NNAカンパサール

アジア経済を視る January, 2021, No.72

【NNAコラム】各国記者がつづるアジアの“今”

テイクオフ ─コロナ禍の年末年始編─

中国の春節(旧正月)の風景。今年は2月12日が春節にあたり、11日から17日まで連休となる(Silentpilot撮影/Pixabay)

中国の春節(旧正月)の風景。今年は2月12日が春節にあたり、11日から17日まで連休となる(Silentpilot撮影/Pixabay)

中国

「元旦は日本に帰らないの?」。年末のある日、行きつけのサロンで店員にこう聞かれた。新型コロナウイルスの影響で帰れないだろうねと答えると、「その方が安全。中国でのんびりするのもいいよ」と慰められた。

「日本って感染収まってないの?」。突然、隣に座っていた女性客が話し掛けてきた。新規感染者が2,000人を超える日もあると言うと、「日本では感染症が流行しないと思ってた。みんなマスクをして手も洗っているイメージなのに」

中国で数千人単位の新規感染者が出ていたのは昨年の2月中旬、もう10カ月近くも前のことだ。海外旅行が難しい中、国内旅行の需要回復も進む。

今年の元旦は3連休。2月には春節(旧正月)の7連休もある。中国では日本の街並みを再現した路地が各地で登場しているというし、日本に帰れないのなら身近な日本を探しに行くのもありか。(佳)


シンガポール

年末商戦たけなわの12月。例年なら商業施設でセールを見て回る。ただ新型コロナのせいで巣ごもり生活が続いた今年は、繁華街を巡るよりもネットを眺めている時間が多かった。

先日、ネット通販の安売りで立て続けに商品を購入した。化粧品や雑貨の他これまではサイズが合うかどうか不安で手が出せなかった靴も思い切って買ってみた。国内で販売店がない商品のため、ユーザーのコメントを頼りに大きさを選んだ。手元に届き最初に履いた時はドキドキしたが、問題なさそうでほっとした。

販売店がないといえば、友人が欧州では一般的だが当地では入手が難しい料理用ワインを探していた。ネット通販でたまたま見つけた自分は彼女の代わりにワインを購入。欲しいものが簡単に見つかる便利さにはまると、セール期間が過ぎても「ポチッと」が止まらなくなりそうで怖い。(雪)


オーストラリア

カンタス航空に勤める日本人の友人が、今年1年間自分たちのために頑張ってくれた労働組合に差し入れを計画したそうだ。同じ事を考える同僚は多く、いつも組合のオフィスには差し入れが溢れているらしい。そこで彼は日本人らしい差し入れをと考えて、おにぎりを思いついた。というのも日本にフライトで着くと同僚のオージーたちは、まず空港のコンビニでおにぎりや酒を買うそうで、特に「ツナマヨ」のおにぎりが大好きらしい。

韓国産だがコンビニのような包装フィルムに入ったのりなど、具材一式を買いそろえツナマヨのおにぎりを作って持って行ったら、組合員は懐かしいといって大喜びだったそうだ。

タイ産のマヨネーズ、オーストラリア産ツナ、韓国産のりで完成したおにぎりだが、彼の日本的おもてなしの心は届いたに違いない。(花坊)


タイ

年の瀬が迫ったタイの首都バンコク。当地の宗教は仏教徒が多数を占めるが、商業施設など人々が数多く集まる場所には派手なクリスマスの飾りつけが目立ち、年末ムードを否応なく高めている。

ただし、やはり人々の表情はさえない。というより、マスク姿で表情すらうかがうことができない。1年にわたって世界を混乱に陥れたコロナ禍。世界で最多の感染者を抱える米国でいよいよワクチン接種が始まり、タイでも21年には開始されそうなのは朗報だ。ワクチンの普及で一気に事態収束に向かってほしいところだが、今後、新型コロナがどの程度封じ込められ、いつ世界経済が回復するのか未知数だ。

クリスマスや初詣など、とかく祈る機会の増える年末年始だが、一刻も早い「疫病退散」が目下の人類共通の切なる願いだろう。(須)

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