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概要

NNA_kanpasar_vol.21

22 KANPASARトップは語るTop Interviewジェイティービー代表取締役社長髙橋広行たかはし・ひろゆき1957年生まれ、58歳。関西学院大学法学部卒業後、日本交通公社(現JTB)入社。広島支店長、JTB中国四国常務、JTB常務、JTB西日本社長などを経て2014年より現職。経営者としてのタイプは「石橋を叩いて渡る慎重な半面、勝負に出る時は出る」(髙橋氏)。座右の銘は「着眼大局、着手小局」規模、知名度とも国内ナンバーワンの旅行会社として圧倒的ブランドを誇るJTB。訪日特需に業界が沸く中、2014年決算は売上高1兆3,239億円、純利益がほぼ倍増と業績も好調だ。最近は「アジア発・アジア着」を掲げて海外M&Aを活発化。アジアの拠点拡大と人流の取り込みを加速している。Photo by Tadashi Kumagai2014年の旅行市場は国内旅行と訪日インバウンドが好調に推移しましたが、海外旅行は円安やテロの影響もあって苦戦。海外の落ち込みを国内がカバーした形です。業績に大きく貢献したのは法人需要です。アベノミクス効果もあって、大型インセンティブ旅行が国内外を問わず増えました。個人客も活発です。私どもの主力の熟年層は海外から国内へと顕著にシフトしています。旅行離れと言われた若年層も動き出しました。国内旅行の人気はとにかく北陸です。弊社の首都圏からのお客様は前年比400パーセントを超えています。金沢に行ってみると訪日客が押しかけていました。あるテレビ番組が街頭で取材したところ、26カ国もの人々がいたそうです。訪日インバウンドは最大の経営課題の1つに位置付けています。ひと口に国内旅行と言っても日本人の旅行と外国人の旅行があるわけで、インバウンドは第2の国内市場。日本人の市場は将来的に人口減となるのが見えていますから、インバウンドをどう強化するか。インバウンド市場に占めるJTBグループのシェアは現在10パーセント強。これを可能な限り早く20パーセントほどにしようと進めているところです。今年の訪日客は1,800万人を超えると見込まれています。すでに東京や京都は時期によって大変混雑しています。インバウンドの活況も販売が伸びる一方で、ホテルや旅館の不足が顕在化しています。これにより出張も日帰りが増えています。2,000万人ともなれば、さらにその傾向は強まります。ですから、これからのインバウンドは、地域や時期をどう分散していくかが重要。地方観光が活性化すれば集中を緩和できるし、それをしない限り2,000万人、3,000万人の達成はありえません。北陸に続く第2、第3のゴールデンルートを開発するのがわれわれの役割です。宿泊不足と言いましたが、日本の旅行会社は仕入れ環境の大きな転換期を迎えています。インバウンドの集中と海外のグローバルOTA(オンライン旅行会社)の進出などにより、従来の仕入れが通用しなくなってきている。ホテルの部屋は買い取りや販売保証などの手法を駆使してでも確保する。飛行機の座席が取れなければチャーターして座席を買い取り、それをどう活用するのかという戦略が必要。自らリスクを取る仕入れをしなければ、立ち行かなくなる時代が来ています。未成熟だから魅力的経済成長とともに世界的に増大するアジア人の海外旅行だが、市場も業界もまだまだ未成熟な状況だ。髙橋社長は、そこが魅力的とも語る。アジア人が評価する日系旅行会社の強みとは何か。世界的な人流の拡大をけん引しているのはアジア人の海外旅行です。訪日客の8割はアジアからのお客様。これからはアジアの人流をどう捉えるかが最大のテーマとなります。幸い、JTBは海外35カ国に500カ所以上の拠点を持っています(表)。自前の店舗網に加えて現地の旅行会社と提携し、アジア全域の拠点から送り出したお客様を日本で受け入れる流れを作っています。アジア市場が難しいのは、国民性も言時代はアジア発・アジア着圧倒的なナンバーワンへ