションズは、ビデオ会議による現地法人との通信サービスを紹介。スピード感のある経営判断への活用を訴求した。アジアで建築請負事業や資材調達、物流などを行う大和ハウス工業は、ベトナム・ホーチミンとインドネシア・ジャカルタで工業団地の開発も行う。また、両国で実施するレンタル工場事業に関する案内も行っていた。懇談会場で参加者に感想を尋ねると、今回はAECを徹底的に取材した高田記者の講演が印象に残った、という声が多く聞かれた。「記者の話では、一般的に入ってこない情報を聞けたので非常に興味深かった。ASEANではインドネシアやタイに注目している。ビジネスの難しさもあると思うが日系企業がどう対応していくのか注目したい」(インターネット情報サービス会社、営業部長)「AECでシンガポールを中心とした知財関連の取り組みが進んでいるという話があったが、それは全く知らなかったので興味深かった。香港とシンガポールは何かと比較されるが、香港も知財のハブを目指し、政府を中心に取り組んでいる。香港とシンガポールの違う点や優位性を意識していかなければいけないと感じた」(香港政府職員)