NNAカンパサール

アジア経済を視る Janualy, 2022, No.84

【NNAコラム】各国記者がつづるアジアの“今”

テイクオフ ─コロナ下の正月・春節編─

2022年の正月や春節(旧正月)も新型コロナウイルスの新たな変異種「オミクロン株」の影響を受けて、いつものにぎやかな1年の節目とはいかなそうな予感。アジア各地の記者たちから届いた「コロナ下の正月・春節」にまつわるコラムを紹介する。

通りは春節(旧正月)を祝う赤い提灯で彩られ、帰省した人々でにぎわう=2021年2月13日、中国・天津市(新華社)

通りは春節(旧正月)を祝う赤い提灯で彩られ、帰省した人々でにぎわう=2021年2月13日、中国・天津市(新華社)

台湾

2022年の春節(旧正月、2月1日)連休に一時帰国するかどうかを考えていたところ、南アフリカなどで新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が確認された。水際対策として、日本の国土交通省が12月1日、日本に到着する全ての国際線の新規予約を月末まで停止するよう航空会社に要請したとのニュースが舞い込んできた。

ここのところ台湾、日本ともに感染が落ち着き、隔離規制の緩和に期待を持っていたが、今回は感染防止の緊急避難的な予防措置だという。水際対策が刻々と変わる中、振り返ればもう2年くらい日本に帰っていない。

コロナのまん延前、台湾と日本は多数の航空路線で結ばれ、旅行者の往来が活発だったことを思うと、一時帰国のハードルがここまで上がった現状には隔世の感すらある。以前のように日本に帰ることができる日はいつ来るだろうか。(晶)


シンガポール

マレーシアとの間で隔離なしの入国を相互に認める枠組みが始まった。シンガポールには多くのマレーシア人が居住しており、今回の動きを心待ちにしていた人も少なくないだろう。

マレーシア人の夫も、この枠組みを使って2022年の春節(旧正月、2月1日)の時期に陸路で実家に戻ることを思案中だ。春節直前に移動すれば大混雑が予想されるため、1月初旬に帰省して「越境リモートワーク」をしながら春節を実家で迎えるプランだ。陸路の移動手段の確保に加え、会社に越境ワークの可否を確認したり、実家で仕事用のIT環境を整備したりする手間がかかるが、約2年ぶりの帰省に向けていろいろ調べている。

周囲の話を聞くと、夫と同様に1月の早い時期に帰国して春節までの長期滞在を計画するマレーシア人は多いようだ。1月の隣国行きバスチケットはあっという間に完売するのかもしれない。(雪)


中国

ドローンで撮影された写真を見る限り、3階建ての白い建物はさながら学生寮のよう。昔、北京留学時代に住んだ寮が頭に浮かんだ。広州の郊外で入境者隔離施設の建設が進んでいる。9月撮影の写真からは、外観工事が終わり、内装や管理システムの設置などを進めている様子が見て取れる。年明けには稼働するのだろうか。

広州市が全国に先駆けて建設中の同施設は、白雲国際空港から車で約30分の場所にある。部屋数は5,000室超。人との接触を減らすため配膳ロボットなども導入されるとか。

2021年3月に日本から広州に入境した際には、市内のホテルに運ばれた。デリバリーも可能で、比較的恵まれた隔離生活だった。次に入境する時には、あの学生寮のような施設に運ばれるのか。住み心地はどうだろう。春節休暇の帰国を考えているが、入境するに当たってのハードルは高まるばかりだ。(優)


台湾

2022年の春節(旧正月、2月1日)までちょうど3カ月。台湾では既に春節に意識が向かい始めていて、中でも台湾に帰省する人たちの隔離をどうするかに注目が集まっている。

春節には約4万人が台湾に戻って来るとみられている。政府によると、隔離に使う防疫ホテルは全域に2万6,000室あるが、不足が予測されることから、14日間の隔離期間のうち4日間は現在認められていない自宅隔離にする案も浮上している。確かに自宅での隔離も認められれば、海外在住の台湾人にとっては帰省しやすくなるだろうが、欧州などで感染が再拡大していることも踏まえると政府は慎重な判断を求められるだろう。

われわれ海外在住の日本人もそうだが、コロナ禍で遠くなった古里に帰ることを心のよりどころにしている台湾人も多いはず。そんな人たちが良い新年を迎えられることを願いたい。(祐)


タイ

早朝に日本の家族から祖母の訃報が届いた。「来年こそ一緒にお正月を迎えることを楽しみにしている」と伝えてほしいと頼んだ翌日のことだった。

なぜ祖母が元気なうちに感謝の気持ちを伝えておかなかったのだろう。コロナ禍であろうと、なぜもっと早く一時帰国しなかったのだろう――。今さら悔やんでも遅いが、最期に会えなかったことが無念でならない。バンコクの寺院で僧侶が唱えるお経を復唱し、手を合わせると、楽しかった思い出が走馬灯のように駆け巡った。悲しい反面、まだ亡くなったという実感が湧かず、いつものようにおせち料理を作って迎えてくれるような気がする。

昭和初期生まれの祖母が、言葉にはせずとも本当は理想としていたであろう「主婦のかがみ」にはなれなかったが、これまでと変わらず海外で仕事に励んでいくしかない。それが一番の供養になると思うから。(香)

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