ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

NNA_kanpasar_vol.21

KANPASAR23第イ2ンバのウ国ン内ド市は場アジア太平洋地域のJTBグループ拠点国・地域拠点数国・地域韓国327中国20台湾2シンガポール7タイ6マレーシア6ベトナム4インドネシア4出所:JTB注:2015年7月1日時点語も宗教も全て違っていてニーズが多様なことです。「これは売れるだろう」と、プロダクトアウト的な発想ではピントのずれた商品になってしまう。現地の旅行会社の意見を聞き、ニーズに合った商品を販売することが大切です。シンガポール、香港、台湾あたりは市場も成熟していますが、アジア全体の旅行業界はまだまだ発展途上です。それだけに魅力を感じています。市場は熟していないし、旅行業法や業界ルールも未整備。コースや食事メニューが詳しく載っている日本のようなパンフレットも基本的にありません。「日本3泊4日○○元」というような、大ざっぱな1色刷りのチラシが普通です。商品内容とか販売ツールもまだこれから。「15分早く」が大反響JTBは中国において日本の旅行会社として唯一、中国人の海外旅行を取り扱う資格を与えられています。これは世界でも3社のみ。中国の国家旅遊局(日本の観光庁に相当)からは「本当に質の良い海外旅行、日本の良さが十分盛り込まれた商品を提供してほしい」と、はっきり言われています。中国からの訪日客が注目されていますが、日本の旅行会社が扱う割合は非常に少ない。日本にある中国系の旅行会社による買い物中心の安いツアーが多いのが実態です。せっかく来てもビジネスホテルに泊まり、毎日買い物に時間を割いて帰ってしまう。旅館も温泉も経験せずに、食事はバイキングばかりで日本食もほとんど食べていない、という不満の声が中国の方々から聞かれることも多いようです。訪日客全てを取り込むのは無理ですが、われわれは低価格志向の層ではなく、富裕層の個人旅行を取り込む戦略を進めています。それにはBtoCのためのウェブ戦略と、現地の富裕層を扱う会社との提携が必要になる。例えば、銀聯カードを扱う銀行やデ社長になる前は通勤で毎日1時間以上歩いていたという髙橋社長(同社提供)拠点数インド3フィリピン1ミャンマー1オーストラリア6ニュージーランド3サイパン5グアム315カ国・地域計398パートなどの流通業、あるいは航空会社といった、富裕層を顧客とする業界とのタイアップを準備しています。アジアのお客様のリピートにつながるのは差別化プランです。JTBは大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と特別に契約し、弊社のお客様だけが開園時間より15分早く入場できる特典を付けています。訪日客は限られた時間の中でアトラクションに何時間も並べませんが、これなら早く入園して乗れると、すごい反響があります。こういうオリジナル商品をどれくらい作れるか。2020年にアジアNo.1ある調査によるとJTBは世界の旅行会社で第7位の規模だという※。今後、2020年にアジアで圧倒的No.1のポジションを確立するという目標を掲げる。同時に、従来の旅行業の概念を超えた、新たな事業展開も模索している。※2013年度の取扱額、ユーロモニター調べグローバル戦略は、海外の現地国におけるアウトバウンドとインバウンド、日本人のインハウス(従来の海外旅行)、この3つの事業を中心に組み立てようというのが今の方針です。日本国内が不景気だったり、東日本大震災のような災害などの要因で不振となっても、同じような事業をアジア各国で立ち上げておく。これまでは日本人のインハウス事業が収益の柱でしたが、ここ数年の頑張りで半々の割合になりました。これまで、われわれの事業は日本人が外国に出て、外国人が日本に来るという双方向の「日本発・日本着」でしたが、それだけではもう展望は開けない。これからは、まず「アジア発・アジア着」です。例えば、バンコクの拠点がタイのお客様を国外に送り出すと同時に、タイの魅力を商品化して全世界からタイに呼び込む。ゆくゆくはこの双方の流れを世界中で進める「世界発・世界着」という構想趣味は街を歩くこと。歩くと街の動向が分かります。スタイルは本格的で帽子とサングラス姿。万歩計を持って音楽も聞いているから社員が会っても分からないでしょうね。最近は訪日外国人の様子を見るのが楽しい。訪日客が多い下町を半日間うろうろしたり。自分で見て初めて「本当に来てる」と納得します。訪日客に教えられることは多く、再発見につながっています。シンガポールの富裕層に強いというダイナスティ社の営業風景。14年2月末、JTBが株式を100%取得した(同社提供)を持っています。2020年の段階で取扱高2兆円、営業利益400億、全事業の利益の約25%はグローバル事業で確保するのが目標です。その主戦場は何といってもアジア。経営資源をアジアに集中投下する方針で、積極的にM&Aを進めています。最近は、富裕層に強いシンガポールのダイナスティ・トラベル・インターナショナル社を買収したり、韓国でロッテグループと合弁会社の立ち上げなどを行っています。M&Aでは、JTBブランドへの同化政策は行いません。合弁は社名が入りますが、ダイナスティをJTBダイナスティとはしません。元のブランドが浸透していますから、そのまま活用する。JTBは売り上げ規模や数値の上では、すでにアジアのナンバーワンになっています。しかし、JTBというブランドがどれだけ浸透したかといえば、アジアではまだまだ知られていません。ブランドを構築し、名実ともにナンバーワンになろうという思いを込めて、われわれは「圧倒的No.1」を目指すと言っています。旅行業から「交流文化事業」へ今後、もう一つ重要なのが事業開発。われわれの中核事業はあくまでも旅行ですが、旅行で培ったノウハウ、経験、人脈を利用して周辺ビジネスも行う。実は事業ドメインを“旅行業”から“交流文化事業”へと変更しました。「JTBは文化事業かメセナ(芸術文化の支援)を始めるんですか?」などと聞かれますが、そういうことではなく旅行業も交流の一種であり、人や物が動いて交流を生み出すことによってビジネスチャンスを広げるという考え方です。例えば、国が進める地方創生の一環として全国150近い自治体で行っている「ふるさと商品券・旅行券」という事業のお手伝いを弊社がしております。ふるさと商品券は人や物が動くことでビジネスが生じます。こういうことも含め、交流文化事業として取り組んでいく考えです。旅行業は中核事業として今後もしっかりやっていきますが、訪日インバウンドが有望とはいえ国内マーケットに固執してはシュリンクするのが目に見えています。われわれの事業領域を広げるため、グローバル事業に打って出るとともに、新たな交流文化事業も進めていこうという考え方です。(聞き手・岡下貴寛)