NNAカンパサール

アジア経済を視る March, 2018, No.38

[1〜3位]

NNAが日々伝えるアジアの経済ニュース。最近の記事から注目トピックをピックアップした。

仮想通貨の取引禁止か、「支持層」反発で揺れる文政権NNA POWER ASIA 2018年2月20日付

韓国

若者層を支持基盤とする文政権。政府当局の仮想通貨取引禁止も匂わす発言に、若者層から猛反発を受けている=ソウル(NNA撮影)

仮想通貨取引の過熱を受け、韓国政府当局は取引禁止も匂わす発言を繰り返した。これに対し、20~30代の若者層が猛反発するなど、韓国社会の溝は深まるばかりだ。若者層を支持基盤とする文政権は手をこまねいているように見える。ブロックチェーンという新技術を理解し、健全な市場は韓国に根付くのか──。

韓国での仮想通貨取引に冷や水を浴びせたのは、ハイリスク・ハイリターンの同市場を「あまりにも投機的」と判断した韓国政府による発表だった。今年に入り、朴相基(パク・サンギ)法相が「仮想通貨取引を禁止する法案を準備中」と発言。ビットコインなどの価格は急落した。

この政府発表に対し、20~30代の投資家は猛反発し、反旗を翻した。青瓦台(大統領府)ウェブサイトの「請願掲示板」には、取引所の閉鎖方針に反対する書き込みが20万件以上も寄せられた。「閉塞感が漂う格差社会からの突破口をふさぐのか」。若者はそう叫ぶ。

支持層の思わぬ反発に対し、大統領府は「確定したことはない」と態度を軟化させる一幕も。支持率を維持したい文政権の判断の揺れも透けて見える。

プノンペンのコンド市場が転換期、18年は供給2.5倍で乱開発にツケNNA POWER ASIA 2018年2月21日付

カンボジア

首都のコンドミニアム市場は供給過剰になりつつある=プノンペン(NNA撮影)

カンボジアの首都プノンペンでコンドミニアム(分譲住宅)市場が転機を迎えている。米系不動産仲介大手CBREカンボジアによると、2018年の供給量は前年比2.5倍の約2万2,000戸に拡大する見通し。外国人投資家や地元の準富裕層の需要を取り込もうと物件数が増えている。ただ乱開発で供給過剰になりつつあり、値下げ圧力もかかり始めた。一方、外国人が多く住むサービスアパート市場は堅調に推移している。

不動産業界の中で数年前からささやかれているのが「2018年問題」だ。コンドミニアムの着工件数が需要をはるかに上回り、18年ごろに一気に完成するため、供給過剰と値崩れが同時多発的に起こることを懸念してこう呼ばれている。

「短中期で供給過剰が起こる」。CBREカンボジアでアソシエート・ディレクターを務めるジェームス・ホッジ氏は、コンドミニアムの今後の市況に警戒感を示す。外国人が最も多く住む首都中心部のチャムカーモン地区は開発が集中したため影響が懸念され、立地が悪い物件は淘汰(とうた)される恐れがあるという。

供給過剰に伴う値崩れにも警戒感を示す。人気のエリアは価格が維持される可能性があるが、需要の少ない物件の価格が集中的に下がると指摘している。

2年に1度のオート・エキスポ開幕、スズキや現代自などがEV公開NNA POWER ASIA 2018年2月8日付

インド

小型車「コンセプトフューチャーS」を発表するマルチ・スズキの鮎川社長(左)=ウッタルプラデシュ州グレーターノイダ(NNA撮影)

インドで2年に1度開かれる「オート・エキスポ2018」が2月7日、報道陣向けに公開された。初日にはスズキや韓国の現代自動車などが電気自動車(EV)の販売モデルやコンセプト車両を公開した。18年4月以降に発売する内燃機関の車両も各社が相次ぎ新モデルを発表。インド政府は30年までに全ての車両をEVに切り替える目標を掲げるものの、エンジンで走る自動車も短期~中期的には需要があると見込んだ出展も目立った。

トップバッターは乗用車最大手マルチ・スズキ。2回に分けて開いた発表会では、乗用車市場で75%を占める小型車で「コンセプトカー・フューチャーS」と17年の「東京モーターショー」で出展した小型スポーツ多目的車(SUV)のコンセプトカー「eサバイバー」をお披露目した。

鮎川堅一社長最高経営責任者(CEO)はフューチャーSについて、「インドの小型車を再定義する」と強調。SUVのデザインを盛り込んでおり、消費者のニーズに合わせて開発を進めていくとした。「販売に向けては2~3年程度で形にできれば」と話した。

eサバイバーは「マルチが目指すEVの将来の方向性を示すもの」と述べた。同社は20年にEVの第一弾モデルを投入する予定だ。

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