NNAカンパサール

アジア経済を視る May, 2018, No.40

高まる懸念、見えない出口

トランプ米大統領発 “貿易戦争”の行方

米国のトランプ大統領は、鉄鋼などに関税を課す輸入制限措置に踏み切り、主なターゲットとされる中国との間で激しい攻防戦を繰り広げている。勝者は誰なのか?それとも勝者なき“貿易戦争”となるのか。アジアの周辺諸国をも巻き込んだ米中貿易摩擦の行方を報じたNNA POWER ASIAの主要記事10本をセレクト。

米国のトランプ大統領(右)による「貿易戦争」の先行きに、中国をはじめとするアジア各国に警戒感が広がっている(写真は2017年11月の米中首脳会談=共同)

米国のトランプ大統領(右)を発端とする「貿易戦争」の先行きに、中国をはじめとするアジア各国に警戒感が広がっている(写真は2017年11月の米中首脳会談=共同)


米「貿易戦争」、各国が警戒 鉄鋼・アルミ以外にも対象拡大かNNA POWER ASIA 2018年3月12日付

ベトナム

米国のトランプ大統領は3月8日、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課す輸入制限を23日に発動する計画を正式に発表した。対米貿易黒字が大きいアジアの国への影響は、現状ではそれほど大きくはないと予想する見方が強い。一方で、今後に鉄鋼・アルミ以外に矛先が向く「貿易戦争」の可能性や、自由貿易のルールを大きく傷つけると懸念の声が出ている。


「鉄余り」期待する後発国 米輸入制限、調達安で開発加速もNNA POWER ASIA 2018年3月16日付

カンボジア

トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動する文書に署名してから約1週間。ミャンマー、ラオス、カンボジアの後発3カ国に表立った反応はないものの、「鉄余り」による価格の下落圧力をひそかに期待する声は多い。ほぼ全量を周辺国からの輸入に頼る3カ国にとり、調達費用を抑えて経済開発を加速させるシナリオを描くが、鉄鋼生産国の政策次第では悪影響が出る可能性も否定できない。


米中貿易戦争、アップル関連の台湾企業も注視NNA POWER ASIA 2018年3月26日付

台湾

米トランプ政権が中国の知的財産権侵害を理由とした制裁措置を決定したことに対し、中国が対抗措置も辞さないと伝えるなど米中の対決姿勢が強まる中、米アップルのサプライチェーンが多い台湾企業にも影響が波及するのではないかとの懸念が強まっている。いずれも中国に部材を輸出したり現地で組み立てを行い、米国に輸出するビジネスモデルで、売上高の多くをアップルに頼る企業も少なくないだけに、米中双方の出方を注視しているようだ。


中国が報復措置へ、米に反発 最大25%課税、30億ドル分を対象NNA POWER ASIA 2018年3月26日付

中国

中国商務省は3月23日、米トランプ政権が同日から鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動したことへの報復措置を発表した。農産品や鉄鋼製品など、2017年の米国からの輸入額約30億米ドル(約3,279億円)相当の品目について、最大25%の追加関税を課す方針。米通商法301条に基づく対中制裁へも強く反発しており、米中間は貿易戦争の様相を呈してきた。


米中経済、失速なら越に影響 携帯電話には高関税の可能性もNNA POWER ASIA 2018年3月28日付

ベトナム

米中の貿易摩擦は、現状ではベトナム経済に大きな悪影響を与えているわけではないものの、将来的には輸出額が大きく付加価値が高い携帯電話が輸入制限の標的になる可能性はある。ベトナムは輸出依存度が高いことに加え、米中向けの輸出が大きいことから、両国の経済が失速する事態になれば、ベトナム経済に悪影響を与えることもありうる。


米は速やかに輸入制限撤回を 中国が報復措置、交渉解決迫るNNA POWER ASIA 2018年4月3日付

中国

中国政府は4月2日、米トランプ政権による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限に対する報復措置を発動した。米国から輸入する農産品や鉄鋼製品など128品目に最大25%の追加関税を課す。2017年の輸入額で見ると約30億米ドル相当の米国産品が対象となる。商務省は「速やかに世界貿易機関(WTO)規則に違反する措置を撤回することを望む」とのコメントを発表し、対話による貿易摩擦の解決を米に迫った。


貿易摩擦、香港経済に打撃も 株価下落、融資引き締めに懸念NNA POWER ASIA 2018年4月9日付

香港

米中間の貿易摩擦が香港経済に及ぼす影響に懸念が高まっている。株式市場ではハンセン指数が週間ベースで3週連続の下落。今年1月に33000を超えたものの、年内に28000まで下落するとの見方も出てきた。米国が中国製品に追加関税を課した場合、香港企業に対して金融機関が融資引き締めに動かないか不安視する声も上がっている。


自動車の外資出資制限を緩和 習主席が明言、関税引き下げもNNA POWER ASIA 2018年4月11日付

中国

中国の習近平国家主席は4月10日、自動車産業への外資による出資制限を緩和する方針を表明した。外資がマジョリティーを握るメーカーの設立が可能になると期待される。市場開放を加速することで米国との貿易摩擦を緩和する思惑もあるとみられ、年内に自動車の輸入関税を引き下げることも明言した。


輸入車規制を米国が問題視 USTR、データ保護主義も懸念NNA POWER ASIA 2018年4月13日付

ベトナム

米通商代表部(USTR)は、相手国別に貿易などの障壁をまとめた2018年版「貿易障壁報告書」に、ベトナムについては今年から始まった自動車輸入規制や、データの国内保存義務化を盛り込んだサイバーセキュリティー法案などを新たな障壁として記載した。今後の米越の通商交渉では、自動車輸入規制や国境を越えるデータの自由移動が大きな焦点になりそうだ。


米中貿易摩擦、電子除けば市場開拓の機会NNA POWER ASIA 2018年4月19日付

フィリピン

米国と中国の貿易摩擦に対する懸念が高まる中、フィリピン輸出業者連盟(PHILEXPORT)は、米中以外の新たな市場を開拓する機会になるとの見方を示した。ただ米中両国との取引が多い電子業界に関しては、影響は避けられないとの懸念を表明した。

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