NNAカンパサール

アジア経済を視る October, 2020, No.69

コロナ直撃、アジアの雇用
「大失業時代」を回避できるか

失業率の悪化に、新卒の就職難。新型コロナウイルス感染症の流行で、大きく揺らいでいるアジア各国の雇用情勢。流行が収束する兆しが見えない中、現状を打開しようと各地で模索が続いている。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。

シンガポール中心部の様子。新型コロナウイルスの感染拡大で、サービス業を中心に厳しい雇用情勢が続いている。=シンガポール(NNA撮影)

シンガポールでは新型コロナウイルスの感染拡大で、サービス業を中心に厳しい雇用情勢が続いている=シンガポール中心部(NNA撮影)

シンガポール

短縮勤務や一時解雇対象者数
前期比で約20倍にNNA POWER ASIA 2020年9月16日付

シンガポールで2020年4~6月期に、勤務日を減らす短縮勤務や一時解雇の対象となった人が、前期比で約20倍増加して過去最多を記録したことが、人材開発省が発表した雇用統計で明らかになった。総雇用者数も過去最大の落ち込みとなった。新型コロナウイルスの影響を受けたサービス業などで特に低迷した。


マレーシア

地元人材の3K職応募が増加
コロナ失業で、継続性には疑問もNNA POWER ASIA 2020年8月5日付

マレーシアで、新型コロナウイルス感染症対策の活動制限令によって失業者が増える中、職業のえり好みが激しいといわれるマレーシア人が、「3K(危険、汚い、きつい」職種の求人に応募するケースが増えている。政府は、外国人労働者の新規雇用を年末まで凍結する方針を示しており、人手不足をマレーシア人材で補うことが期待されるものの、マレーシア人が3K職を継続できるのかを疑問視する見方も根強く残っている。


フィリピン

出稼ぎ労働者の帰国増加
15万人超え、経済成長に足かせNNA POWER ASIA 2020年9月1日付

フィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)の帰国が増加の一途をたどっている。外務省によると、新型コロナウイルスの感染が世界で拡大し始めた2月以降に、政府が退避支援を実施した海外で働くフィリピン国民は累計15万人を超えた。出稼ぎ先での失業が主な理由だが、帰国後も国内で雇用が吸収されているとはいえず、経済成長の下押し要因になりかねない。


タイ

プーケット島の観光業に危機
雇用維持へ外国人旅行の再開要望NNA POWER ASIA 2020年9月10日付

3月下旬以降、新型コロナウイルス感染症対策のために外国人旅行者の受け入れを停止しているタイ。外国人に人気の国内有数の観光地である南部プーケット県のホテル業界が、現状のままでは年内に約5万人が失業するとして、政府に早急な対策を求めている。政府は10月にも同県で外国人旅行者の受け入れを再開する方向で準備してきたが、先週101日ぶりに市中感染が確認されたことから、実施が遅れる見通しだ。


香港

キャセイ、人員削減実施へ
賃金補助2期の申請見送りNNA POWER ASIA 2020年9月14日付

香港航空最大手キャセイパシフィック航空(国泰航空)は、香港政府が企業の雇用維持を目的に実施している賃金補助制度の第2期(9~11月)分への申請を見送ると表明した。新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の落ち込みが長期化する中、人員削減が避けられないと判断したためとみられる。同社は早ければ10月にも具体的なコスト削減計画の詳細を発表する見通しだ。


台湾

新卒者、就労は4割
コロナで雇用減、買い手市場にNNA POWER ASIA 2020年9月1日付

新型コロナウイルス感染症による雇用減が、台湾の新卒者の就職難を生んでいる。台湾の求人求職サイト「yes123求職網」の調査によると、今年の新卒者のうち、既に正社員の職に就いた人の割合は約40%で、前年に比べ約4ポイント下がった。企業側の買い手市場となったため、今年は従来に比べ能力の高い人を雇用しやすいとの指摘も出ている。

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