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概要

NNA_kanpasar_vol.20

6 KANPASAR狙われる日本ブランドアジア消費者をあざむくパチモン偽物ラッシュが止まらないカメラタイヤボールペンも!、、日本企業の模倣品被害額は年間1,100億円超日本企業の模倣品被害が一向に収まらない。巧妙化して実態が見えにくくなっているとの声もある。各国との交渉や被害企業からの相談窓口となっている、経済産業省模倣品対策室の山浦光一郎氏に現状を聞いてみた。被害の7割強が中国で発生模倣品と一口に言われるが、そのターゲットとされているのは日米欧の、いわゆるブランド品が中心だ。中でも日本製品は、品質の良さが世界中で認められていることから、ほぼ全ての製品やサービスが標的となる。世界全体の模倣品被害額は、2008年に6,500億米ドル(約80兆円、国際商工会議推計)だったが、15年には2.7倍の1.77兆米ドルに達すると予想されている。一方、特許庁によれば、アンケートに回答した企業に限定しても13年度の日本企業の模倣品被害額は、世界全体で1,116億円と推測されている。12年度の1,001億円から、1割以上増えている計算だ。日本企業の被害額を国・地域別にみると、中国が7割以上と突出。台湾、韓国を合わせると全体の8割を超える。ただし、中国に進出している企業が多く、被害が発覚しやすいことから数字が大きくなっている面も大きい。もう一つ重要なのは、中国で生産された模倣品が国内だけでなく世界中に輸出されていることだ。だからこそ、中国での模倣品対策は特に気を配らなければならない。国・地域別の模倣被害額の状況(被害額ベース)東南アジア7.4%台湾・韓国12.3%その他7%中国73.3%山(出典)政府模倣品・海賊版対策総合窓口「模倣品・海賊版対策の相談業務に関する年次報告2014年6月」注1:特許庁「2013年度模倣被害調査報告書」を基に作成注2:地域別の被害額が判明している企業のみが集計対象あらゆる日本製品が被害に模※倣経浦品済光対産策業一室省郎模製倣造氏対産策業専局門官※取材当時中国では、あらゆる製品の模倣品が出回っている。高級ピアノや完成品の自動車など高価でかさばるものは少ないが、模倣品のない分野を探すほうが難しいほどだ。模倣品のターゲットは日米欧のブランド品が中心だが、各国が対策に力を入れる分野は大きく異なっている。米国はなんといっても、ハリウッド映画などのコンテンツビジネスの対策に関心が強い。欧州では衣服や高級時計、バッグなどの高級ブランドが多いことから、商標権の侵害に神経をとがらせる。一方、日本は同じ商標といっても、ボールペンなどの文具をはじめ日用品や医薬品、家電、電子機器、機械に至るまで、ありとあらゆる製品が被害に遭っているため、まんべんなく対策をする必要がある。深刻なリスクも模倣品被害には、売り上げや利益が減る、これまで築き上げたブランドに傷がつく、といったこと以外にも大きなリスクが潜む。中国では以前、日本メーカー製タイヤの模倣品が原因で自動車事故が発生し、正規品メーカーが訴訟に巻き込まれた事例がある。タイヤにメーカー名が刻印されており、客が正規品だと思ってタイヤを購入しためだ。事故車の炎上跡に焼け残ったタイヤから模倣品と判明。日本メーカーは勝訴した。しかし、訴訟になれば訴えられたメーカーが正規品かどうかを立証しなければならず、膨大な時間と費用がかかる。さらには、「模倣品が出回っていることを知っていたならば、消費者に被害が及ぶことも予見できたはずだ」という世論が巻き起こる恐れもある。こうした見えないリスクへの対応も含め、模倣品対策の重要性を認識すべきだろう。進出国での商標権模倣品対策が必要なことは分かっていても、とくに中小企業にとっては掛けられる人員やコストが限られる。そこで、私が講習会などで話すのは、進出計画がある国で商標権だけは必ず押さえておくこと。その後は、事業の伸展に合わせて対策していけばいい。もう一つは、もっと法律や知的財産権に対する関心を持ってほしいということ。経済のグローバル化に伴って、日本企業の模倣品被害も世界中に広がりつつある。特に中国や爆発的な市場拡大が見込まれる東南アジアへ進出する日本企業は、ますます増えていく。海外進出に際しては、もはや知財対策は必須と考えることが重要だ。