NNAカンパサール

アジア経済を視る October, 2021, No.81

【NNAコラム】各国記者がつづるアジアの“今”

テイクオフ ─在宅勤務編─

長期化する新型コロナウイルス禍を受けて、アジア各国・地域でも在宅勤務がすっかり常態化した。その一長一短がみえてきた。アジア各地の記者たちから届いた「在宅勤務」にまつわるコラムを紹介する。

PCに向かって仕事をする中国人男性。アジア各国での在宅勤務もすっかり常態化し、良し悪しがみえてきた

PCに向かって仕事をする中国人男性。アジア各国での在宅勤務もすっかり常態化し、良し悪しがみえてきた

マレーシア

靴と腕時計とワンピース。一時帰国の際、必ず持ち帰って修理やメンテナンスをする物だ。今回、どの店からも興味深い話が聞けた。靴については過去数年、夏に底の張り替え依頼が増え続けているという。店主によると、原因は温暖化。アスファルトの熱が高まり、靴底の接着剤を溶かしているとの分析だ。

腕時計とワンピースはコロナ禍の世相を反映。前者は在宅勤務で着ける機会が減ったことで、逆にメンテナンスの好機となっているらしい。後者は試着ができないネット通販による購入が増えたため、サイズ直しが多いとのことだ。

こちらは、マレーシアの多湿な気候で靴底のウレタン素材が分解し、常夏で年中汗ばむ腕に時計のぜんまいの調子が気になり、走っての帰宅途中にスカートのスリットが裂けた。所変わればの事情もさることながら、サービス店の活気に何より安堵(あんど)した。(丑)


シンガポール

オフィスのパソコンが故障した。在宅勤務中の出来事だ。電源ボタンを押しても反応しないため、契約しているITサポート会社に持ち込んで確認してもらった。回答は「内部の基板損傷で修理できない」だった。ハードディスクは問題なかったため、データを予備のパソコンに移してもらった。

新しいパソコンを購入しようと見積もりを依頼したところ、希望するモデルの納期は3~4カ月先だった。世界的な半導体不足で在庫が不足しているためとの説明を受けた。途方に暮れていたところ、解決案をひとつ思いついた。パソコン関連のショップが集積する「電脳街」に持ち込むという策だ。

策は功を奏した。ある店舗に依頼し、待つこと2時間。無事に電源が入るようになったのだ。基板の部品の一部を交換したのだという。どこの大都市にも1カ所はありそうな電脳街。これからも重宝したい。


インド

あるIT企業の幹部とコロナ禍における在宅勤務(遠隔勤務)の利点と課題について話した。彼によると、最近は多くの企業がOKR(オブジェクティブス・アンド・キー・リザルツ=目標と主な結果)と呼ばれる目標管理ソフトを使っている。在宅勤務中の従業員の生産性を維持し、目標を達成するのを手助けする内容だという。

調べてみたところ、こうしたソフトウエアを必要とする企業は増えている。インドでOKRソフトを販売する米系企業は、全ての業界に自社ソフトの導入を勧めている。「このソフトは簡単に設定できる上、チームや個人の目標を管理・監視できる。従業員が社外で働くようになった今、多くの企業が関心を寄せている」と話す。

企業は目標を達成するため、在宅勤務を通常の働き方にするあらゆる解決策を活用しようとしている。(虎)


オーストラリア

今住んでいる集合住宅で、在宅勤務の人が増えているせいか他のユニットの生活音が気になる機会が増えた。以前から、ラグビーリーグの試合があるたびに大声でテレビに向かって応援する男性の野太い声は気になっていたが、シーズンが終われば静かだ。それよりも、真上の住人の、床をコツコツとたたくような音が何かと気になる。

上のユニットはカーペットが敷かれていたはずで、そんな音はするはずがない。木やタイルの床にするなら、下に音が響くから管理組合を通じて改築の許可を取るべきだが、そんな話は聞いていない。

以前、上の住人には、洗濯機の排水ホースをちゃんと設置しなかったせいで、下のわが家まで水浸しにされたことがあった。それに比べれば、音なら実害もないと我慢するべきなのかもしれないが。(欣達)

出版物

各種ログイン