NNAカンパサール

アジア経済を視る May, 2021, No.76

世界的な半導体不足
アジアにも深刻な影響

「産業のコメ」とも呼ばれるようになった半導体。いまや自動車も家電も半導体がなければ、動かない。経済社会のデジタル化が進む中で半導体に対する需要は増すとみられており、半導体を巡る動はアジア各国・地域で起こっている。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。

世界的な半導体不足がアジア各国の自動車や家電業界に影響を与えている=2月1日、中国・上海(新華社)

世界的な半導体不足がアジア各国の自動車や家電業界に影響を与えている=2月1日、中国・上海(新華社)

台湾

TSMC、今年3.3兆円投資
前年比7割増、1月から再度増額NNA POWER ASIA 2021年4月16日付

ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は15日のオンライン業績説明会で、2021年の資本的支出(研究開発費や設備投資費用の総称)を約300億米ドル(約3兆2,700億円)とする方針を明らかにした。250億~280億米ドルとした1月の見通しから一段と引き上げる。過去最高だった前年(172億米ドル)からは7割以上増やすことになる。急速に拡大する先端製造プロセスの需要取り込みを急ぐ。


マレーシア

半導体不足、数カ月で正常化
サイム自動車NNA POWER ASIA 2021年4月14日付

マレーシアのコングロマリット(複合企業)サイムダービーの自動車部門サイムダービー・モーターズ(SDM)は、世界的に問題となっている自動車用半導体チップの供給不足について、今後数カ月で状況が改善し、正常化に向かうと予想している。エッジ(電子版)が伝えた。SDMはマレーシア国内で、独BMWなど29ブランドの組み立てや販売を手掛ける。流通・小売り部門の責任者、ジェフリー・ガン氏は、半導体不足による減産で在庫が限定的になるなど、販売に多少の影響が出ていることを認めている。


タイ

半導体が不足
家電価格が上昇見通しNNA POWER ASIA 2021年4月9日付

半導体の世界的な不足で、タイの家電やスマートフォンなど電子機器、自動車の生産・販売に影響が出始めている。家電メーカーの一部は商品価格引き上げの検討を始めた。プラチャーチャート・トゥラキットの最新号が報じた。サムスン電子のタイ法人、タイ・サムスン電子(TSE)のディレクター(家電部門)、クリサダ氏は、「年内は家電業界が半導体不足と、輸出用コンテナ不足に起因するコスト上昇に悩まされることになりそうだ」との見通しを示した。


韓国

車載半導体不足の影響顕著に
年12万台減産、政府が特別法準備NNA POWER ASIA 2021年4月22日付

車載半導体の需給の世界的な逼迫(ひっぱく)による影響が、韓国の自動車業界でも顕在化し始めた。韓国は車載半導体の98%を海外から輸入しており、最大手の現代自動車を中心に減産規模は約12万台に達する見通しだ。事態を深刻に捉えた韓国政府は、国内の半導体産業を育成するための特別法成立に乗り出す構えをみせている。


中国

車載半導体の不足問題
4Qに改善鮮明化かNNA POWER ASIA 2021年4月12日付

中国自動車工業協会は9日、車載半導体の不足問題が第4四半期(10~12月)に目立って緩和に向かうとの見方を示した。ただ当面は厳しい状態が続くとみている。同協会は、車載半導体などの部品供給の逼迫(ひっぱく)が自動車メーカーの生産に影響を及ぼしており、部品不足は第2四半期(4~6月)に前四半期よりも影響が大きく出ると指摘。現状を踏まえ、車載半導体の不足は7月以降に緩和すると見通した。


インド

20年度新車、6%減の328万台
コロナ重し、先行き不透明NNA POWER ASIA 2021年4月13日付

インド自動車工業会(SIAM)が12日に発表した2020/21年度(20年4月~21年3月)の国内新車販売台数(乗用車と商用車の合計、出荷ベース)は、前年度比6.0%減の328万16台だった。新型コロナウイルス対策の活動制限で4~6月の販売が急落したことが影響し、不振に苦しんだ前年度の実績をさらに下回った。現地では新型コロナの感染拡大と半導体不足の課題が続いており、本年度に本格的な回復路線に乗れるかは不透明だ。


ニュージーランド

NZ3月新車86%増
供給体制は依然混乱NNA POWER ASIA 2021年4月7日付

ニュージーランド(NZ)自動車産業協会(MIA)が6日に発表した3月の新車販売台数は、1万5,498台と前年同月比86.3%増となり、同月の販売台数としては過去最高を記録した。ただ、新型コロナウイルスの感染流行を抑制するためのロックダウン(都市封鎖)が最初に発動してから丸1年たったにもかかわらず、供給体制は依然として混乱しており、NZの自動車市場に影響を与えているという。

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