NNAカンパサール

アジア経済を視る August, 2018, No.43

対立激化、長期化を懸念する声も

周辺国にも余波、米中“貿易戦争”

米トランプ大統領が対中貿易で強硬策に打って出た。米通商代表部(USTR)は7月6日、中国からの輸入品818品目、340億米ドル(約3兆7,640億円)相当に25%の追加関税を課すと発表。中国も報復措置を取り、貿易戦争がいよいよ本格化。その余波がアジア各国にも広がり始めている。一連の動きを報じたNNA POWER ASIAの主要記事10本をセレクト。

中国からの輸入品に追加関税を課す制裁措置を発動した米国のトランプ大統領(新華社)


米中が貿易開戦、関税で激突 中国は米をWTOに提訴NNA POWER ASIA 2018年7月9日付

中国

米政府は7月6日(米東部夏時間)、中国から輸入する製品340億米ドル(約3兆7,640億円)分相当に25%の税率で追加関税を課す対中制裁措置を発動した。これに対し中国政府も6日(北京時間)、同規模の報復措置を発動。さらに、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴した。ついに本格化した米中「貿易戦争」は、出口が見えない状況だ。


対米貿易黒字が13.8%拡大 摩擦激化も、上半期税関統計NNA POWER ASIA 2018年7月16日付

中国

中国税関総署が7月13日発表した上半期(1~6月)の貿易統計で、中国の対米貿易黒字が前年同期から13.8%拡大したことが分かった。米トランプ政権は中国に対して貿易不均衡の是正を求めており、制裁と報復の応酬に発展した通商摩擦が一段と激化することも懸念される。


米中貿易戦争、香港に悪影響 貨物輸送減や人員削減に危機感NNA POWER ASIA 2018年7月12日付

香港

米中貿易戦争の本格化を受け、香港の経済団体などの間で地場経済への悪影響に懸念が高まっている。各種生産設備から食品まで幅広い製品に関税をかけ合うことから、香港を経由する貨物輸送量の減少に危機感が高まっているほか、生産縮小を背景に数百人規模の人員整理を検討する企業もあるようだ。米国依存を和らげようと対応に乗り出す貿易会社も出てきた。


貿易戦争で香港経済減速も 政府予測、下期に最大0.3PかNNA POWER ASIA 2018年7月16日付

香港

米中貿易戦争の行方に香港が身構えている。香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は貿易戦争がエスカレートした場合、好調に推移している香港の経済成長率が下半期(7~12月)に一定程度鈍化するとの見通しを示した。香港貿易発展局(HKTDC)のリサーチ部門責任者である関家明(ニコラス・クワン)氏は、貿易戦争の拡大で香港企業が赤字に陥る可能性にも言及している。


追加関税で注文失う、中小4割 企業調査、政府に支援充実を要望NNA POWER ASIA 2018年7月26日付

香港

中国製品に対する米国の追加関税を理由に、香港の中小企業の約4割が、取引先から注文取り消しや納品延期といった対応を受けたことがあることが、業界団体の調査で分かった。自社製品が追加関税の対象となった場合、課税額を顧客に代わって自社で負担すると答えた企業も4割に上った。中小企業への影響は大きいとして、業界団体は香港政府などに支援策の導入を要望している。


米中摩擦は来年に影響拡大か 5千億円損失も、輸入制限じわりNNA POWER ASIA 2018年7月2日付

タイ

米国と中国の貿易摩擦がタイの対米貿易に与える影響は下半期(7~12月)以降に強まる恐れがある。米国が今年2月に発動したセーフガードや今月6日に中国製品に課す制裁関税などにより、来年は45億米ドル(約5,000億円)の損失が発生するとの試算が出た。既に輸入制限の影響は出始めているが、今年は輸出が好調な上に米国輸出は全体の1割程度のため、専門家は「今のところ経済全体への影響は小さい」とみている。


バーツ急落で中銀が緩和図る 為替介入実施、下期も下落基調かNNA POWER ASIA 2018年7月18日付

タイ

対米ドルのバーツ安が6月中旬から急速に進んだことを受けて、タイ中央銀行(BOT)は為替介入を実施した。年初からバーツ高基調で推移した為替市場が次第にバーツ安に転じ適切な水準に近づきつつある中で、急速な為替変動に中銀が対応した形だ。専門家は米中貿易摩擦など対外的な事象がバーツ安の要因で、下半期(7~12月)もこの傾向が続く可能性を指摘。政府はバーツ安を受けて輸出を一層強化したい考えだ。


米中報復合戦、懸念増す 縫製関連品追加でリスク現実にNNA POWER ASIA 2018年7月13日付

カンボジア

米国と中国による貿易戦争から約1週間が経過し、世界経済の減速リスクが高まる中、カンボジア経済に影響が出る可能性が現実味を増している。米国が新たに公表した追加制裁対象リストにはハンドバッグや縫製関連品などが含まれ、中国企業がカンボジアを経由して米国に輸出している製品もある。中国も新たな報復措置を実施する構えだ。中国経済が本格的に影響を受ける事態に発展した場合、中国依存が高いカンボジアの経済成長に急ブレーキがかかる恐れもある。


米中貿易戦争、韓国に波紋 中間財の輸出が減少NNNA POWER ASIA 2018年6月20日付

韓国

米国と中国が高関税を掛け合う「貿易戦争」が韓国でも波紋を呼んでいる。政府系シンクタンク、産業研究院は、韓国の最大の輸出先である中国向けの輸出額は中間財を中心に1億1,000万米ドル(約120億9,000万円)減少すると試算した。2017年の対中貿易額の0.07%にすぎないものの、報復が報復を呼んで制裁対象品目や規模が拡大するとも限らないだけに、楽観視できない状況だ。


高雄港のコンテナ取扱量、中米貿易摩擦で増加かNNA POWER ASIA 2018年7月18日付

台湾

高雄港の第2四半期(4~6月)のコンテナ取扱量は262万TEU(20フィートコンテナ換算)で、前年同期比2.3%増え、前期のマイナス成長からプラス成長に転換した。上半期(1~6月)の累計は前年同期比0.01%増の518万TEUで、前年同期をわずかに上回った。米中貿易摩擦で、中国と米国を結ぶ航路が一時欠航するなど路線変更の措置が相次いだのに伴い、高雄港の需要が増したことが背景にある。

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