NNAカンパサール

アジア経済を視る March, 2020, No.62

新型肺炎、アジア経済を直撃
サプライチェーンも寸断懸念

中国を中心に新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)が拡大する中、アジア各地の経済に不透明感が漂っている。中国のサプライチェーン停滞がアジア各国の製造業に打撃を与え、中国人観光客に頼るサービス業にも大きな影響が広がってきた。アジア経済の中国依存がより顕在化している。NNA POWER ASIAから関連記事をセレクト。

新型肺炎の拡大を受け、香港メーカーが広東省に設けている工場の本格稼働に不透明感が高まっている(新華社)

新型肺炎の拡大を受け、香港メーカーが広東省に設けている工場の本格稼働に不透明感が高まっている(新華社)

中国

日系の7割が10日事業再開 新型肺炎、「開店休業」状態もNNA POWER ASIA 2020年2月14日付

中国で新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大で延長されていた春節(旧正月)連休が明け、進出日系企業も不安定な状況ながら事業を再開しつつある。NNAが実施したアンケート調査では、全体の7割超の企業が2月10日に事業を始めていることが分かった。ただ事業は再開したものの、従業員の出社が困難であったり、取引先が稼働していないなどの理由で「開店休業」の状態にある企業も少なくなかった。


香港

広東工場の本格稼働見通せず 香港企業、受注取り消しに懸念NNA POWER ASIA 2020年2月18日付

中国本土を中心に新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)が拡大する中、香港メーカーが広東省に設けている工場の本格稼働に不透明感が強まっている。本土各地で企業活動が再開された2月10日以降も肺炎の流行で従業員が帰省先などから工場に戻っていないことや、道路封鎖などの影響で原材料の調達が思うように進まないことなどが主因だ。企業の間では製品出荷の遅れや受注の取り消しなどへの懸念も浮上している。


台湾

台湾事業7割が新型肺炎影響 NNA調査、調達先変更の検討もNNA POWER ASIA 2020年2月17日付

台湾で事業展開する日系企業のうち、製造業、非製造業ともに約7割が、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)を受けて生産・営業活動に支障が出ていることがNNAの調査で明らかになった。製造業は中国工場の停止に伴う部品・製品供給の停滞などが要因。影響が長引くことを想定して、部品・製品の調達・仕入れ先を中国国外に切り替えることを検討する企業も出ている。


タイ

新型肺炎への懸念の声相次ぐ JCC景気討論会、7割が悪影響NNA POWER ASIA 2020年2月20日付

タイの盤谷日本人商工会議所(JCC)は18日、毎年恒例の新年景気討論会を開催した。金融保険、自動車、電機などの各部会報告や部会長らによるパネルディスカッションでは、米中貿易摩擦やバーツ高といった昨年からの懸案事項に加え、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)が及ぼす景気への悪影響を懸念する意見が相次いだ。当日、企業の代表者ら約200人を対象に行われたアンケートでも7割近くが新型肺炎が業績に悪影響を及ぼすと答えた。


シンガポール

新型肺炎対策で40億Sドル 産業界向け、SARSの17倍NNA POWER ASIA 2020年2月19日付

シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相は18日、2020年度(20年4月~21年3月)予算案の発表に併せ、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大による国内経済への打撃を緩和する政策を明らかにした。法人減税を含む産業界向け特別支援策として計40億Sドル(約3,153億円)を用意。重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時に計上した金額の約17倍の規模にした。消費税(GST)増税は、経済情勢を考慮して21年の導入を見送るなど新型肺炎の影響が色濃く反映された内容となった。中長期的な視野に立った各種政策も打ち出した。

フィリピン

香港などへの渡航制限緩和 比人の出国可能に、出稼ぎ者配慮NNA POWER ASIA 2020年2月19日付

フィリピン政府は18日、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大を受けて導入していた香港、マカオに対する入国・渡航制限措置を緩和すると発表した。フィリピン人の外国人配偶者などの入国を新たに認めるほか、フィリピン人の香港、マカオへの出国も可能にする。現状のリスク評価を踏まえた措置で、フィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)が多いため配慮したとみられる。

ベトナム

売り上げ減や部品調達に不安拡大 新型コロナ、日系は対策強化もNNA POWER ASIA 2020年2月20日付

ベトナムで新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)が拡大し、メーカーや飲食店にも影響を及ぼしている。街中では人通りや交通量が減り、小売店やレストランからは売り上げ減少の声も聞かれた。現時点では目立った損害は見受けられないものの、終息のめどが立たたないため、今後の業績への懸念が広がっている。日系企業の責任者や飲食店の経営者らに、新型肺炎による事業への影響と対策について聞いた。

カンボジア

感染拡大懸念も対策講じず 企業は各自予防、原料調達影響もNNA POWER ASIA 2020年2月17日付

カンボジアで、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大に対する不安が広まっている。フン・セン首相は、親密な関係にある中国との往来を制限しないよう指示しており、感染防止のための特別な措置を取らない意向を表明。カンボジアに進出する日系企業は衛生管理を徹底するなど、各自で感染防止策を強化している。一方、新型肺炎の影響で中国からの原料供給が滞り始めており、カンボジアの製造業が大きな打撃を受ける恐れがある。

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