NNAカンパサール

アジア経済を視る January, 2018, No.36

【プロの眼】ヘルスケア産業のプロ(第2回) 細見真司

アジアの高齢化の現状と
日本の介護セクターのビジネス領域計画

アジア

アジアは今後、本格的に高齢化を迎える。国連が2015年に発表した世界人口推計によると、推測される40年の高齢化率は日本が36.1%、中国が24.6%、韓国が30.8%、シンガポールが29.8%、タイが25.8%。あと25年ほどで、アジア各国では4人に1人が高齢者の時代となり、日本を上回る速度で高齢化が進む。これからは高齢化社会に対応した新たな制度の創設などインフラ整備と、民間の介護サービスの導入が求められるだろう。

日本の高齢化対策に期待

アジアでは、急速な高齢化は介護などの高齢者関連サービスの急激な増大につながると考えられ、既に介護保険が整備され、高齢者介護サービスの先進国である日本の高齢化対策の経験に関心が寄せられている。そのニーズを先取りするように、ここ数年、日本の介護関連企業もアジアへの進出を活発化させている。

しかし(1)文化や生活習慣の異なる国に日本的な介護サービスの優位性を伝えることや、現地でのビジネスパートナー探しの難しさ(2)規制のある中で現地の行政とのネットワーク不足(3)介護保険制度の存在しない海外で事業採算性を確保するためのノウハウの乏しさ(4)事業資金や海外経験のある人材が十分でない─など、進出する事業者は多くの課題に直面している。

各国・地域の社会保障制度に大きく依存する事業だけに、民間の独自展開では限界がある。そんな中、内閣府を中心として日本政府が推進する「アジア健康構想」では、民間の高齢者ケア事業者に対して、国際協力機構(JICA)による資金支援策や日本貿易振興機構(ジェトロ)による事業組成支援などの具体的な政府支援策が実施されている。

今後のビジネスチャンス

アジア健康構想が動き出すことで、今まで個々に独自の戦略によってアジア進出を進めてきた日本の介護関連企業が、一定の政府支援を受けて十分な準備の下にアジアへ展開できる環境整備が進んでいる。そしてアジアでは、高齢化が進む社会に対応した制度改正や新たな制度の創設など、インフラ整備と民間活力の導入が求められている。今後、すでに高齢者向けビジネスと一定の介護オペレーションが確立された日本の介護関連企業との連携が大きくクローズアップされていくだろう。


細見真司(ほそみ・しんじ)

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デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー ライフサイエンスヘルスケア担当。医療法人のマネジメントを経て、2006年新生銀行に入行、10年にヘルスケアファイナンス部を創設。14年より現職。ヘルスケアセクターの合併・買収(M&A)支援を中心に、上海で中国の投資家向けセミナー、台湾での新規事業進出支援などを行う。16年に厚生労働省事業「介護サービス事業者等の海外進出の促進に関する調査研究事業」の委員に就任。

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