NNA_kanpasar_vol.18

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6 KANPASAR日系テナントの実力アジアのSCを席巻する「100均のダイソー」日本でおなじみ100円ショップ。「ダラーストア」と呼ばれる均一価格・雑貨中心の業態で、「ダイソー」を展開する大創産業(広島県)が筆頭だ。実はアジアの同業態はほぼ同社の独壇場で、いまや数百の現地SCに出店する。有力テナント企業としての側面に迫った。「10年前は、現地デベロッパーへ挨拶に行くと『あ、そう。ウエーティングリストに社名を書いておいて』という対応だった。それが最近は、タクシーでダイソーまでと頼めば『ダイソーのどこの店舗?』と聞かれるほど認知されてきた」大創産業の常務取締役・アジア事業部長の大原貴光氏は、実感を込めて語る。取材時点(2014年11月)で総店舗数は4,000店を突破。海外は既に1,000以上、その半分強がアジアだ。今や、世界中のSCから出店の誘いを受けるようになった。海外店の9割以上がSCのテナントだ。アジア進出する日系企業は数あれど、これほどの規模でSCに展開している例はまれだろう。出店要請が非常に多い中、成立するのは10件に1件以下だ。ダイソーのSC出店に対する考え方や、重視する条件とはどのようなものか。実は、階数やフロア面積、あるいは坪効率といった数値的な基準や具体的条件は設定していない。大原氏によると、同社の矢野博丈社長には店数をむやみに拡大する考えはなく、むしろ「身内がこのSCで商売したいと相談してきたら」と我が身に置き換え、慎重に判断するよう求めているという。「SCとテナントは運命共同体」が基本的な考え方だ。テナントはSCの協力がないと力が発揮できないという前提に立ち、相手がダイソーのことを理解し、協力体制が作れるかを綿密に確認する。アジアは交渉がシビア日系とアジアのデベロッパーの違いについては「賃料がとりあえず倍、ときに10倍という金額が飛び出す。高くできるなら当然高くするというスタンス」(大原氏)と、交渉のシビアさをまず挙げた。オーナーが代わると同時に、契約期間が残っているにもかかわらず値上げの話をされることもあったという。リーシング(テナント誘致)については、賃料を高く取れれば良いという発想が目立ち、SCの活性化や面白さにあまり目を向けない傾向があると指摘する。「新しいSCもテナントの顔ぶれが変わらずリーシングの見直しが必要と感じることもよくある。『スーパーが生鮮でアッパーミドルを狙うなら周囲はこういうテナントに』など、日本の方が計画は上手」(同)と、日系に軍配を上げる。アジアでは、アパレルの有名ブランドが多い一方、雑貨の有名店はまだ少ないのが現状だ。ダイソーは、デベロッパーからカテゴリーキラー(専門店)としての役割を期待されることが多い。そのため海外では、日本ブランドの安心感、品質、デザイン、利便性などを前面に打ちシンガポールIMM店(写真は全て同社提供)出す。パッケージも日本語のまま販売すいかに伸ばすかが焦点となりそうだ。る。店舗によっては、シャンパンゴール大原氏は、海外におけるダイソーの店ドの色合いの売場や凝ったデザインの什づくりは、まだまだ試行錯誤の段階にあ器を導入するなどイメージづくりに気をると説く。配り、日本ブランドへの期待感に応える「各国では何が正解で何が問題なのかをための工夫も怠らない。考えながら、常に新しさを表現していく。やってみて駄目なら改める。店の力を高海外比率をどう高めるかめ、アジアのお客様にとって『ダイソー直近の総売上高は3,763億円(14年3があってよかった』という存在を目指し月時点)。海外比率はまだ10%未満で、たい」(同)国内が大部分という。国内が既に3,000日本の100円ショップが、SCという店に達していることを考えると、今後は舞台でさらに飛躍できるか。全アジアのアジアを中心とする海外での売り上げを関係者が注視している。現場ウオッチダイソーシンガポールIMM店日本のアイデア商品が好評大創産業シンガポール・マレーシア運営部長富岡淳氏─売れ筋の傾向はシンガポールは四季がないが、逆に季節感のある商品がとても人気。クリスマスが圧倒的で、ハロウィーンも売れる。季節感がない分、直前に盛り上がるよりは前もって長く楽しみに待つという国民性だ。クリスマス商品は10月から陳列を開始。ビジネス、家庭向けの両方で長い期間売れる。日本製品は絶大な信頼があり、「これは日本製」と説明を付けて販促する。陶器やガラス製品は有田焼、美濃焼、切子など価値の高い物をそろえる。似た商品が並ぶと分かりにくいため、まとめて「日本の有名ブランド品」と紹介する。また、日本のアイデア商品も好評。最近はスマートフォン用のイヤホンを巻いて収納するリールが売れる。こういう物はアジアで探しても見当たらない。現地の人が見慣れない商クリスマス商材では、ツリー、ボール、モールなどデコレーション用品が売れ筋。クリスマス直前になると、サンタ帽子や靴下、紙製のギフトボックスが売れる品なので、使い方を写真で紹介しながら展開している。─購買の特徴は日本と異なるのは、メードを連れて買い物に来ること。キッチンや清掃関係の商品は、それを使うメード本人と一緒に検討する。まとめ買いの傾向もある。工場が少ないシンガポールでは、一般市場の製品のほとんどが輸入品。在庫が切れれば手に入らなくなる恐れがあるためだ。例えば、湿度が高いシンガポールで人気の湿気取り。1カ月も経てば買い換えが必要だが、ストックを切らしてはいけないという意識が働くようで、まとめて購入するケースが多い。─最近の業績は2014年は業績がよく、売上高前年比が2桁台で増加。新店も2店加わった。シンガポールで13年を経て、「ダイソーといえば2ドルショップ」という評価も定着していると思う。02年に進出した際は1.99ショップといわれる競合がいたが、既に撤退した。今はシンガポールにおける同業者はなく、自社が市場をリードしている。テナント情報開店年月2002年3月。シンガポール1号店。SCのIMMの3階に出店所在地2 Jurong East Street 21 #03-48/50 IMM Building 609601市内から車で西に30分のジュロン地区にある。工場や倉庫が多く、「以前はショッピングに来るような場所ではなかった」(富岡氏)。最近は再開発でSCも増加している。施設は出店地域3層で1階にジャイアントという有名な地場スーパーがあり、2~3階は家具インテリア、電器店など。IMMはシンガポールで数少ないアウトレットモールで、関連のテナントも多い約2,800m2。同国のダイソーで最大。ASEANでも5指に入売場面積る規模営業時間10~22時約3万点(SKU)。国内他店は1万~1万5,000点が主流。商品点数商品構成は日本と同じ主婦が中心で、週末は家族連れ。平日の夕方~夜は小中学生客層も多く、お菓子、文具、化粧品を買い求める。レジ通過客数は1日3,000人以上。来店客数はその1.5倍はあるとみられる取材:2014年11月売れ筋商品価格は全て2シンガポールドル1シンガポールドル=90.85円(14年12月1日時点)1位キャラメルコーン季節商品として、マロンやグリーンティー味などいろいろな種類が出ている。「やはりオリジナルのキャラメル味がダントツで売れる」(富岡氏)2位プラスチック製シューズBOX靴が入るサイズのふた付きプラスチック箱。半透明で、色は1種類のみ3位プラスチック製ストックBOXいろいろな物が入る半透明のケース。高さ約20センチ、ビデオテープが6本ほど入る