NNAカンパサール

アジア経済を視る March, 2018, No.38

[7〜10位]

NNAが日々伝えるアジアの経済ニュース。最近の記事から注目トピックをピックアップした。

本格化する外国人の家事代行、ニチイが戦略特区でサービス開始NNA POWER ASIA 2018年2月20日付

フィリピン

講師の根本潤さん(左)から和食の作り方を学ぶフィリピン人家事代行スタッフ=千葉県柏市(NNA撮影)

医療・介護・教育事業を手掛けるニチイ学館は2月19日から、国家戦略特区に指定された東京や神奈川県で、フィリピン人女性の家事代行サービスを始めた。特区で外国人による家事代行サービスが認められたことを受け、昨年から業界各社のサービス参入は本格化している。背景には、女性の社会進出や高齢化の進展を受けたニーズの高まりがある。ただ、雇用期間が3年間に限られるなど、サービス拡大には課題も横たわっている。

ニチイが新規展開する「サニーメイドサービス」は2人1組体制が特徴。「より効率的で、時間も短縮できる」ことが売りだ。1回1時間の基本料金は8,078円で、月1~20回のコースがある。まずは都内の赤坂や自由が丘、横浜などの富裕層の利用を見込む。

ニチイの広報担当者は「女性活躍推進法の施行などで、商機が生まれた」と話す。自社の英会話学校にフィリピン人講師を採用してきた経験や、既存の家事・育児・介護サービス「ニチイライフ」のノウハウも生かす考えを示した。

サニーメイドの第1陣として、フィリピンの人材会社を通じて採用した50人が1日に来日した。全員、フィリピンで家事の国家資格を取得し、1年以上の実務経験を持つ。事前に200時間の日本語能力試験(N4)の講習を受け、来日後はマナーや生活様式、和食の作り方を学んできた。勤務は4週6休制。給与や有給休暇など待遇面は日本人従業員と同等。シェアハウスなどに住み、自転車で通勤する。

携帯4G市場が急拡大へ、外資主導で5社が販促強化NNA POWER ASIA 2018年2月22日付

ミャンマー

通信市場で最大シェアのMPT店舗。週末に訪れた顧客に対し、4Gサービスをアピールする=ヤンゴン市内(NNA撮影)

ミャンマーで高速通信規格の第4世代(4G)サービスの普及が加速してきた。昨年までに日系が支援する地場最大手を含む3社がサービスを開始したほか、今年2月にはベトナム系が参入。さらに、米系と提携する地場が3月までの事業開始を発表し、販促を繰り広げている。約4年前に第3世代(3G)が広がったばかりの市場は、外資の主導でさらに一変する可能性がある。

ミャンマー国内では、昨年5月に運輸・通信省が、携帯サービス各社に1800メガヘルツ(MHz)周波数帯を割り当てたことで4Gサービスが本格化した。

国内のネットワークサービスの利用者全体のうち、4Gサービスを利用しているのは約2割とされるが、業界関係者には、早期に5割程度まで拡大するとの見方もある。

4Gサービスを昨年までに開始したのは、KDDIと住友商事が、シンガポールで立ち上げる合弁会社KDDIサミット・グローバル・シンガポール(KSGS)を通じて支援する政府系ミャンマー郵電公社(MPT)、ノルウェー系テレノール、カタール系Ooredooの3社。

今年2月には、ベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)とミャンマー企業との合弁会社ミャンマー・ナショナル・テレ・アンド・コミュニケーションズ(MNTC)が、4G通信網に特化した携帯電話サービス「マイテル(Mytel)」で市場参入した。

5社目は地場通信大手のアマラ・コミュニケーションズ。昨年、米国のITサービス会社アレポと業務提携しており、「アナンダ」の名称でサービス開始を発表している。

民泊エアビーが55億円規模に、当局は規制強化NNA POWER ASIA 2018年2月22日付

マレーシア

KLセントラル駅の空港行きシャトルバス売り場に設けられたエアビーアンドビーの部屋カギ受け取り・返却コーナー=クアラルンプール(NNA撮影)

マレーシアの観光業界で、民泊仲介サイト運営大手Airbnb(エアビーアンドビー、エアビー)をはじめとする民泊の存在感が増している。同社によれば、昨年のマレーシア国内でのエアビー利用者は150万人、提供宿泊施設は1万7,270カ所に上り、市場規模は約2億リンギ(約55億円)まで膨れ上がっている。マレーシア政府は昨年から、外国人観光客に対して観光税を課しているが、エアビーなど民泊では徴税を行っていないとみられる。民泊市場の実態を把握すべく、クアラルンプール市役所(DBKL)は近々、規制を導入する意向だ。

エアビーがマレーシアに上陸したのは、8年前。以降、マレーシアでのエアビー利用客数は2015年に19万3,800人、16年に64万1,200人と、急速なペースで増加している。

民泊市場の盛り上がりに対し、法規制や税制が追い付いているとは言いがたいようだ。マレーシア政府は昨年、国内のホテルを利用する外国人に1泊1部屋当たり10リンギ(約275円)の観光税を課すと発表。昨年9月1日から、国内約5,000軒のホテルが税関局の代行として同税の徴収を開始した。しかし、エアビーに登録されている民家は徴税を行っていないことから、競合する格安ホテルが不公平だとして反発していた。

地元紙の報道によると、エアビーはマレーシア税関局と話し合いの場を持ち、観光税の徴収に同意したというが、営業実態が不透明な中でどれほどの拘束力があるのかは不明だ。

変革するタイ農業、東北部から有機牛乳を発信NNA POWER ASIA 2018年2月21日付

タイ

「タイの乳業を発展させたい」と話すデアリーホームのプルット社長=ナコンラチャシマ県(NNA撮影)

タイの民間企業で、農産物の付加価値向上の重要性にいち早く注目し、小規模農家を巻き込んで持続可能な農業に取り組んでいる企業がある。東北部ナコンラチャシマ県で操業する有機乳業のデアリーホームは、1999年に有機牛乳の生産を開始。契約農家への有機酪農指導にとどまらず、製品開発も積極的に実施し、大手小売りチェーンにも販路を拡大している。

デアリーホームは、タイ酪農振興公団(DPO)を退社したプルット社長が創業。「タイの乳業をもっと発展させたい」と、農家に化学肥料を使った飼料や抗生物質を使わない有機牛乳の生産を呼び掛け、関心を示した中規模酪農家(飼育数約50頭)1軒と事業を開始した。現在では25軒(計2,000頭)が契約し、1日当たり5~6トンを生産している。

当初はナコンラチャシマ県の自社工場兼レストラン・売店での販売にとどまっていたが、2001年に個別配達や私立校への提供を始めた。05年頃にバンコクの健康・オーガニック食品店「レモンファーム」で販売を開始したのを皮切りに小売店へも販路を開拓。15年までにトップス、バンコク伊勢丹、ヴィラ・マーケット、マクロ、マックスバリュ、テスコロータスなど小売り大手が取り扱いを始めた。現在の売上高は1億バーツ(約3億4,000万円)で、小売店からの収入が7割を占める。

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